意欲的な新作コンテンツを続々と投入するNETFLIX。人気の高いアニメ作品も続々と新作がリリースされている。ここで紹介するのは、ポリゴン・ピクチュアズが制作する『パシフィック・リム 暗黒の大陸』。実写映画の人気シリーズの続編がアニメとなって完成した。2K/HDRの映像と5.1ch音声で迫力あるドラマとバトルが楽しめる。

『パシフィック・リム』の物語のその後を描くシリーズ

 『パシフィック・リム』は、太平洋に出現した謎の裂け目から現れた怪獣を倒すため、人類が開発した巨大ロボット「イエーガー」で立ち向かう物語。大迫力のバトルが大きな話題となった。その後、続編である『パシフィック・リム アップライジング』も公開され、太平洋の裂け目は閉じられたはずだった。本作はその後を描くもので、今度はオーストラリア大陸に巨大な裂け目が出現。無数の怪獣たちに蹂躙され、人類はオーストラリアから撤退した。というもの。

画像1: 『パシフィック・リム』の物語のその後を描くシリーズ

 パイロットが二人一組となり、意識を融合させるドリフトで操縦する設定、コクピット内での身体の動きがそのままロボットの動きに反映される操縦方法もまったく同じ。アニメになったことで、イエーガーの間接部にオイルがにじむような描写や怪獣たちの生物的な生々しさはやや差を感じるものの、巨大なロボットや怪獣が動き回る重量感たっぷりのアクションはそのまま。

 イエーガーの派手なペイントはアニメとも相性バッチリだし、瞳や身体の模様がシアン系の蛍光色で発光する怪獣の姿は、アニメとなってさらに自由な造形となり、その動きも新鮮だ。実写版の魅力をしっかりと継承しながら、アニメならではの迫力ある動きは、新たな『パシフィック・リム』として最高の映像になっている。

画像2: 『パシフィック・リム』の物語のその後を描くシリーズ

 物語の主人公となるテイラーとヘイリーの兄妹は、基地に避難するものの取り残されてしまう。両親はイエーガーのパイロットであり、子供達(兄妹)を安全な峡谷に隠れさせたのち、救援を求めて出撃する。しかし、戻ってくることはなく、5年の月日が経過した。基地には廃棄されていたイエーガー、“アトラス・デストロイヤー”が頼りだが、老朽化し訓練機として使われていた機体のため、武装はない。これだけで、数多の怪獣たちが跋扈する大陸を移動し、両親が向かったはずのシドニーを目指すことになる。大陸に取り残された兄妹が必死で生きる姿を描く、なかなかハードな展開だ。

 イエーガーには、高性能なAIが搭載されており、操縦方法のレクチャーから戦闘時のアドバイスなど、多彩に活躍してくれる。兄妹とのいかにも機械然とした受け答えもなかなか楽しい。物語の展開はかなりハードだが、決してシリアスになりすぎないバランスとなっているのも魅力だ。

素手の殴り合いがメインの肉弾戦が迫力満点。
巨大ロボットものとしてもちょっと異色

 武装を持たないアトラス・デストロイヤーは、怪獣との戦いでは殴る蹴るの格闘しかできない。しかもまだ操縦に不慣れな兄妹では、自在にイエーガーを操ることもできない。妹のヘイリーが初めてドリフトする時には、ふたりの記憶に呑まれてシンクロがうまくいかなくなるお約束のシーンもある。

画像: 素手の殴り合いがメインの肉弾戦が迫力満点。 巨大ロボットものとしてもちょっと異色

 イエーガーと怪獣の殴り合いも重量感たっぷりの描写が見物だが、怪獣たちに有効な攻撃とはならず、逃亡することが唯一の策となる。怪獣の突撃をかわして谷底へ落とすなど、あの手この手で攻撃をいなすのだ。ヒーロー的な活躍とは言いがたいが、緊迫感のある戦いとなっていて面白い。

 また、廃墟となった都市でイエーガーを降り、物資を探す場面では小型サイズの怪獣も登場。これらには銃やバズーカ砲などの兵器で立ち向かうことになる。このあたりも本作での新しい要素。ビルの中に身を潜め、怪獣たちに気付かれないように移動するステルス・アクションも見どころだ。

 そして、大陸には怪獣たちの死骸や卵、イエーガーの部品を求めて狩りを行なう無法者たちも現れる。彼らとの出会いが兄妹の旅にも大きく関わってくる。そして、別の基地の研究施設内では、研究用のカプセル内で生きていた謎の子供とも出会う。何もしゃべらない“ぼうや”の正体が実に気になる。また、時折現れては兄妹を助けるような行動をとる、怪獣とイエーガーが融合したような存在もいて、なかなかに謎めいた物語となっていることが分かる。

 現在配信されているシーズン1ではその全貌は明かされず、予定されているシーズン2ですべてが明らかになると思われるが、果たして兄妹は無事に生きのびることができるのか。怪獣たちに支配された大陸を人類は取り戻すことができるのか。シーズン2の配信が待ち遠しいものとなっている。

『パシフィック・リム』の設定を活かしながら、まったく異なる物語を描く

 本作は『パシフィック・リム』の世界観を継承しながらも、従来の爽快なバトル展開とはひと味異なるものになっていることが大きな特徴。とはいえ、禁断の単独でのドリフトを行なったり、『パシフィック・リム アップライジング』で活躍したイエーガーとパイロットも登場するなど、これまでのファンにはうれしい場面もある。地球に怪獣たちを送り込む異次元世界(?)の存在も気になるし、怪獣たちは大陸で活動するうちに独自の進化を果たしているようにも見える。さらに奥深く広がって行く『パシフィック・リム』の世界を存分に楽しめるだろう。

 レジェンダリー・テレビジョンとポリゴン・ピクチュアズがタッグを組んで制作した本作は、日本アニメとハリウッド映画の面白さが絶妙にブレンドされた新しいシリーズだ。迫力のアクションを大画面とサラウンド音響で存分に楽しんでほしい。

Netflixオリジナルアニメシリーズ『パシフィック・リム 暗黒の大陸』

Netflixにて世界独占配信中
共同制作:クレイグ・カイル、グレッグ・ジョンソン
製作:レジェンダリー・テレビジョン
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ
声のキャスト:ヘイリー・トラヴィス 下田屋有依/テイラー・トラヴィス 小林祐介/ロア 水瀬郁

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