デノンから、ドルビーアトモス対応サウンドバーの新製品「DHT-S517」が発表された。市場想定価格¥59,800前後(税込)で、1月下旬の発売を予定している。

画像: サウンドバーはW1050×H60×D95mmというサイズ。50インチ以上の薄型テレビとの組み合わせがお勧めだろう

サウンドバーはW1050×H60×D95mmというサイズ。50インチ以上の薄型テレビとの組み合わせがお勧めだろう

 同社によると、ここ数年はコロナ禍によるリビングテレビの需要拡大があり、それに伴ってサウンドバー市場も2017年比で約1.5倍に拡大しているという。デノンのシェアも右肩上がりで、特に2019年に発売した「DHT-S216」がヒット、続く「SOUND BAR550(SB550)」も高級機ながら好評を博しているそうだ。

 そのDHT-S216は、「良い音を知っている日本人のためのピュアでストレートなサウンドバー」というコンセプトが広く受け入れられ、現在も好調な出荷を続けている。新製品のDHT-S517はこのDHT-S216の上位機という位置づけで、ドルビーアトモスに対応を果たしたミドルレンジのモデルとなる。

 ドルビーアトモス音声は、UHDブルーレイはもちろん、最近はNetflix、ディズニープラスなどの動画配信サービスでも採用されるなど、対応コンテンツが増加している。デノンではこうした映画や音楽を、もっとたくさんの方に楽しんでもらいたいという思いでDHT-S517をラインナップに加えたということだろう。

画像: ワイヤレスサブウーファーはW172×H370×D290mmで重さは4.3kg。ワイヤレスタイプだが、音のつながりを重視するならできるだけサウンドバーの近くに設置したい

ワイヤレスサブウーファーはW172×H370×D290mmで重さは4.3kg。ワイヤレスタイプだが、音のつながりを重視するならできるだけサウンドバーの近くに設置したい

 製品自体は、サウンドバーとワイヤレスサブウーファーの2筐体からなる3.1.2システム。フロントL/R用は25mmトゥイーター+120×40mm楕円形ウーファーの2ウェイで、センター用は25mmフルレンジユニットを搭載している。さらに本体天面に、デノンサウンドバーとして初めて66mmイネーブルドスピーカーを2基内蔵した。

 ワイヤレスサブウーファーは150mmコーン型ユニットを内蔵しながら、A4のスペースがあれば設置できるコンパクトなサイズを実現。ユニットは本体正面に取り付けられているので、縦置・横置のどちらでもOK。

 接続端子はHDMI入力1系統と、eARC対応のHDMI出力を1系統搭載。さらに光デジタル入力、3.5mmアナログ音声入力も備える。この他にBluetoothによる音楽再生にも対応している(コーデックはSBC)。

画像: 接続端子は本体背面中央に装備。HDMI入出力が各1系統と、光デジタル、3.5mmアナログ音声入力というもの。写真右端のUSB端子はシステムのアップデート用

接続端子は本体背面中央に装備。HDMI入出力が各1系統と、光デジタル、3.5mmアナログ音声入力というもの。写真右端のUSB端子はシステムのアップデート用

 再生可能な信号はドルビーアトモス、ドルビーTrueHD、ドルビーデジタルプラス、ドルビーデジタル、リニアPCM(最大7.1ch)。さらに放送用のMPEG-2AACと、BS4Kで使われているMPEG-4 AACにも対応する。

 加えて先日パナソニックの「DMR-ZR1」に採用されて注目を集めたドルビーアトモスMAT(リニアPCMとメタデータで3Dオーディオを伝送する)信号も再生できる。ドルビーアトモスAMTはゲーム機等でも採用されているので、DHT-S517なら没入感のあるゲーム体験が可能ということだ。

 さてDHT-S517では、「Vivid & Specious」というデノンサウンドの実現にも注力されている。これはデノンのサウンドポリシーとしてハイファイモデルからAV機器まで共通しているコンセプトだ。

 もちろん、そのために細かな配慮も施されている。まず、いい音のためにはスピーカーユニットを正確に前後に駆動することが理想で、そのためにはユニットがしっかり筐体に取り付けている必要があると考えた。

画像: DHT-S517のスケルトンモデル。本体中央のセンターユニットは、人の声の再現性を高めるためにアルミ振動板を採用している。その右側に7chぶんのデジタルアンプと、高性能SoCが内蔵されている

DHT-S517のスケルトンモデル。本体中央のセンターユニットは、人の声の再現性を高めるためにアルミ振動板を採用している。その右側に7chぶんのデジタルアンプと、高性能SoCが内蔵されている

 サウンドバーの筐体は前後ふたつのパーツを組み合わせているが、今回は剛性を確保できるようにシミュレーションを行い、リブ等を追加することでスマートなデザインのまま、頑丈なボディを実現した。

 サブウーファーも、ストレート&ハイスピードの低音を目指してユニットを前向きに搭載。背面のバスレフダクトも、従来はツーピース構成だったものをワンピースに変更し、継ぎ目をなくしてエアフローノイズを抑制するなどの工夫を盛り込んでいる。

 この他にも信号処理を行うSoCチップも演算能力が向上しており、その分の余力を音のよさに活かせるように配慮しているそうだ。

 再生モードは「MOVIE」「MUSIC」「NIGHT」「PURE」を準備し、コンテンツの種類や視聴時間に応じて最適なサラウンド効果を選択できる。最後の「PURE」モードはアップミックスなどの処理を排除し、音源に収録された信号を可能な限りストレートに再生するもので、DHT-S216等でも好評の機能だ。

画像: 「PURE」モードは、デジタル回路のデコーダー以降の処理をバイパスして、信号をダイレクトにアンプ部に送ることで、よりソースに忠実な再現を行うもの。これ以外のモードを選ぶと、2chや5.1ch、ドルビーアトモスのすべての信号が3.1.2環境で再現される

「PURE」モードは、デジタル回路のデコーダー以降の処理をバイパスして、信号をダイレクトにアンプ部に送ることで、よりソースに忠実な再現を行うもの。これ以外のモードを選ぶと、2chや5.1ch、ドルビーアトモスのすべての信号が3.1.2環境で再現される

 新製品発表会で、DHT-S517のサウンドを体験させてもらった。2chのジャズヴォーカルCDをPUREモードで再生すると、男声がセンターに定位し、その胸板の厚さまで伝わってくる。ピアノやベースといった楽器の配置もよくわかり、音源の情報がしっかり再現されていることがわかる。

 ドルビーアトモス収録の映画ブルーレイでは、レースの疾走感、車の移動感が画面サイズを超えて広く展開される。イネーブルドスピーカーの効果か、上方向の情報も豊かで、空を飛ぶ鳥の声なども聞き取れる。作品世界をリアルに感じることができた。

 さすがにリア側まで包み込まれる……というわけにはいかないが、ドライバーの声に込められた緊張感などもしっかり伝わってくるので、作品への没入感が増している。

 DHT-S517はネットワーク関連機能は非搭載で、SB550のように本体だけで音楽ストリーミングサービスを楽しんだり、アレクサで音声操作をすることはできない。しかしそのぶん基本的な音質、サラウンド再生といった点に力が注がれており、テレビとの組み合わせでいい音を楽しみたいという方にはぴったりだ。自分のニーズをよく考えて、デノンのサウンドバーを選び分けてみてはいかがだろう。

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