スピーカーの端子部に「ハンドメイド・イン・フィンランド」を誇らしく明記していることでわかるように、アンフィオンのスピーカー製品は自国内で組み立てている。ただしユニットはノルウェー産のもののカスタム仕様で、25㎜径チタンドーム型トゥイーターは独自形状のウェーブガイドを備える。
この「ヘリウム」シリーズには、そのトゥイーターに加えて15㎝系のウーファー2本を搭載したトールボーイ型の520や、同じユニット各1本の510、また横長仕様のセンターチャンネル用520Cもラインナップされている。ここでは一番小型でウーファーが12㎝径の小型2ウェイモデルHelium410を試聴した。このシリーズのウーファーはアルゴンなどの上位機と異なり、ペーパーコーン振動板を採用する。
トゥイーターのすり鉢状ウェーブガイドがウーファーと同径という設計方針は、上位機同様。背面下部にはバスレフポートが開口している。そうしたユニットのサイズや裏面の構成は、上位シリーズのArgon0とよく似ている。
実際に放射される音の傾向もそういえる。つまり清楚な北欧らしい音の佇まいであり、ダミ声までなめらかにしつらえる聴き心地の良さが身上だ。試聴室の定位置ではいささか薄味になるのでL/Rの間隔を少し狭めると、意外なほど応答性の良い中高域となり、3次元的な音場が現実と透明合成される印象となった。ほどよい音量で、軽妙な響きと静寂との境界がわからないほどの減衰音の魅力を味わいたい。