U-NEXTは、興行収入37億円を突破した、菅田将暉・有村架純主演のヒット映画『花束みたいな恋をした』を7月14日(水)から独占配信すると発表した。また同時に、同社が取り組んでいる「ONLY ONE戦略」についても紹介を行った。
U-NEXTは月額¥2,189の配信サービスで、見放題作品と¥1,200ポイントのレンタル、コミック、書籍の購入などもできる。マーケットシェアは日本3位で、国内ブランドとしてはトップとなる。有料会員数は昨年中で33%アップ、218万人を超えているそうだ。
同社ではこれまで、圧倒的なカバレッジ(品揃え)を中心にサービスを展開しており、韓流やアニメ作品については他のサービスに先んじてきた。そして、この品揃えをベースに「オールインワン・エンターテイメント戦略」も実施している。
オールインワン・エンターテイメント戦略では、ビデオ、音楽、ブック、ライブといったジャンルを超えたカテゴリーについて、ひとつのアプリでコンテンツを提供することでユーザーの利便性を改善、さらに検索性も向上させるとしている。
そしてONLY ONE戦略では、ここ(U-NEXT)でしか見られない、良質なコンテンツを揃えていくことを目指す。既に3月30日にワーナーメディアとのパートナーシップ契約を発表しており、HBO、HBO Maxの新作オリジナル作品はU-NEXTでのみ楽しめることになる。
同社は、このONLY ONE戦略を映画コンテンツにも展開していく。その第一弾として、役所広司主演の『すばらしき世界』が5月18日から独占配信された。続く第二弾は6月19日に配信をスタートする『あの頃。』で、第三段、第四弾として日本映画や海外アニメも既に準備が進んでいる。上記の『花束みたいな恋をした』は第五弾というわけだ。
U-NEXT編成制作本部 映画部・部長の林健太郎氏は、ONLY ONE戦略について、「良質な作品を、映画ファンにいち早く、毎月1本届けるというコンセプトで考えています。今後は映画の製作委員会等への参加を含めて取り組んでいきたい」と話していた。
ちなみにU-NEXTでの直近の映画配信状況としては、見邦題作品として外国映画、日本映画合わせて11,000以上のタイトルを揃えており、アマゾンやNetflixを大きく凌駕している。これは「レンタルビデオ店の最終進化形」になること目標にした結果という。
レンタル店はかつて全国に1万店以上あり、映画の図書館的な役割を果たしていた。しかし今では店舗数も減っているので、その代わりになりたいという思いのようだ。
そのこだわりは、黒澤明やポン・ジュノの監督作品、アカデミー賞作品賞受賞作品を、他の配信サービスに比べても圧倒的に多くラインナップしていることからも感じられる。
林氏は「黒澤監督は生涯で30本の作品を撮っていますが、U-NEXTでは既に29作品を見放題で配信しています。残る『デルス・ウザーラ』は権利の関係で実現出来ていませんが、海外の権利者に交渉するなどの努力を続けています」と、映画ファンには嬉しい取り組みを紹介してくれた。
さらに同社では映画業界とのコラボレーションにも取り組んでいる。現在のコロナ禍もあり、劇場での公開から短期間でオンラインでも公開し、そこからレンタル、見放題という、映画の新しい公開方式が生まれている。これは映画会社にとってもメリットがあるそうで、実際にU-NEXTには映画会社からの相談も多くあり、昨年は122作品をオンライン公開したそうだ。
その他、国内の多くの映画祭がオンライン開催になったことを受け、映画祭との連携も進めているし、U-NEXTのポイントで映画チケットも購入できるなど、リアルな映画館とのコラボも進めているそうだ。
「U-NEXTは映画ファン、制作陣、興行会社、配給会社とともに、日本の映画文化、産業を支えていきたい。映画興行と配信は“競合関係”ではなく“共存関係”です」と林氏は話していた。