4K LCD DISPLAY
43P725B
オープン価格(実勢価格7万円前後)
Specification
● 型式:4K液晶ディスプレイ
● 使用パネル:VA液晶
● 画面サイズ:43インチ
● 解像度:水平3840×垂直2160画素
● バックライト:直下型LED
● 搭載チューナー:地上デジタル×2、BS/CSデジタル×2、BS/CS4K×2
● 接続端子:HDMI入力2系統(ARC/eARC対応)、LAN1系統、ほか
● HDR対応:HDR10、HLG、ドルビービジョン
● 備考:Wi-Fi対応
● 寸法/質量:W965×H621×D229mm/7.2kg
● 問合せ先:(株)TCLジャパンエレクトロニクス TEL 0120-955-517
エントリーモデルでありながら、スマートテレビとして機能性が高い
2021年8月、わが家にTCLの4Kスマートテレビ、43P725Bが到着した。これは本誌の記事を進めるにあたって、できるだけ新しいスマートテレビでネット動画周辺の最新の動向を確認できるようにしたいと思い、メーカーから借用したもの。都合2ヵ月にわたり、自宅リビングでネット動画ほか、さまざまなコンテンツを視聴することができた。ここでは、実際に43P725Bを自宅で使ってみてわかったことや、ネット動画を観るにあたってスマートテレビにどのような機能性が必要だと感じたかなどをリポートしたい。
その前に、TCLと聞いてピンとくる読者の方は、まだそれほど多くないのではないだろうか。TCLは中国に拠点を置く大手家電メーカーで、1999年に世界のテレビ市場に参入。いまや液晶テレビ部門において世界第2位の出荷台数を誇るまでに成長している。
日本では4年ほど前から販売を開始し、2019年秋に日本市場向けに開発されたラインナップを投入して本格参入。この夏にはさらに充実した新製品7モデルを発売したばかりだ。
ラインナップの詳細については本文下をご確認いただきたいが、43P725Bは7モデルのうち末弟にあたり、エントリーモデルと位置づけられている。そのため価格もお手頃で、4Kテレビの43インチサイズながら実勢価格は7万円前後。最近はスマホやPCも普通にそれぐらいの値段はするので、それに比べればリビングエンタテインメントの主役たるテレビが7万円で買えてしまうのは驚きでしかない。
ベゼル幅が抑えられたすっきりとしたなパネル部、シンプルで安定感のある4本足のスタンド部、電源オフ時にほんのりと光る本体下部のリモコン受光部など、安価であってもチープな印象はなく、主要なパーツをほとんどグループ内で調達できる大手メーカーらしい余裕が感じられる。
また、今回はリビングの壁面にサイズの合う木製ラックを用意して設置したのだが、食卓からの視距離が2m弱ということもあり、43インチというサイズ感もちょうどいい。
TCLのテレビは、量子ドットLED技術を採用した「QLED液晶パネル」とそれを効率よく駆動する「Mini-LED方式バックライトシステム」という、ふたつの高画質技術を大きなアピールポイントにしているが、43P725Bにはこれらの技術は非採用。液晶パネルは通常色域、バックライトは画面を1296ゾーンに分割したうえで表示される絵柄に応じて最適な処理を行なうマイクロディミング方式が採用されている。いっぽうで、Android TV OSの採用やBS/CS4Kチューナーのダブル搭載、ドルビービジョン/ドルビーアトモスへの対応、HDMI eARCへの対応などは上位モデルと共通。つまり、地デジやBS/CSデジタルなどの放送系コンテンツと各種ネット系コンテンツを分け隔てなく楽しめるスマートテレビとしての機能性は、上位モデルと何ら変わらないわけだ。
機能性と画質がバランスした、幅広いユーザーに訴えるモデルだ
43P725Bを長期間使ってみて実感したのは、日頃スマホやパソコンでネット動画を楽しむことが多いであろう若年層から、これからテレビを新調してネット動画を楽しみたいという中高年層にまで、スマートテレビの使いやすさと4Kテレビの高画質をバランスよく伝える、とても配慮の行き届いたモデルだということ。
現在は手持ちのテレビにスマート端末を接続してネット動画を観ているという方も、本機のようなスマート機能内蔵テレビにリプレイスすれば、より快適にネット動画へのアクセスが可能になる。特にAndroid OSを採用するスマホやタブレッドをお使いの方なら、ユーザーインターフェイスや操作性が基本的に同じ考え方で作られているので、ほとんど違和感なく使えると思う。
まずは使い勝手について。Android TV OSを採用する最大のメリットは、アプリをインストールすることでさまざまなネット動画サービスにすぐ対応できること。リモコンにはNetflix/Hulu/U-NEXT/ABEMA/YouTubeのダイレクト選択ボタンが用意されているが、アプリをインストールすればその他の主要サービスのほとんどが利用できるようになる。また、テレビのリモコンはコンテンツ検索時の文字入力が面倒……と思われている方が多いかもしれないが、リモコン中央に配置されるGoogleアシスタントボタンを使えばすぐに音声検索が可能だ。個人的には、iOSのSiriやAmazonのAlexaよりも音声認識の精度が高く、お目当てのコンテンツに早くたどり着ける印象がある。
現状、Android TV OSを採用するメーカーはTCLのほかは、ソニー/シャープ/フナイ/東芝レグザの4社だが、東芝レグザやTCLと同じく手頃な価格設定で人気のフナイは、2021年10月時点でNetflixに未対応。そういった点からも、TCLのコストパフォーマンスの高さがうかがい知れる。
Android TV OSを採用するTCLのホーム画面。ユーザーインターフェイスは最上位モデルの65C825からエントリーモデルの43P725Bまで全7モデル共通。さくさくと動く快適な操作性が好印象だ。NetflixやPrime Video、YouTubeなど全世界展開のサービスはもちろん、写真のようにU-NEXT、ABEMA、GYAO!、dTV、TVerといった日本独自のサービスにも対応している
リモコンは従来の同社モデルのレイアウトを踏襲している。十字キーの上に配されたGoogleアシストボタンは、ネット動画で快適に検索をするための必須機能。日本ではまだまだ音声検索を使うユーザーは多くないようだが、音声認識の精度が高いので、一度使い始めると文字入力には戻れない。最下部にネット動画のダイレクト選択ボタンを配置しているのも従来通り
次に画質。先ほど触れたように、液晶パネルまわりに関しては上位モデルに採用された独自技術こそ割愛されているものの、4Kテレビらしい精細感や見晴らしのよさを充分に味わうことができるクォリティだ。画質モードを「映画」、詳細設定の「動的バックライト」から「明度+」を選択してAmazon Prime Videoで『シン・エヴァンゲリオン 劇場版』冒頭の戦闘シーンを再生すると、抜けるような青空と赤く染まったパリ市街地の対比が鮮やか。優雅に宙を舞う8隻の戦艦や、奔放に機関砲を撃ちまくるエヴァンゲリオン8号機βの姿も、精密なメカニックデザインの描き込みを保ったままなめらかに動く。
ドルビービジョン作品を再生する場合は、画質モードとして「明るい動画」か「薄暗い動画」を選択できる。Netflixオリジナルドラマでドルビービジョン/ドルビーアトモス作品『ヴァージンリバー』シーズン1第1話の冒頭、主人公が夜の山道を運転するシーンを両方のモードで比較すると、「薄暗い動画」のほうが森の深い暗闇とクルマのヘッドライトの明るさのコントラストが豊か。ライトに照らされる人物の顔が引き立ち、眩しそうな表情にも説得力があると感じた。
メニューから「映像設定」を選ぶと、映像の詳細設定画面に。「画質モード」は「ダイナミック」「標準」「スマート」「スポーツ」「映画」「ゲーム」「PC」が用意されている。ドルビービジョン対応コンテンツを再生中はメニュー最上部に「Dolby Vision」と表示され、「明るい動画」「薄暗い動画」が選べる。また「明るさ設定」には「明るさ」「コントラスト」「黒レベル」のほか「動的コントラスト」「黒伸張」「動的バックライト」が用意され、今回の視聴では「動的バックライト」で明るさを最適化する「明るさ+」を選ぶなどの調整を行なった
同じくメニューから「音声設定」を選ぶと、音声の詳細設定ができる画面に。イマーシブオーディオ的な効果が得られる「サウンドバーチャライザー」や低域を拡張する「バスエンハンサー」、センターチャンネル音域が強調される「ダイアログエンハンサー」、高音域を調整する「高音域強調」などが用意されている。また、ドルビーアトモス対応コンテンツを再生中のみ「ドルビーアトモス」が表示され、オン/オフが選べる
最後に音質について。同じく『ヴァージンリバー』で、音声設定から「ドルビーアトモス」を選択すると、車内と車外の空気感の違いをしっかり再現しつつ、トラックに煽られて主人公のクルマがスリップする様子も力強く聴かせる。eARCを活用してサウンドバーなどと接続すれば音質を強化できるので、物足りなさを感じた方はお試しいただきたい。
ここ数年、ネット動画の画質/音質の底上げが急速に進んでいる。基本無料で楽しめるYouTube
にも、4K/8Kのコンテンツが膨大にアップされている。ネット動画をスマホ/パソコンと変わらない快適さと4Kテレビの高画質で楽しめて、価格はきわめてリーズナブル。43P725Bで、ネット動画の世界を縦横無尽に楽しんでみてはいかがだろうか。
Android TVと4Kチューナー搭載。
ネット動画が楽しいTCLの2021年モデルに注目
TCLが2021年8月に登場させた4K液晶テレビのラインナップは、3シリーズ7製品での展開で、いずれもAndroid TV OSとBS/CS4Kチューナーを搭載、ドルビービジョン&アトモスにも対応している。
最上位C825シリーズは、最新のQLED方式の倍速液晶+Mini-LEDバックライトを搭載した製品群。パネルのエリアを細かく分割してバックライトを部分的に制御するローカルディミング技術も採用したトップシリーズで、65インチ(実勢25万円前後)と55インチ(実勢20万円前後)の2サイズが用意されている。
QLED方式の倍速液晶を搭載するC728シリーズは、75インチ(実勢20万円前後)、65インチ(実勢13万円前後)、55インチ(実勢11万円前後)を擁するスタンダード4Kライン。機能性と画質のよさを高次元で両立しつつ、コストパフォーマンスの高さを訴求する製品シリーズだ。
多彩なネット動画を楽しめるシンプルデザインのエントリーシリーズがP725となる。50インチ(実勢8万円前後)と43インチ(実勢7万円前後)の2サイズ展開で、価格を抑えつつも、機能的には上位機と同等で、パーソナルユースに最適な製品群となる。
65C825
最新のQLED液晶とMini-LEDバックライトを搭載したTCLの現行フラッグシップ4KテレビがC825シリーズとなる
65C728
C728シリーズは、QLED液晶と直下型バックライトを用いて高画質を追求するスタンダードライン