いまから約40年前、磁気テープの製造、販売からスタートした中国TCL。1992年には仏の有力テレビメーカーの旧トムソン(現テクニカラー)との合弁会社設立により、テレビ市場への参入を果たしている。
同社の最大の強みは、テレビの心臓部とも言える液晶パネルはもとより、主要な信号処理回路、スピーカーのドライバーユニット、さらには本体キャビネットについても、TCLグループ内で開発、製造できること。垂直統合型のモノづくりは、商品力、生産コストの両面でがぜん有利。良質なテレビをリーズナブルな価格で提供することが可能だ。
ここで紹介するのは、32インチでフルHD解像度(水平1920×垂直1080画素)の液晶パネルを投じた32S5200Aと、光の波長変換によって高純度のRGB発色を確保するQuantum Dots(量子ドット、以下QLED)技術を採用した4K液晶テレビ、65C815だ。
LCD DISPLAY
TCL
32S5200A
オープン価格(実勢価格3万6000円前後)
● 型式:32インチフルHD液晶テレビ
● 特徴:Android TV OS、ドルビーオーディオサウンドシステム
● 寸法/質量:W731×H484×D180mm/4.4kg
この両モデルに共通しているのは、OSにGoogleが提供するスマートテレビOS(基本操作ソフト)、Android TV OSを採用していること。日本独自のアプリも含めて、多彩なネット動画配信サービスに対応し、購入後にユーザーが「Google Play ストア」からお目当てのアプリをダウンロードすることも可能だ。
現在ほとんどの32インチ液晶テレビがワイドXGA解像度のパネルを搭載しているため、いまや貴重な32インチのフルHD液晶パネルを採用した32S5200A。LEDバックライトはパネル直下の配置で、映像信号を分析し、絵柄に応じた最適処理を行なう独自のテクノロジー「マイクロディミング」を搭載済だ。
今回はHDMI接続でパソコンとつないだ各種オンライン・ライブ映像や「THE FIRST TAKE」(YouTube)を中心に視聴したが、深みのある画調といい、鮮やかな発色といい、その映像テイストは4Kネイティブ映像に通じるもの。2K作品はもとより、4K作品の豊かな表現力にも目を見張るものがある。
QLED液晶の鮮やかな色再現と艶っぽい音で魅力的な65C815
続いて4K仕様のQLED液晶パネルを搭載した65C815。今回はメリル・ストリープ、ニコール・キッドマンの豪華共演でも話題を集めたNetflix配信のミュージカル映画『ザ・プロム』を再生。多彩な色彩がテンポよく躍動する映像にくぎ付けになるが、特に深いグリーン、鮮やかな赤と、その豊かな発色が実に新鮮。QLED液晶ならではの表現力だ。
4K LCD DISPLAY
TCL
65C815
オープン価格(実勢価格11万円前後)
● 型式:65インチ4K液晶テレビ
● 特徴:Android TV OS、ドルビーアトモス対応サウンドバー
● 寸法/質量:W1,446×H934×D366mm/27kg
● 問合せ先:(株)TCLジャパンエレクトロニクス TEL 0120-955-517
サウンドバー+サブウーファーの豪華音響システムが奏でるサウンドも、期待していた以上にイケる。明瞭度の高いセリフを中心に、その周辺から効果音、音楽が重なり、メリル・ストリープの歌声も明るく、艶っぽく、実に楽しい。そのほかオンライン・ライブ配信やYouTubeのコンサート作品等もチェックしたが、これも想像以上に魅力的だ。
映像と音を高い次元で両立した貴重な4Kテレビ。特にオンライン・ライブ配信を中心にしたネット動画を楽しみたい方に、ぜひおすすめしたい。