ここ数年、東京・都内の商業施設は積極的な再開発計画が進んでいる。渋谷駅周辺のリニューアルには目を見張らされるものがあり、とりわけ宮下公園付近から原宿方面へと続く明治通り沿いは近頃、人の流れに大きな変化が現れている。その明治通り沿いに位置する映画館「ヒューマントラストシネマ渋谷」が、映画ファンの間で話題となっているのをご存知だろうか。
 注目されているのは、「シアター1」に導入された音響システム「odessa」(optimal design sound system+α)に他ならない。「ヒューマントラストシネマ渋谷」は3つのスクリーンを構えており、なかでも「シアター1」は200席を完備し規模が一番大きい。この「シアター1」のリニューアルを担当したのが、映画館の施工会社として知られるジーベックスだ。「ヒューマントラストシネマ渋谷」の考える<音に特化した劇場>というコンセプトを踏まえ、ジーベックスはスピーカーシステムに既製品ではなく、あえてカスタムメイドのシステム導入を提案。いっぽう、「ヒューマントラストシネマ渋谷」は以前から、マニア心をくすぐる、映画ファンの心に響く作品ばかりを上映してきた実績がある。インディペンデントな作品でも、映像のみならず、音が重要な役割を担っている点に注目している。「ヒューマントラストシネマ渋谷」がコンセプトに掲げている、整った音響システムで選りすぐりの作品を映画ファンへ届けたいという想いが、革新的ともいえるこの「odessa」に集約されている。
 「シアター1」の空間に見合ったカスタムメイドのスピーカーシステムを開発・設計したのが、近年ジーべックスと共に映画館における音のクォリティ向上に貢献しているイースタンサウンドファクトリーだ。フロント3本/サラウンド8本/サブウーファー1本というスピーカー構成は現代の劇場ではスタンダードだが、注目すべきは特別に設計された同軸スピーカーだろう。簡単にいうと同軸スピーカーは、ウーファー(低域)とトゥイーター(高域)を同一ユニット上に設計・配置することで、聞き手に正確な音を届けられるメリットがある。「シアター1」に導入されたカスタムメイドの同軸スピーカーは映画の音響デザインを忠実に再現するため、解像度が高く、高密度な音を観客にまんべんなく届けることを最優先し設計されている。

画像: 「ヒューマントラストシネマ渋谷」の「シアター1」に導入され、いま話題の「odessa」

「ヒューマントラストシネマ渋谷」の「シアター1」に導入され、いま話題の「odessa」

画像: スクリーン裏に設置されたフロントスピーカーは計3本。W470×H1400×D570mmのエンクロージャーに12インチ口径の同軸2ウェイ・ユニットが1基、さらに500Hz以下の音を担うサブウーファーが2基で構成される

スクリーン裏に設置されたフロントスピーカーは計3本。W470×H1400×D570mmのエンクロージャーに12インチ口径の同軸2ウェイ・ユニットが1基、さらに500Hz以下の音を担うサブウーファーが2基で構成される

画像: 劇場の両サイドと後方に設置されたサラウンドスピーカーは計8本。W500×H190×D210mmのエンクロージャーに6.5インチ口径の同軸2ウェイ・ユニット、サブウーファーが搭載される。本機はクラスDアンプが採用されたアクティヴ仕様

劇場の両サイドと後方に設置されたサラウンドスピーカーは計8本。W500×H190×D210mmのエンクロージャーに6.5インチ口径の同軸2ウェイ・ユニット、サブウーファーが搭載される。本機はクラスDアンプが採用されたアクティヴ仕様

画像: スクリーン裏に設置されたサブウーファーは1本。W1200×H600×D600mmのエンクロージャーに18インチ口径のユニットが2基搭載される。120Hz以下の重低音を担う

スクリーン裏に設置されたサブウーファーは1本。W1200×H600×D600mmのエンクロージャーに18インチ口径のユニットが2基搭載される。120Hz以下の重低音を担う

 取材スタッフは先頃、「odessa」の導入された「シアター1」において、いま話題の音楽映画「LETO-レト-」を観賞する機会に恵まれた。舞台は1980年代初頭、ソ連時代のレニングラード。主人公のマイクが率いるロック・バンド〈ズーパーク〉は、1970年代の欧米のロック・ムーヴメントに大きな影響を受け、厳格な体制の下、音楽活動を繰り広げていた。マイクには妻・ナターシャがおり平穏な日々を送っていたが、そこに歳の若い才能に溢れるミュージシャン・ヴィクトルが現われ、3人の間に人間模様が渦巻き、“熱い夏”が訪れる……。
 
 本作の映画監督であるキリル・セレブレンニコフ は1969年生まれなので、1970年代~80年代のロック・ムーヴメントに並々ならぬ影響を受けてきたのだろう。劇中には1970年代の王道ロックやパンク・ロックのLPジャケットの数々が登場する。なかでも、デボラ・ハリー率いるブロンディの存在がアイコン的に描かれているのが印象的だ。
 「LETO-レト-」は基本モノクロ映画で、ほぼ全編でロック・ミュージックが散りばめられている。注目の「odessa」は本作を彩る音楽の魅力を色付けの払拭されたクリーンな響きで、しかも濃密な音で描き分ける。ライヴ会場の楽屋、録音スタジオの控えスペース、雑居ビルの階段など、音楽が鳴っていない比較的静かな場面では、音響デザインに適した静けさをしっかりと引き出すのに驚かされた。ちなみに本作は第71回カンヌ・サウンドトラック賞最優秀作曲家賞を受賞している。
 「ヒューマントラストシネマ渋谷」のエキスパートが厳選した作品を「odessa」で体験すると、映画の音響デザインの奥深さに改めて気付かされ、映画の新たな魅力を見い出せるに違いない。

画像: 7月24日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開 配給:キノフィルムズ (C)HYPE FILM, 2018

7月24日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
配給:キノフィルムズ (C)HYPE FILM, 2018

●映画『LETO -レト-』
●監督:キリル・セレブレンニコフ
●脚本:ミハイル・イドフ、 イリー・イドバ、 キリル・セレブレンニコフ
●撮影:ウラジスラフ・オペリアンツ
●出演:ユ・テオ(ヴィクトル・ツォイ)、イリーナ・ストラシェンバウム(ナターシャ)、ローマン・ビールィク(マイク・ナウメンコ)、他

画像: (C)HYPE FILM, 2018

(C)HYPE FILM, 2018

「ヒューマントラストシネマ渋谷」
https://ttcg.jp/human_shibuya/

「odessa」(オデッサ)上映ラインナップ
https://ttcg.jp/human_shibuya/topics/2020/06191551_11285.html

「LETO」オリジナル・サウンドトラック
https://open.spotify.com/album/7aJuwI6qHcgcQlpBL8aUR2

株式会社ジーベックス
https://www.xebex.co.jp

株式会社
イースタンサウンドファクトリー
http://esfactory.co.jp

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