音質には不満がある。でも便利さにかまけて、移動時はもっぱらスマホ+ブルートゥースイヤホンもしくはスマホ+直挿しの有線イヤホンでサブスクを聴いている。そういう人におすすめしたいのが、アステル&ケルンの極小ヘッドホンアンプ/USB DACのPEE51 AK USB-C Dual DAC Amplifier Cable(以下、PEE51)だ。
形状はご覧の通りコンパクトで、ほとんど有線イヤホンの直挿しと変わらない感覚で使用でき、それでいてアステル&ケルン製品らしい高級感も漂わせている。USBタイプC端子を採用するスマホやPCにPEE51のUSBタイプCプラグを挿し、本体のLEDが点灯すれば接続完了。あとは本体にあるステレオミニ端子に好きなヘッドホンやイヤホンを接続して再生するだけ。シーラスロジックのDACチップCS43198をデュアル搭載し、DSDを含む現行のハイレゾ音源はほぼ網羅している。ただし、デバイスはUSBタイプC端子を装備するアンドロイドOSのスマホとタブレット、ウィンドウズ10とMac OSのPCへの対応となり、iOSのデバイスは公式にはサポートしていない点に注意したい。
まずはSpotifyアプリをインストールしたアンドロイドスマホのイヤホン端子に、常用しているシュアSE535のステレオミニプラグを直接挿し、グレゴリー・ポーターの「フェニックス」を聴く。その後、USB接続したPEE51経由で同じ曲を聴き比べると、後者は圧倒的にS/Nが高く、ヴォーカルのぬくもりやキック&ベースの沈み込み、タンバリンの歯切れのよさ、ホーンセクションのアタック感などがフレッシュに伝わってくる。Amazon Music HDのハイレゾで同曲を聴くと、中域で絡み合うオルガンの持続音やギターのフレーズが気持ちよくほぐれ、アンサンブルをさらに見通しよく眺めることができた。今回は試せなかったが、PCと組み合わせればリモートワーク時の音楽リスニングも格段に上質なものになるだろ。
できるだけ手軽にヘッドホン/イヤホンの音質改善を図りたい人にとっては、確かな費用対効果が期待できるアイテムだ。