シャープは、同社が進めている8Kエコシステムに関連する機器を一堂に集めた展示会「8K関連機器展示会」を都内で開催した。先に行なわれた「CEATEC2020 ONLINE」にも出展された製品も含め、最先端の8K機器が集結したかっこうだ。ここでは各展示・製品について簡潔に紹介していきたい。

世界最大クラス120インチの8K液晶ディスプレイ

 1枚パネルで成形された120インチの液晶ディスプレイ「8M-B120C」。各種インフォメーション表示に使える製品で、後述するマルチディスプレイと比べて画面の継ぎ目がないため、カーデザインのCADデザインを表示する、といった用途が考えられるという。昨年のCEATECにも参考展示されていたが、今年9月から待望の量産が始まり、写真はその一号機という(受注生産 価格は1450万円前後)。直下型のLEDバックライトを搭載し、画面全体を2048分割したエリア駆動が可能という。HDR表示にも対応。8K映像の入力は、HDMI×4、およびHDMI2.1(×1)の両方に対応するそう。業務用機器だけあって、ディスプレイを数珠繋ぎできる、HDMI×4の8K映像出力端子も備える。

画像: ▲120インチの8K液晶ディスプレイ

▲120インチの8K液晶ディスプレイ

画像: ▲こちらは60インチの4Kディスプレイを4面組み合わせて8K表示可能なインフォメーションディスプレイ「PN-V605H」。狭額縁化しているので、画面の継ぎ目が目立たないようになっている

▲こちらは60インチの4Kディスプレイを4面組み合わせて8K表示可能なインフォメーションディスプレイ「PN-V605H」。狭額縁化しているので、画面の継ぎ目が目立たないようになっている

文教用途で活躍、タッチパネル対応8Kディスプレイ

 こちらは70インチの8Kディスプレイにタッチパネル機能を搭載した製品。表示アプリなど、ハードだけでなくディスプレイをメインに据えた表示システムの構築を請け負うそう。写真はデジタル化した名画を、自分で拡大・縮小して、細かい部分までチェックできるようになっている。また、名品の茶器など、実際に触れることのできないものを3D表示して、360度回転させて(別途データの作成が必要)、好きな角度から見る、という使い方もできる。法隆寺や東京国立博物館に納品・運用されているそう。

画像: ▲タッチパネルなので任意の場所を拡大できる。実際に操作してみると、(写真の絵画には)想像以上に細かい描きこみがなされていることが分かった

▲タッチパネルなので任意の場所を拡大できる。実際に操作してみると、(写真の絵画には)想像以上に細かい描きこみがなされていることが分かった

31.5インチの8Kディスプレイ。来春発売予定

 31.5インチの8K/60p HDR対応のディスプレイ。長い開発期間を終え、いよいよ来春に発売が決まったそう。マスターモニターとまでは行かないが、カラーマネジメントに対応しており、高画素の写真を扱うフォトグラファーや、ポストプロダクションに使ってほしいとは、担当者の弁。価格は120万円程度になる見込みという。輝度スペックは600カンデラほどで、ピークでは1000カンデラまでいくそう。IPS IGZOパネルで視野角も広い。同社家庭用8Kテレビと同じ映像エンジンを搭載しているそうで、フルHDや4K映像の8Kへのアップスケーリングも可能。なお、画面表示の均一性=ユニフォミティ補正を行なう「SHARP Advanced UCTT」も搭載しており、輝度・色ムラを軽減することができる。8K映像の入力はHDMI×4、およびHDMI2.1に対応する。

画像: ▲カラーマネジメント対応の8Kディスプレイ。近接視聴してもドットが分からないほどの精細感

▲カラーマネジメント対応の8Kディスプレイ。近接視聴してもドットが分からないほどの精細感

8K放送の22.2ch音声を楽しめるサウンドバー

 今年8月に発売されたサウンドバー「8A-C22CX1」も8Kテレビと組み合わせて実演されていた。8Kテレビの「CX1」シリーズと組み合わせると、テレビからのARC(HDMI接続)で、8K放送の22.2チャンネル音声が本サウンドバーに送られてくるので、内部のデコーダーでそれを解凍。バイノーラル処理と、シャープオリジナルの立体音響技術「OPSODIS(オプソーディス)」を掛け合わせ、2.1ch仕様のサウンドバーとは思えない音場が再現されていた。

画像: ▲8Kテレビ「8T-C70CX1」とサウンドバー「8A-C22CX1」を組み合わせて実演

▲8Kテレビ「8T-C70CX1」とサウンドバー「8A-C22CX1」を組み合わせて実演

画像: ▲同展示の横にひっそりと置かれていたアストロデザインのオーディオデコーダー「MA-1851」(150万円ほど)。これで何ができるのかと言うと、シャープ製テレビ(CX1シリーズのみ)からARCで送られてきた8K放送の22.2chの音声信号を内部でデコード。リニアPCMの22.2chの音声信号として、HDMI3系統を使って出力してくれる。8ch仕様のAVアンプ3台を組み合わせれば、22.2chのサラウンド再生が自宅で楽しめるようになる。

▲同展示の横にひっそりと置かれていたアストロデザインのオーディオデコーダー「MA-1851」(150万円ほど)。これで何ができるのかと言うと、シャープ製テレビ(CX1シリーズのみ)からARCで送られてきた8K放送の22.2chの音声信号を内部でデコード。リニアPCMの22.2chの音声信号として、HDMI3系統を使って出力してくれる。8ch仕様のAVアンプ3台を組み合わせれば、22.2chのサラウンド再生が自宅で楽しめるようになる。

8Kカメラも継続して開発中

 ミラーレス一眼カメラを一回り大きくしたぐらいのサイズの8Kカメラ。昨年のCEATECに展示されていたフォーサーズ仕様のセンサーを内蔵し、8K/30p HDRの撮影が可能。レンズはもちろんフォーサーズ用だ。HDMI2.1出力端子も備え、リアルタイムに8K/30p映像を出力可能。CES 2019に展示されていたモックの実動機。

画像: ▲スリムでフラットなデザインの8Kカメラ

▲スリムでフラットなデザインの8Kカメラ

画像: ▲背面のディスプレイは6インチほど

▲背面のディスプレイは6インチほど

画像: ▲HDMI2.1対応の出力端子も備え、8K映像をリアルタイムに送出できる

▲HDMI2.1対応の出力端子も備え、8K映像をリアルタイムに送出できる

スマホで撮った8K映像を自宅の8KAQUOSで見られるアプリ

 シャープ製スマートホン「AQUOS R5G」で撮影した8K映像を、5G回線を使ってクラウド(グーグルドライブ)にアップロードし、専用アプリ「AQUOS コンテンツダウンローダー」をインストールした8K AQUOSでダウンードすると、家族や知り合いの撮った8K映像を自宅で楽しめるという提案。主には、孫の姿を撮影した8K映像を、遠くに住む両親に送信(アップロード&ダウンロード)、両親は自宅に居ながら8K映像で、孫の日常を楽しめるという使い方が推奨されていた。

画像: ▲「AQUOS コンテンツダウンローダー」アプリは、8Kテレビ「CX1」「BW1」シリーズが対応

▲「AQUOS コンテンツダウンローダー」アプリは、8Kテレビ「CX1」「BW1」シリーズが対応

Dynabookの8K対応映像編集システムも展示

 Dynabookから今年8月に発売された、ノートPCとGPU Boxがセットになった8K映像編集システムも展示されていた。GPU Boxにはグラフィックボード(NVIDIA Quadro RTX 4000)が1枚内蔵されており、動画編集のレンダリングに威力を発揮し、また、8Kモニターへの8K映像の出力も、GPU Boxから行なえる。

画像: ▲4K液晶を搭載したノートパソコン「Z95」とGPU Boxがセット。映像編集ソフトは別売りだ(ディスプレイも別売り)

▲4K液晶を搭載したノートパソコン「Z95」とGPU Boxがセット。映像編集ソフトは別売りだ(ディスプレイも別売り)

ハンディに便利な小型の8Kカメラも展示

 シャープは、アストロデザインと共同で業務用8Kカメラ「8C-B60A」を開発・発売しているが、展示会ではそのアストロデザインの業務用8Kカメラ「AA-4814-B」「AB-4815」も同時に並べていた。ちなみに、8C-B60AとAA-4814-Bは兄弟モデルだが、4814の方はB60A発売後に寄せられたユーザーの要望を取り入れ、操作系を改良。表出しているボタンの種類や配置などを改修したという。AB-4815は8K/120pが撮影可能なモデル

画像: ▲8Kカメラ。左から「AB-4815」「8C-B60A」「AA-4814-B」

▲8Kカメラ。左から「AB-4815」「8C-B60A」「AA-4814-B」

画像: ▲上が「AA-4814-B」、下は「8C-B60A」

▲上が「AA-4814-B」、下は「8C-B60A」

画像: ▲アストロデザイン(シャープ)のラインナップする8Kカメラ。他にも開発中のモデルもあるという

▲アストロデザイン(シャープ)のラインナップする8Kカメラ。他にも開発中のモデルもあるという

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