スマートホンは、いまや世代、性別、地域の垣根を越えて広く浸透し、コミュニケーションツールとしてのみならず、日々の生活に欠かせないキーデバイスになっています。その傑出した能力は、当然ながら音楽再生の分野でも遺憾なく発揮されています。

ここでは、5月に小社から発行したムック「かんたん、わかりやすい スマホで始めるオーディオ&ネット動画再生読本」の中から、スマホを音楽の再生機として、ハイレゾ音源の醍醐味を体験するための知識、ノウハウ、システムづくりのあり方などを紹介した記事を、順次掲載していきます(全36回を予定)。

初回は、主要ストリーミングサービス(音楽サブスク)の料金プランと主な機能をご紹介します。

「かんたん、わかりやすい スマホで始めるオーディオ&ネット動画再生読本」はこちらからご購入いただけます。

音楽サブスクとスマホは相性バツグン!

写真や動画を撮ったり、SNSで仲間と交流したり、ネットショッピングを楽しんだり。いまや現代人の生活に欠かせないスマホは、音楽プレーヤーとしても一番身近で便利な存在だ。SpotifyやAmazon Music、YouTube Musicといった無料プランが用意された「定額制音楽ストリーミングサービス」(以後、音楽サブスク)のアプリをダウンロードするだけで、膨大な音楽コンテンツを聴くことができる。加えて自分の趣向や用途に合った音楽サブスクの有料プランに入会すれば、より多くの音楽に快適にアクセスできるようになるし、音質に配慮されたイヤホンやヘッドホン、スピーカーを組み合わせれば、スマホ内蔵スピーカーでは叶わない高品位なサウンドを楽しめるようになる。ここからは各種音楽サブスクの個性、音楽プレーヤーとしてのスマホの選び方、自分に合ったいいイヤホンやヘッドホン、スピーカーの選び方などを、順を追って紹介していきたい。

主要ストリーミングサービスの料金プランと主な機能比較

画像: 2022年5月1日現在


2022年5月1日現在

自分の趣向にマッチするサービスを見つけよう

 手持ちのスマホで音楽コンテンツを楽しもうと思ったときに、まず必要となるのが音楽サブスクへの入会だ。無料プランが用意されているサービスもあるが、機能制限や広告表示のストレスなしに音楽を聴きたいなら、自分の趣向に合った音楽サブスクを見つけて契約しよう。

 国内で展開されている主な音楽サブスクの料金プランや機能を比較した上の表でわかるように、各サービスの月額料金や楽曲数にはそれほど大きな差があるわけではない。通信料を気にせず音楽を再生できる「オフライン再生」や、好きな曲だけを集めて再生できる「プレイリスト再生」、再生中の楽曲の「歌詞表示」といった機能はどのサービスにも共通して搭載されている。

 しかし、実際に利用してみると、ユーザーの趣向によって、マッチするサービスとマッチしないサービスがあることは間違いなく、また『かんたん、わかりやすい スマホで始めるオーディオ&ネット動画再生読本』の大きなテーマである「スマホでいい音を聴きたい」に大きく絡んでくるのが「最高音質」の項目である。このあたりに留意しながら、国内で展開されている主要5ストリーミングサービスの特徴を、本記事を初回としてStereo Sound ONLINEで順次公開していきます。

音楽サブスクの音質を決定づける「ロッシー」「ロスレス」とは?

画像2: スマホで始めるオーディオ再生。まずはよく知ろう、音楽サブスクのこと、スマホのこと【スマホで始めるオーディオ&ネット動画再生読本】

 現在の音楽サブスクの音質は、大きく「ロッシー(Lossy)」と「ロスレス(Lossless)」に分けることができる。

「ロッシー」は、効率を優先してデータ容量を元信号に比べて大きく削減するため、特にモバイルデータ通信環境で聴くのに適しているが、再生の音質は元データと比べて劣化する仕組み。「ロスレス」は、データ圧縮の効率は低くはなるが、圧縮前後で「ロス(損失)がなく」、完全に元のデータを再現できる音質重視の方式だ。

 このように「ロッシー」と「ロスレス」はともに、音楽のデジタルデータを圧縮して効率よく配信する仕組みであることは変わらないが、結果的に再生音質が大きく異なるというわけだ。

 具体的には本記事上部に掲載したサービスを比較した表の「最高音質」の項目のうち、転送レートが256kbpsや320kbpsのサービスは「ロッシー」を、1,411kbps以上のサービスは「ロスレス」を指す。「ロスレス」の音楽サービスは、一般的にはCDと同等音質を実現する状態を「HD(High Definition/高解像度)」と呼び、それを超える音源は、「ULTRA HD」や「ハイレゾ(High Resolution)」などと表記される。

 現時点で「ロスレス」方式に対応した音楽サービスは、(日本国内で展開中のものに限ると)Amazon MusicやApple Musicのふたつ(いずれも対応機器や諸設定が必要)。両者の「ロスレス」音源は、データ容量は大きいが、音質的なアドバンテージは明らか。音質を重視するなら、このふたつに注目したい。

音楽サブスク主要サービス 番外編~タイダル/クーバズ

画像3: スマホで始めるオーディオ再生。まずはよく知ろう、音楽サブスクのこと、スマホのこと【スマホで始めるオーディオ&ネット動画再生読本】

海外で人気の高音質音楽サブスクにも注目

 音楽サブスクをスマホだけではなく、パソコンと据置オーディオを組み合わせたシステムでも楽しみたい、という方には、日本未上陸ながらロスレス/ハイレゾストリーミングを基本としたTIDALやQobuzも候補としてみてはいかがだろう。

 アメリカを中心に展開するTIDALは、2016年にいち早くCD音質のロスレスストリーミングをスタート。現在はハイレゾストリーミングに対応した「TIDAL Masters」の提供も行なっている。フランスに拠点を置くQobuzも、ロスレス/ハイレゾストリーミングの先駆的存在。

 日本で楽しむ際には、両者とも契約を海外渡航時に行なうなどの煩雑な手続きが必要だが、それでも熱心なユーザーがいるのは、スコットランドのリンをはじめとする国内外のハイグレードなオーディオブランドのネットワークプレーヤーがTIDALやQobuzに対応しているから。スマホで聴くのと変わらないぐらい容易な操作で、ロスレスやハイレゾの高音質音源を鳴らせる。ぜひとも多くの方に試していただきたい。

【 本記事の掲載号は スマホで始めるオーディオ&ネット動画再生読本 】

This article is a sponsored article by
''.