クリプトンは本日、オールインワンのデジタルオーディオシステム「KS-11」を発表した。定価¥49,800(税別)で、発売は11月下旬の予定。カラリングはホワイトとブラックを準備している。

 同社では2010年6月に「KS-1HQM」(当時の税抜き定価¥47,800)を発売、ワンボディでハイレゾサウンドを楽しめる製品の先駆けとなった。その後、国内のハイレゾ対応ニアフィールド・オーディオのマーケットは大きく拡大し、クリプトンも「KS-3HQM」(2012年)や「KS-7HQM」(2014年)、「KS-9Multi」(2016年)とラインナップを拡大してきた。

画像: 新製品の「KS-11」。写真はホワイト仕上げ

新製品の「KS-11」。写真はホワイト仕上げ

 そして今回のKS-11では、発売後10年を経た今でも音質完成度に高い評価を集めているKS-1HQMのボディ形状、オールデジタル処理などの基本的設計思想を継承しながら、現代モデルに相応しい進化を遂げている。

 その第一は、35W×2のフルデジタルアンプの採用だ。歴代KSシリーズの基本的回路設計思想であるフルデジタル信号処理を発展的に継承し、192kHz/24ビットハイレゾ音源の解像度を低歪・高S/Nで再現している。KS-1HQMは25W×2だったので、駆動力は大きく向上したことになる。

 搭載されるユニットはデンマークTymphany社製の2.5インチ(63.5mm)コンケーブ・メタルコーンフルレンジ型で、これはKS-1HQMと同一となる。そのTymphany社のユニットは、小口径ながらも迫力ある重低音を実現し、全帯域にわたってフラットな再生特性を備えているのが特徴だ。

画像: エンクロージャーは、フロントバッフル、天面、リアバッフル、底面がつながった構造となる

エンクロージャーは、フロントバッフル、天面、リアバッフル、底面がつながった構造となる

 さらに本体構造もKS-1HQMを継承し、高剛性アルミ押し出し材を使用。バスレフ型のエンクロージャーで、小型ながら豊かな低音再生を可能にしている。

 また最近の音楽鑑賞では音源にスマートホンが使われることが多く、いちいち有線接続をしてもらえないという状況を踏まえ、Bluetoothでの楽曲伝送にも対応した。そこでも品質を担保するために、48kHz/24ビットでの伝送ができるaptX HDコーデックを搭載するこだわりようだ。

 その他、KS-1HQMでは別筐体のスタンドに載せることで余計な振動をカット、ピュアな高域再生を目指していた。今回は使いやすさに配慮して、本体底面に、ネオフェード・カーボンマトリックス3層材をインシュレーターとして取り付け、スタンドと同等の効果を獲得している。インシュレーターの周囲にはOリングが付属しているので、横滑りにも強いそうだ。

画像: 本体底面にはネオフェード・カーボンマトリックス製のインシュレーターを3基装備。建築用の強力テープ(厚さ0.1mm)でしっかり固定されている

本体底面にはネオフェード・カーボンマトリックス製のインシュレーターを3基装備。建築用の強力テープ(厚さ0.1mm)でしっかり固定されている

 本日開催された発表会でKS-11の音を体験させてもらった。192kHz/24ビット音源での女性ヴォーカルやクラシック曲を使い、KS-1HQMとの違いも確認している。

 KS-1HQMは96kHz/24ビットまでの対応だが、こちらもヴォーカルの定位がよく、S/Nのいいサウンドとして楽しめた。それをKS-11に取り替えると、ステージの空間がひとまわり大きくなり、ヴォーカルに余裕が加わってくる。ピアノのタッチも細やかで、ステージがよりクリアーに見渡せる。

 KS-1HQMとKS-11はユニットやエンクロージャーのアルミ材は同一とのことだが、出てくる音は10年の進化が実感できるもので、サンプリング周波数の違いによる情報量の差まで見事に音に反映されている。aptX HDでのBluetooth伝送(48kHz/24ビット)も、輪郭がくっきりした、押し出しのいいサウンドで楽しむことができた。

画像: Bluetooth再生機とペアリングできると、右スピーカーの中央に青いLEDが点灯する

Bluetooth再生機とペアリングできると、右スピーカーの中央に青いLEDが点灯する

 最後に薄型テレビと組み合わせて、ライブ配信(ブルーノートの配信コンテンツをPCで再生)を体験させてもらった。クリプトンではKSシリーズは音楽再生だけでなく、テレビの音質アップにも役立てて欲しいと考えているそうだが、確かにこのコンパクトさならテレビの両脇にも置きやすいだろう。

 サウンドも、テレビの内蔵スピーカーでは音が痩せてぎすぎすしており、せっかくのライブを楽しむことはできない。しかしKS-11を加えると、しっかりと芯のある音になり、50インチオーバーの画面でも充分に楽しめる。この違いは大きい。

 KS-11は小型フルレンジを使ったニアフィールド観賞用ということもあり、音像の定位が明瞭で、かつL/Rスピーカーの外まで音像が展開するという特長を持っている。こうした持ち味が薄型テレビとの組み合わせで活きてくるのは間違いない。

 なおKS-11は右チャンネルに音声信号を入力し、左チャンネルとは付属の専用ケーブルでつなぐ仕組みだ。この専用ケーブルは長さ2mなので、大型テレビでも問題なく設置できるはずだ。

 KS-11はKRIPTON Online Store専用商品なので、気になる方は同社サイトでチェックしていただきたい。

画像: 背面端子部。写真右側のRチャンネルにはUSB Type-Bや光デジタル、アナログピンジャックを備える。左右のスピーカーは付属のケーブルで接続する

背面端子部。写真右側のRチャンネルにはUSB Type-Bや光デジタル、アナログピンジャックを備える。左右のスピーカーは付属のケーブルで接続する

「KS-11B」の主なスペック

●型式:アクティブスピーカー
●使用ユニット:6.35cmコンケーブ・メタルコーン型フルレンジ
●パワーアンプ出力:フルデジタル・アンプ70W(35W×2)
●再生周波数特性:70Hz〜20kHz
●対応ファイル形式:最大192kHz/24ビット、LPCM/WAV/FLAC/AIFF/ALAC
●接続端子:USB端子1系統、アナログ入力1系統(3.5φミニジャック)、光デジタル入力1系統(192kHz/24ビット入力対応)
●Bluetoothコーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD
●最大ペアリング台数:9台
●寸法/質量:W89.5×H176.5×D105mm/1.15kg
※付属品:リモコン、AC電源、USBケーブル、スピーカーケーブル、アナログケーブル

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