BANG & OLUFSEN(B&O)の完全ワイヤレスイヤホン「Beoplay EX」(¥39,900、税込)を数週間試聴し、ひじょうにいい感触を得た。Beoplay EXは4月末に発売されたB&Oの最新モデルで、同ブランドとしてANC(アクティブノイズキャンセリング)機能を搭載した第二世代機となる。

画像: Beoplay EXは頑丈な紙パッケージに収まっている

Beoplay EXは頑丈な紙パッケージに収まっている

 ユニットは新開発の9.2mmドライバーで、この大型ドライバーを内蔵するためにステムデザインが初採用されている。上側の耳に収まる部分にドライバー用のスペースを設け、それ以外の回路をステム部分に格納することで、コンパクトでも耳にもフィットする形状を実現した。

 BluetoothのコーデックはSBC、AAC、aptX Adaptiveに対応し、B&Oクォリティのサウンドを実現している。また充電ケースはアルミニウムの表面にアルマイト処理が施され、持ち運びの際にも傷などはつきにくいはず。充電はUSB Type-Cケーブルと、ワイヤレス充電(Qi)に対応する。

画像: B&Oとしてステムデザインを初めて採用

B&Oとしてステムデザインを初めて採用

 まずBeoplay EXをiPhone12とペアリングして、44.1kHz/16ビット/FLAC音源から『シングルズ 1969-1981/カーエンターズ』や48kHz/24ビット/FLACの『ホテル・カリフォルニア/イーグルス』を聴く。

 一聴して、軽やかで開放的なサウンドと感じる。イヤーチップはシリコン製を使っているが、僕の耳にはうまくフィットして落下の心配もないし、外来ノイズもほどよく遮断してくれる。そのため自宅であればANCオフでもノイズを気にせず音楽が楽しめる。

画像: 4種類のイヤーチップや充電用USBケーブルが付属している

4種類のイヤーチップや充電用USBケーブルが付属している

 カレンの声はすっきり伸びやかで、高域まで素直に伸びていく。「ホテル・カリフォルニア」のドン・ヘンリーのハスキーボイスも耳あたりがよく、ドラムの低音も重さを伴って再現されている。男性・女性とも声がクリーンで、元気のいいキャラクターに寄っていく雰囲気だ。

 次に通勤時のバスでANCをオンにして同じ曲を聴いてみた。ちなみにBeoplay EX では、左イヤホンのセンサーを1回タップすることで、ANCのモード(ANCオン、外音取り込み、ANCオフ)の切り替えが可能。さらにB&OのスマホアプリからANCの効き具合も3段階で選択できる(効果を自動的に調整してくれる『アクティブANC』も選べる)。

画像: B&Oのスマホアプリ画面。ここからアクティブノイズキャンセリングの効果などを設定できる

B&Oのスマホアプリ画面。ここからアクティブノイズキャンセリングの効果などを設定できる

 まずはANC効果「1」を試したが、エンジン音のような一定周期の暗騒音ならこれで充分だし、再生音への影響もほぼ感じられない。ひと昔前のANCのように風切り音がワンステップ遅れるといったこともない。個人的にはこれを常用にしてもいいかも。

 とはいえ地下鉄内の大きめのノイズや乗客の会話はさすがに抑えきれないので、効果を「3」に上げてみた。確かにこれなら外来ノイズは気にならないが、最初に感じた開放感はやや抑えられている。Beoplay EXの持ち味を活かすならANC効果「1」、またはアクティブANC/オンで使ったほうがよさそうだ。

画像: 左がBeoplay EXで、右が前モデルのBeoplay EQ。本体デザインの変更に伴い、ケースのサイズも変わっている

左がBeoplay EXで、右が前モデルのBeoplay EQ。本体デザインの変更に伴い、ケースのサイズも変わっている

 次にプレーヤーをアステル&ケルンの「SP-1000」に交換した。iPhone12とBeoplay EX間はAACコーデックで接続されていたが、SP-1000とはaptX HDでつながっている(SP-1000に確認の表示も出た)。

 ノラ・ジョーンズの「ナイチンゲール」(192kHz/24ビット/FLAC)では、彼女の声が可愛らしく聞こえてくる。ハイレゾらしく音の密度感も上がった印象で、音楽に没頭できた。ただ、この接続では、人混みの改札付近で接続が不安定になることがあった。SP-1000側の出力の問題かもしれないが、aptX HD伝送では再生機器や聴いている環境の影響も大きいようだ。

画像: Beoplay EX(左)とBeoplay EQ(右)のイヤホン

Beoplay EX(左)とBeoplay EQ(右)のイヤホン

 最後に、B&OのANC機能搭載初号機「Beoplay EQ」の音と聴き比べてみた。どちらもiPhone12とペアリングし、ANC効果は「1」に設定。「イエスタデイ・ワンス・モア」と「Rimshot/エリカ・バドゥ」、「BAD/マイケル・ジャクソン」で確認する。

 Beoplay EQも自然なバランスが持ち味で、人の声を素直に再現する。だがBeoplay EXに比べると、生真面目というか、安定感重視の音だと感じた。

 例えるならBeoplay EQは楽譜に忠実に、緊張しながら演奏しているような音で、これに対しBeoplay EXはもっと気楽に、おおらかに演奏している雰囲気が出てくる。この差はそれぞれの持ち味によるもので、クォリティ面ではどちらも優劣付けがたいので、再生する楽曲や聴き方によって選び分けるといいだろう。(取材・文:泉 哲也)

「Beoplay EX」の主なスペック

●使用ユニット:9.2mmダイナミック型ネオジウムマグネット
●Bluetoothコーデック:SBC、AAC、aptX Adaptive
●再生周波数帯域:20Hz〜20kHz
●連続使用時間(ANCオン、AAC):本体最大6時間、充電ケース併用最大約20時間
●寸法/質量:W22.5×H34.8×D22.7mm/6g(本体)、W66.2×H28×D48.2mm/53g(充電ケース)

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