クリプトンは、同社ワイヤレス・コンパクトオーディオシステムの最新モデル「KS-33」(ダブルスリー)を6月下旬に発売する。価格は¥79,800(税別)。
クリプトンKSシリーズは、2010年の「KS-1HQM」登場以来9モデルをラインナップしてきた。今回のKS-33は10世代目のモデルとなる。同社では2020年に発売した「KS-11」が好評で、今回はKS-11をベースに更なる高音質を追究した上位モデルとなる。
一番の特長は、オールアルミフレームを採用している点だろう。これまでもKSシリーズで採用されてきたアルミ押し出し材のフレームを継承。KS−11では両側面は樹脂製だったが、KS-33ではここもアルミに変更している。その側面は純アルミをNC加工で削り出しており、これによって余計な響きのない、静かなエンクロージャーを実現したそうだ。
ちなみにKS-11では樹脂モールドの共振を抑えるために筐体内に吸音材を使っていたが、KS-33ではエンクロージャー自体の強度や制振性が向上したことで、それらもほとんど必要なくなったとのことだ。
なおエンクロージャーの強度や鳴きが抑えられると、低音が出にくくなる可能性もある。KS-33では、35W×2という内蔵スピーカーの余裕を活かして、ユニットの駆動を変更、低域を持ち上げることで全体のバランスを整えているそうだ。パワーアンプやD/Aコンバーターなどの回路はKS-11から変更されていない。
ユニットは、Tymphany製の64mmコーンケーブ・メタル振動板のフルレンジ型で、これもKS-11と同一という。このユニットは小口径ながら迫力ある重低音再現が可能で、フラットな再生特性を備えているのも採用の理由とのことだ。
接続端子はUBSとアナログ3.5mm、光デジタルの3系統で、USBからは最大192kHz/24ビットのハイレゾ信号を入力可能。この他にBluetooth経由での音楽再生も対応済みで、コーデックはSBC、AAC、aptX、aptX HDが楽しめる。
そのデジタル回路やパワーアンプは右スピーカーに内蔵され、左スピーカーとは付属のケーブルでつないで使う仕組みだ。これまでは2mのケーブルが付属していたが、今回このケーブルも見直し、OFC線材を使った3mケーブルにグレードアップしている。
線材の種類については開発者が実際に音を聴いた結果で選んだとかで、この点からも同社の音へのこだわりが伝わってくる。長さが伸びているのは、KSシリーズは大型テレビと組み合わせて使われることもあり、最近の大画面化に伴いL/Rスピーカーの間隔が広がっていることを受けてという。
カラリングは中央部がブラック、両サイドはシルバーで、側面のアルミパネルにはアルマイト処理も施されている。この仕上げや本体の高さはMacbook Airの11インチと組み合わせた時にぴったり収まるように考えられているそうだで、これはKSシリーズのユーザーにはMacで音楽を聴いている人も多いからだという。
新製品発表会でKS-11とKS-33の音を聴き比べさせてもらった。このサイズのユニットを使ったフルレンジスピーカーでは、人の声が一番わかりやすいとのことで、男性・女性ボーカルを再生してもらった。PCから各スピーカーにUSBケーブルでハイレゾ音源を送っている。
KS-11もウェルバランスで、充分楽しめる音を聴かせてくれた。男声の艶感、ビブラートのニュアンスなども自然で、心地いい音場が楽しめる。
KS-33に交換すると、S/Nがよくなって音圧もアップし、男声に厚みがでてきたように感じた。低域も量感が充分で、同時にキレがいい。ギターの細かな響きや消え際の細かい音もKS-33ではきちんと聴き取れる。低域の再現がクリーンになった結果、KS-11で埋もれていた情報までしっかり識別できるようになったということだろうか。
KS-33は価格面ではKS-11から3万円ほどアップしているが、この音の違いならある意味納得。デスクトップやテレビ周りでコンパクトな高品質スピーカーをお探しの方は、一度この音をチェックしていただきたい。
「KS-33」の主なスペック
●型式:フルレンジ・アクティブ型
●使用ユニット:64mmコーンケーブ型
●パワーアンプ出力:35W×2(デジタルアンプ)
●再生周波数帯域:70Hz〜20kHz
●対応ファイル形式:最大192kHz/24ビット リニアPCM/WAV/FLAC/AIFF/ALAC
●接続端子:USB、3.5mmアナログミニジャック、光デジタル
●ワイヤレス:Bluetooth Ver.4.2
●対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD
●寸法/質量:W87×H176×105mm/1.6kg