昨年9月6日の死去から、はや1年。フランスの名優、ジャン=ポール・ベルモンドの特集シリーズが今年も行なわれる。題して「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選3」、9月2日より東京・新宿武蔵野館からスタートする。

今回のラインナップは、次の通り。

『華麗なる大泥棒』
アンリ・ヴェルヌイユ監督の1971年作品。国内未ソフト化(フランス語完全版)、HDリマスター版による51年ぶりの劇場公開

画像1: フランスの名優、ジャン=ポール・ベルモンドの死去から1年。「ベルモンド傑作選」の第3弾が、9月2日からスタート

『ラ・スクムーン』
ジョゼ・ジョヴァンニ監督の1972年作品。未ブルーレイ化、HDリマスター版による49年ぶりの劇場公開

画像2: フランスの名優、ジャン=ポール・ベルモンドの死去から1年。「ベルモンド傑作選」の第3弾が、9月2日からスタート

『勝負(かた)をつけろ』
ジャン・ベッケル監督の1961年作品。未DVD&ブルーレイ化、HDリマスター版による60年ぶりの劇場公開

画像3: フランスの名優、ジャン=ポール・ベルモンドの死去から1年。「ベルモンド傑作選」の第3弾が、9月2日からスタート

『冬の猿』
アンリ・ヴェルヌイユ監督の1962年作品。未ブルーレイ化、4Kリマスター版による26年ぶりの劇場公開

画像4: フランスの名優、ジャン=ポール・ベルモンドの死去から1年。「ベルモンド傑作選」の第3弾が、9月2日からスタート

『薔薇のスタビスキー』
アラン・レネ監督の1974年作品。HDリマスター版による47年ぶりの劇場公開

画像5: フランスの名優、ジャン=ポール・ベルモンドの死去から1年。「ベルモンド傑作選」の第3弾が、9月2日からスタート

『ベルモンドの怪盗二十面相』
フィリップ・ド・ブロカ監督の1975年作品。国内未ソフト化、HDリマスター版による46年ぶりの劇場公開

画像6: フランスの名優、ジャン=ポール・ベルモンドの死去から1年。「ベルモンド傑作選」の第3弾が、9月2日からスタート

『パリ警視J』
ジャック・ドレー監督の1983年作品。未ブルーレイ化、HDリマスター版による37年ぶりの劇場公開

画像7: フランスの名優、ジャン=ポール・ベルモンドの死去から1年。「ベルモンド傑作選」の第3弾が、9月2日からスタート

 ずいぶん久しぶりに劇場公開される、だが、見れば引き込まれること間違いなしの作品がずらりと並ぶ。我々の先輩映画ファンはこうした物語をリアルタイムで見て、「ベルモンドすげえ」と盛り上がっていたのかと思うと、うらやましさを隠せなくなるが、今回は当時よりもいっそう鮮明な画質・音質で上映されることは間違いないはず。今の空気をたっぷり吸いつつ、今の視点で往年の映画を見て、時代を超えた“作品力”に酔いしれることができるのは、2022年を生きる後追いファンにそなえられたアドバンテージのひとつだ。

 『華麗なる大泥棒』は英語版とフランス語版の2種類が存在するが、今回は尺の長いフランス語ヴァージョンでの上映。しばしばモンキー・パンチ原作『ルパン三世』(1967年にマンガ連載開始)が引き合いに出されるものの、アニメ版ルパンの第1回放送は71年10月24日、『華麗なる~』のフランス上映初日は10月27日だそうだから、もうこれは双生児のようなものである。2台の車によるひっちゃかめっちゃかな追跡シーンはアナーキーそのもの、動き回り、ころげまわるベルモンドがユーモラスかつクールだ。

 “監督、演出、収録年代でこんなに変わるのか”と驚かせてくれるのが『勝負をつけろ』『ラ・スクムーン』の二作品。原作はともにジョゼ・ジョヴァンニの暗黒街小説『ひとり狼』。ベルモンドはどちらでも主役を演じている(名前はそれぞれロベルト・ラ・ロッカ、ロベルト・ボルゴ)。『勝負~』での彼は若く、『~スクムーン』での彼は年輪と貫禄が加わっている――と書くと“何を当たり前な”といわれそうだが、若作りに精を出さず、そのときどきの自分を反映する美しさ、これも役者の美学であると筆者は思うのだ。ベルモンドは自然に、その年齢に応じた魅力を発散する。こういう演じ手がホンモノと呼ぶにふさわしいのではないか。

 『冬の猿』は、50代後半のジャン・ギャバンと、20代後半のベルモンドの共演。ナチス占領下、ノルマンディー近くの街での出来事に始まる、哀感あふれる人間ドラマだ。花火のシーンがこよなく美しい。“三色旗の色だ!”といいながら打ち上げる場面など、モノクロ画像であるがゆえに、観る者はそれぞれのトリコロールを思い浮かべながら鑑賞することができる。

 『薔薇のスタビスキー』は、「センド・イン・ザ・クラウンズ」等の楽曲でジャズ・ミュージシャンにも親しまれているスティーブン・ソンドハイムが音楽を担当。スウィング・ジャズ調の音作りが、1930年代を舞台とする物語とよく合う。

 『ベルモンドの怪盗二十面相』は、今シリーズでも際立ってお茶目でスケベな一作。伊達男ベルモンドの真骨頂といいたい。ジプシー・キングス(1978年結成)を先取りしたかのような音楽も刺激的、さらに一見、物語とは大して関係なさそうな動き(クラリネット奏者がスワブで楽器の水分を取っているシーンなど)のひとつひとつも見逃せない。

 『パリ警視J』、ぼくはタイトルから勝手に、勝新太郎の大傑作『警視-K』はここから拝借したのかなと思ったのだが、違った。勝新のほうが2年以上早いのだ。ベルモンドは公開当時50歳、肉体をフルに活用するよりも頭脳やテクノロジー(防弾ガラスなど)を使った、ネオ・アクションというべき世界に飛び込んでいる。

特集上映「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選3」

9月2日(金)より新宿武蔵野館にて待望のロードショー!

「勝負をつけろ」
(C)1961 STUDIOCANAL - Da. Ma. Cinematografica

「冬の猿」
(C)1961 GAUMONT - Tous Droits Reserves.

「華麗なる大泥棒」
THE BURGLARS (C)1971, renewed 1999 Sony Pictures Television Distribution (France) SNC. All Rights Reserved.

「ラ・スクムーン」
(C)1972 STUDIOCANAL / PRAESIDENS FILMS (Rome). Tous droits reserves.

「薔薇のスタビスキー」
(C)1974 STUDIOCANAL - Nicolas LEBOVICI - EURO INTERNATIONAL FILMS (Italie). Tous Droits Reserves.

「怪盗二十面相」
(C)1975 STUDIOCANAL - Nicolas LEBOVICI. Tous Droits Reserves.

「パリ警視J」
(C)1983 STUDIOCANAL - Tous Droits Reserves.

提供:キングレコード
配給・宣伝:エデン

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