スウェーデン製のラーセン(Larsen)スピーカーは、手作りの伝統と斬新な技術思想を合わせ持つユニークな存在である。

画像: 北欧からの新ブランドLarsenの「Model 8.2」は、部屋の反響を活かし、透明感のある3次元的な音場が魅力のスピーカー

Larsen
Model 8.2
¥760,000(ペア・税別)

●型式:2.5ウェイ5スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:ウーファー・17.7cmコーン型、ミッドレンジ・17.7cmコーン型、トゥイーター・2.6cmドーム型×3
●インピーダンス:8Ω
●感度:88dB/2.83V/m
●寸法/重量:W278×H916×D328mm/25kg
●問合せ先:ベッドフォードサウンド TEL.050(5809)8074

 トゥイーターの取り付けは地球の1/4半球をカットした地学教材のような雰囲気だ。これはリスニングルーム全体の反響条件を考慮し、その現実の響きを味方にしようという設計思想からきている。つまり、斜め上方向-直方体に対角線にまで音を放射し、部屋全体で響きが響きを生む状態を作り出そうという狙い。また天面の保護ネットを外すと、斜め上をにらむミッド/ウーファーユニットが顔を出す。本機の高域、低域ユニットはいずれもスキャンスピーク製だ。

 さらにユニークなのは壁から10cmという近距離に設置しL/Rが鏡対称になることだ。すなわち、もうひとつのウーファーが側面にあり、そのL/Rは互いに内側を向くようにするのだ。ほかに2つのトゥイーターユニットが上方向に向けて取り付けられている由。

 その設置法だが、まず管球王国誌試聴室の通常の定位置で聴くと音が薄く定位が曖昧。それが指定通りの壁近接配置にすると、低域のみならず全帯域が充実して、濃密にして軽妙な描写性能があきらかになる。低音は予想に反して膨張することなく、音場は3次元的展望を見せながら透明感がある。物腰柔らかに歌い語る音像は、輪郭を強調せずに自立している。この上品なタッチに酔いしれていると、いつのまにか桃源郷を飛行して、まるで「音楽浴」をする気分になれる達意の世界だ。

ミッドレンジとトゥイーターは傾斜バッフルに設置され、斜め上方に音を放射する。さらにミッドレンジ下部前の平坦な部分には、アンビエント用トゥイーター2基を上向きに配置している。ウーファーは本体下部に設けた独立した気室に格納され、側面のポートから音を放射する。使用ユニットはすべてスキャンスピーク社製。

本体上部背面に、バイワイヤリング対応の入力端子を装備する。

試聴中の吉田氏。推奨である正面の壁から約10cm、左右の壁からは均等に1.2m離した位置にセットしている。

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【 本記事の掲載号は 管球王国Vol.101 】

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