デノンは同社創立110周年記念モデルとなるハイファイコンポーネントとして、SACD/CDプレーヤー「DCD-A100」とプリメインアンプ「PMA-A110」を10月上旬に発売する。

●SACD/CDプレーヤー 「DCD-A110」 ¥280,000(税別)
●プリメインアンプ 「PMA-A110」 ¥330,000(税別)

 デノンは1910年に日本初の音楽会社「日本コロムビア株式会社」として誕生、蓄音機やレコードの製造・販売をスタートした。その後1939年に放送録音機器メーカー「株式会社 日本電音機製作所」となり「電音」=「DEN-ON」ブランドが誕生している。

 そんなデノンは、1972年に世界で初めて実用化したPCMデジタルレコーダー「DN-023R」以来、デジタルオーディオ再生の技術、ノウハウを脈々と受け継ぎ、発展させてきた。

画像1: デノン創立110周年の記念モデルが続々リリース。SACDプレーヤー「DCD-A110」とプリメインアンプ「PMA-A110」とも、デノンの技術を結集して「Vivid & Spacious」を具現化した

 今回のDCD-A110は、110周年を記念する最新鋭のSACD/CDプレーヤーとして開発された。アナログ波形再現技術「Ultra AL32 Processing」を搭載し、独自のアルゴリズムによるアップサンプリング&ビット拡張処理により、PCM入力信号を1.536MHz/32ビットに変換。かつてない水準でのアナログ波形の再現、原音再生が可能になっている。なお本機はディスク再生専用機でUSB DAC機能は搭載していない。

 D/A変換回路には、1chあたり2基、合計4基の差動電流出力型D/Aコンバーターを用いたQuad-DAC構成を採用。DAC出力以降のアナログオーディオ回路をフルディスクリート化し、DCD-SX1 LIMITED譲りの高音質パーツとカスタムパーツを贅沢に使用したサウンドチューニングを加えている。この点に関してサウンドマネージャーの山内慎一氏は、新しくDAC回路を作るのであれば4チップ構成と決めていたと語っていた。

画像2: デノン創立110周年の記念モデルが続々リリース。SACDプレーヤー「DCD-A110」とプリメインアンプ「PMA-A110」とも、デノンの技術を結集して「Vivid & Spacious」を具現化した

 プリメインアンプのPMA-A110は、1993年の超弩級モノーラルパワーアンプ「POA-S1」のために開発されたデノン伝統の大電流素子UHC(Ultra High Current)-MOSによるシングルプシュプル回路と、PMA-2000シリーズから「PMA-2500NE」に至るまで8世代に渡って磨き続けてきた最新のアンプ設計技術を融合させた記念モデルだ。

 また、リファレンスモデル「PMA-SX1 LIMITED」からも多くのカスタムパーツや高音質パーツを受け継ぎ、サウンドマネージャーによる徹底したサウンドチューニングが施されている。筐体も伝統のダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクションやSX1 LIMITED譲りのアルミ製トップカバー&フットを採用、110周年記念モデルに相応しい高音質を実現した。

 フロントパネルは110周年記念モデル専用カラーのグラファイト・シルバーを採用。さらに5年間の無償保証サービスも付いている。

 それぞれの製品の主な特長は以下の通り。

<両モデル共通の特長>
●アナログ波形再現技術「Ultra AL32 Processing」
 同社の最新アナログ波形再生技術「Ultra AL32 Processing」を搭載。PCMデジタル入力信号に対して、前世代の2倍となる1.536MHzへのアップサンプリングと32ビットへのビット拡張処理を行なっている。独自のビット拡張&データ補間アルゴリズムにより、前後データの離散値からあるべき点を導き出し、本来のアナログ波形を再現する理想的な補間処理を行なう。

●差動電流出力型DACを4基使用したQuad-DAC構成
 DCD-SX1 LIMITEDにも搭載されているステレオDAC「PCM1795」を左右チャンネルにそれぞれ2基(4ch)ずつ使用。Ultra AL32 Processingによりアップサンプリングされた1.536MHzの信号を768kHzに分割し、2基の差動電流出力型DACに入力。片チャンネルあたり4chのDACを用いる並列構成により4倍の電流出力を得ている。これにより6dBに及ぶS/Nの向上と、エネルギッシュなサウンドを実現した。

画像3: デノン創立110周年の記念モデルが続々リリース。SACDプレーヤー「DCD-A110」とプリメインアンプ「PMA-A110」とも、デノンの技術を結集して「Vivid & Spacious」を具現化した

●DACマスタークロックデザイン
 クロックの精度を最優先するために、D/Aコンバーターの近傍にクロック発振器を配置。DACをマスター、周辺回路をスレーブとしてクロック供給を行うことでD/A変換の精度を高めている。また、ふたつの超低ジッタークロック発振器(44.1/48kHz系)を搭載。ソースのサンプリング周波数に応じて切り替えることでジッターを徹底的に抑制する。

●高音質パーツ&専用カスタムパーツを多数採用
 音質担当エンジニアとサウンドマネージャーが試作と試聴を繰り返し、数多くの候補の中から厳選した高音質パーツを多数採用。さらに、SX1 LIMITEDの開発過程においてデノン専用にチューニングされたカスタムコンデンサーを継承している。また、信頼性が高く電流ノイズが少ないメルフ抵抗をアナログオーディオ出力回路や電源回路に多数使用。

<DCD-A110の主な特長>
●オリジナル・ドライブ・メカニズム「Advanced S.V.H. Mechanism」
 上位モデルから受け継いだ「Advanced S.V.H.(Suppress Vibration Hybrid)Mechanism」を搭載。信号経路を極力短くし、回路を小型化することで、余分な電流やノイズを発生させない設計を採用した。メカニズムの低重心化によりディスクの回転による内部振動を抑え、外部からの振動も効果的に抑制している。不要な振動を排除することでサーボ関連の動作を最小限に抑え、不要な制御や消費電流も最小限となり、安定した条件下でディスクからデジタル信号を高精度に読み出すことができるようになった。

画像4: デノン創立110周年の記念モデルが続々リリース。SACDプレーヤー「DCD-A110」とプリメインアンプ「PMA-A110」とも、デノンの技術を結集して「Vivid & Spacious」を具現化した

●I/V変換アンプ、差動合成アンプをフルディスクリート化
 DACの出力を受けるI/V変換アンプ回路と差動合成アンプ回路にOPアンプによるポストフィルター回路を使用せず、サウンドマネージャーが厳選した高音質パーツやSX1譲りのカスタムパーツを搭載したフルディスクリート回路を採用。

●データディスク再生対応
 CDやスーパーオーディオCDの再生に加え、DVD-R/-RWやDVD+R/+RWに記録したDSD(2.8/5.6MHz)、最大192kHz/24ビットまでのハイレゾ音源を含む音楽ファイルの再生に対応。CD-R/-RWでは、サンプリング周波数48kHzまでのファイルを再生できる。

<PAM-A110の主な特長>
●新世代のAdvanced UHC-MOSシングルプッシュプル増幅回路
 出力段には微小領域から大電流領域までのリニアリティに優れ、大電流を流すことができるUHC-MOS(Ultra High Current MOS)FETをシングルプッシュプルで用いるシンプルな回路を採用。素子の性能のバラツキによる音の濁りを解決し、楽音の繊細な表情まで描ききる表現力を実現するために、1ペア単位の素子による増幅にこだわり続けてきた。

●超低ノイズ可変ゲイン型プリアンプ
 可変ゲイン型プリアンプとパワーアンプによる二段構成を採用。音量に合わせてプリアンプのゲインを増減させることにより、一般的に使用される音量の範囲内ではプリアンプでの増幅を行わず、パワーアンプのみで増幅することにより、ノイズレベルを改善する。

●高精度な電子ボリュウムコントロール
 ノブを回す感触はそのままに、ボリュウムの調整を電子化。センサーによりノブの回転角を検出し、その情報を元に電子ボリュウムで音量をコントロールしている(左右バランスやトーンコントロールにも同様の構成を採用)。これによりフロントパネル上のノブとプリアンプ基板を行き来していた信号線を短縮でき、理想的なミニマムシグナルパスを実現した。

画像5: デノン創立110周年の記念モデルが続々リリース。SACDプレーヤー「DCD-A110」とプリメインアンプ「PMA-A110」とも、デノンの技術を結集して「Vivid & Spacious」を具現化した

●CR型フォノイコライザーを搭載(MM/MC対応)
 MM型とMC型の両方に対応したフォノイコライザーを搭載。PMA-SX1 LIMITEDと同様に二段構成のCR型を採用しており、全帯域で均一な音色、繊細で素直なサウンドを実現。

●DSD 11.2 MHz、384kHz/32ビットPCM対応USB DAC機能
 USB-Tyep B端子を搭載し、最大でDSD 11.2MHz、384kHz/32ビットPCMの再生が可能。PC側のクロックを使用せず、PMA-A110の超低ジッタークロック発振器によって生成されるマスタークロックで制御を行うアシンクロナスモードにも対応している。また、192kHz/24ビットPCMに対応した光デジタル入力3系統と同軸デジタル入力1系統も装備。

●テレビ自動再生機能
 光・同軸デジタル入力は、テレビなどの外部ソースからの入力信号を検出すると自動的に電源が入る自動再生機能に対応。4系統の入力から1系統を選択、または機能をオフにすることもできる。

●高周波ノイズを遮断するアイソレーター
 USB接続されたPCから流入する高周波ノイズを遮断するために、USB DAC回路と周辺の回路を電気的に絶縁する高速デジタルアイソレーター回路を搭載した。また電源回路も独立させ、電源ラインを介した干渉も防止している。さらにデジタル入力回路を1.6mm厚の鋼板3枚によるトランスベースの下に配置することにより、不要輻射によるアナログオーディオ回路への悪影響を排除した。

●2種類のアナログモード
 2種類のアナログモードを搭載。アナログモード1に設定するとデジタルオーディオ回路がオフになり、アナログ入力信号への干渉を防ぐことができる。アナログモード2ではディスプレイ表示も消灯し、純粋なアナログアンプとして動作する。アナログモード設定中はUSB-Type B、同軸デジタル、光デジタル入力は無効になる。

「DCD-A110」の主なスペック

画像: 「DCD-A110」の主なスペック

●再生可能ディスク:SACD、CD
●再生周波数範囲:2Hz〜100kHz(SACD)、2Hz〜20kHz(CD)
●再生周波数特性:2Hz〜50kHz(-3dB、SACD)、2Hz〜20kHz(±0.5 dB、CD)
●S/N:122dB(SACD)、122dB(CD)
●ダイナミックレンジ:118dB(SACD)、101dB(CD)
●接続端子:アナログ音声出力1系統(RCA)、デジタル音声出力2系統(同軸、光)、他
●消費電力:42W(待機時0.1 W以下)
●寸法/質量:W434×H138×D405mm/16.5kg

「PMA-A110」の主なスペック

画像: 「PMA-A110」の主なスペック

●定格出力:80W×2(8Ω、20Hz〜20kHz、THD0.07%)、160W×2(4Ω、1kHz、THD0.7%)
●全高調波歪率:0.01%(定格出力、-3dB時、負荷8Ω、1kHz)
●接続端子:アナログ音声入力3系統(RCA)、PHONO入力1系統、EXT.PRE入力1系統、アナログ音声出力1系統(RCA)、ヘッドホン出力1系統、デジタル音声入力4系統(光×3、同軸×1)、USB-Type B入力1系統、他
●周波数特性:5Hz〜100kHz(0〜-3dB)
●消費電力:400W(待機時0.2W)
●寸法/質量:W434×H182×D450mm/25.0kg

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