竹中直人さん、山田孝之さん、齊藤 工さんの3人が監督を勤めた映画『ゾッキ』が4月2日（金）から全国公開される。それに先立ち、撮影が行われた愛知県蒲郡市で3月20日（土）から先行上映がスタート、さらに26日（金）から愛知県で先行公開される（一部劇場を除く）。
そして先週末の3月20日（土）18時から、『映画「ゾッキ」公開直前TikTok LIVE』として配信イベントが開催された。もともとは蒲郡市でイベントが予定されていたが、コロナ禍や東京都を含む緊急事態宣言の延長などもあり、オンラインでの開催になったという。
作品中で福くんが書く、とあるメモも必見とか
東京の会場には竹中さん、山田さん、齊藤さんに加え、原作者の大橋裕之さん、出演者の鈴木 福くん、松井玲奈さん、九条ジョーさんも参加し、映画にまつわるトークショーを開催した。
竹中さんによると、2018年の『火星の人』という舞台に出演している頃に共演者の楽屋で『ゾッキ』の原作を見て、「これを映画にしたい！」と思ったそうだ。そこから山田さんや齋藤さんに声をかけて今回のプロジェクトが実現したとのことで、「本気で願えば夢は叶うんですね」と満面の笑みで話していた。
幽霊のような女を演じるに際し、自分で心霊写真を撮って楽しんでいたという松井さん
さてイベントでは出演者にも撮影時の思い出について質問があった。鈴木 福くんは、「竹中さんと一緒の現場で、楽しく演じることができました。今までにない役でしたし、アルバイトもしたことがなかったので、こういう感じなのかと想像しながら演じていました」と話した。
幽霊のような女という役柄の松井玲奈さんは、「私は何かにつけて幽霊を演じることがあるんです。今回はこんな役は二度とできないと思って、ぜひやりたいですとお願いしました。不思議な空気感がある女性なので、その場で自分が思ったようにやるのがいいんじゃないかと思って演じました。また今回は顔の型取りをしたのですが、その間ずっと竹中さんが話しかけてくれて嬉しかったです」と話していた。
山田さんも蒲郡の皆さんへの感謝を述べていた
そんなふたりのキャスティング理由を聞かれた竹中さんは「福くんとは2019年の朗読劇でご一緒したのですが、その時の声の音色が素晴らしかったので、この役は福くんしかないと思いました。
もう言うことがなかったですね。松井さんが出演してくれたのはとても印象的なコマ（シーン）で、そこでひと言語ってもらうので、やはり声の音色は重要でした。あと、振り向く姿。その姿も含めて松井さんしか考えられなかった」と配役の決め手を語ってくれた。
続いて今回演技初体験だったという九条ジョーさんは、「斎藤監督とはテレビ番組で一度共演したくらいだったので、最初にお話を聞いた時はドッキリかと思いました。もともと大橋さんの作品は拝見していましたし、大好きなお話でしたので、嬉しかったです。人生で初めて坊主頭にしましたが、衣装合わせの時に鏡を見たら、そこに伴くんがいたのです。さすが齋藤監督は凄いですね」と自身も予想していなかった仕上がりについて話してくれた。
まさにはまり役だった九条さん
それを聞いた齋藤さんは「自分で伴くんがそこに居たと言えるのが凄いですよね（笑）。伴くんてこういう人だと思ったんです」と満足そうな口調で語っていた。ちなみにその伴くんのシークェンスは作品中でもとても印象的。本作は見終わった後に「明日がちょっと、楽しくなる」と言われているが、彼の演技もそのひとつの要素となっている気もした。
なお今回のイベントで竹中さんを始めとする全員が、ロケ地となった蒲郡市について、「撮影したいと思った場所がすべてあった」「ご飯も果物も美味しかった」などなど感謝の言葉を口にしていた。確かに海にかかる橋からの眺め、謎の道場の佇まいや懐かしい雰囲気の学校など、本編にも印象的なシーンが多くあり、本作のためにセットを準備したのではと思ったほどだ。これがすべてロケというのもちょっと驚く。
監督の仕事で一杯一杯だったと語る齋藤さん
中でも記憶に残ったのは鈴木 福くんがアルバイトをしているレンタルショップの店内。ちょっと昔はこんな店が駅前にたくさんあったよなぁと思わせる雰囲気の店内には、オーディオビジュアルファンならニヤニヤしてしまうような遊びもちりばめられているでので、ぜひ劇場でご確認して欲しい。
原作者の大橋さんも「長編作品になっていたので最初は戸惑いましたが、何回も見てたら自然に感じるようになってきました。原作よりしっかり楽しいし、役者さんも漫画よりみんないい」と映画の出来に満足している様子だった。
原作者の大橋さんも、映画の仕上がりに満足の様子
そしてイベントの最後には、20日に誕生日を迎えた竹中さんにサプライズケーキが贈られるという演出も準備されていた。そのケーキも蒲郡産のミカンがふんだんに使われており、竹中さんも「みんなで食べましょう」と嬉しそうに話していた。
『ゾッキ』
●監督：竹中直人、山田孝之、齊藤 工●原作：大橋裕之『ゾッキA』『ゾッキB』（カンゼン刊）●出演：吉岡里帆、鈴木福、満島真之介、柳ゆり菜、南沙良、安藤政信、ピエール瀧、森優作、九条ジョー（コウテイ）、木竜麻生、倖田來未、竹原ピストル、潤浩、松井玲奈、渡辺佑太朗、石坂浩二（特別出演）、松田龍平、國村隼●脚本：倉持裕●音楽監督：Chara● 主題歌：「私を離さないで」Chara feat.HIMI ©2020「ゾッキ」製作委員会
【ストーリー】 今日も地球は「秘密と嘘」で回っている。ある女は、「秘密は大事に、なるべくたくさん持て」と助言する祖父が告白した、秘密の数に腰を抜かす。ある男は、あてがないというアテを頼りに、ママチャリで“南”を目指す旅に出る。ある少年は、成り行きでついた「嘘」をきっかけに、やっとできた友だちから“いるはずのない自分の姉”に恋をしたと告げられ、頭を悩ませる。ある青年は、今は消息不明の父と体験した幼い日の奇妙な出来事を思い出していた。そして、日々なんとなくアルバイトに勤しむひとりの少年は、“ある事件”が海の向こうの国で起こったことを知る……。寄せ集められた小さな話の数々。やがてまさかの感動のフィナーレへと突き進んでいく!?
なんだかわからないけど、明日がちょっと楽しくなる。
竹中さんにサプライズバースデーケーキが準備されていた
