画像: レガ Planar 10 with Apheta ¥800,000 カートリッジ部(Apheta 3)●型式:MC型●出力電圧:0.35mV●インピーダンス:10Ω●適正針圧:1.9〜2.0g トーンアーム部(RB3300)●型式:ダイナミックバランス型 プレーヤー部●駆動方式:ベルトドライブ●モーター:ACシンクロナスモーター●回転数:33・1/3、45rpm●ターンテーブル:セラミック製●寸法/重量:W420×H125×D315mm(ダストカバー含む)/4.7kg(本体部)、W218×H80×D320mm/3kg(電源部)●備考:ダストカバー付属。カートリッジなしモデル(¥650,000)あり、カートリッジApheta 3単売(¥220,000)あり●問合せ先:完実電気(株)

レガ Planar 10 with Apheta ¥800,000
カートリッジ部(Apheta 3)●型式:MC型●出力電圧:0.35mV●インピーダンス:10Ω●適正針圧:1.9〜2.0g トーンアーム部(RB3300)●型式:ダイナミックバランス型 プレーヤー部●駆動方式:ベルトドライブ●モーター:ACシンクロナスモーター●回転数:33・1/3、45rpm●ターンテーブル:セラミック製●寸法/重量:W420×H125×D315mm(ダストカバー含む)/4.7kg(本体部)、W218×H80×D320mm/3kg(電源部)●備考:ダストカバー付属。カートリッジなしモデル(¥650,000)あり、カートリッジApheta 3単売(¥220,000)あり●問合せ先:完実電気(株)

 小粋でコンパクトなオーディオ機器を作らせたら、英国の老舗はピカイチの存在だ。ここで紹介するレガは、1970年代からあるオーディオ専業メーカー。創業者のロイ・ガンディ氏が現在も牽引している稀有な英国企業である。レガの存在を一躍有名にしたアナログプレーヤーのプラナー3は1976年に登場した。私は学生時分に秋葉原のオーディオ販売店で見かけたことがある。息の長いオーディオメーカーのひとつである。

 ベルト駆動方式のプラナー10は同社最高級機で、専用の電源部を備えている。本機は2018年に発表された究極のナイアッド(Naiad)というプロダクトを発展させた製品のようで、抜群の工作精度で仕上げた高剛性の軸受けシステムと、素材から見直したという精密加工の焼結セラミック製プラッターが注目ポイント。ハウジング構造もきわめて巧妙といえる。特殊な軽量ポリウレタンフォームを中心材にした、軽くて硬く振動減衰の素早いボディ構造が特徴だ。プラッターの軸受けとトーンアーム間がセラミック部材を介して連結されていることも特筆事項。

画像: スケルトン構造のキャビネットは航空宇宙産業用に開発され軽さと硬さを両立する特殊ポリウレタン製。プラッター軸受け部からアームベース部に至る天板部にはセラミックプレート、底面には厚さ3mmのフェノールプレートを貼り合わせて不要共振を排除する。サブプラッターを支持する軸受け部はハブベアリングの一体成型で剛性を高めた。高トルクとワウフラッター低減を目指し、素材から見直して新規開発したゴムベルト2本でサブプラッターを駆動する。別筐体の電源部はクォーツロックの精度を向上させて正確な波形で電源供給する。

スケルトン構造のキャビネットは航空宇宙産業用に開発され軽さと硬さを両立する特殊ポリウレタン製。プラッター軸受け部からアームベース部に至る天板部にはセラミックプレート、底面には厚さ3mmのフェノールプレートを貼り合わせて不要共振を排除する。サブプラッターを支持する軸受け部はハブベアリングの一体成型で剛性を高めた。高トルクとワウフラッター低減を目指し、素材から見直して新規開発したゴムベルト2本でサブプラッターを駆動する。別筐体の電源部はクォーツロックの精度を向上させて正確な波形で電源供給する。

 ダイナミックバランス方式のトーンアームは、アルミニウムとステンレススチールを組み合わせたRB3000。接合部を最小に留めて剛性を高めており、軽量化を推進するために塗装処理を省いている。

画像: ステンレス製パイプを採用しアルミと組み合わせた設計で剛性を追求するダイナミックバランス型トーンアームRB3300を搭載。無塗装で軽量化も徹底されている。アームレストの下部にノブの操作で調整するアンチスケーティング機構を装備。プラッターはセラミック製。脚部は3層構造で防振性を追求する。

ステンレス製パイプを採用しアルミと組み合わせた設計で剛性を追求するダイナミックバランス型トーンアームRB3300を搭載。無塗装で軽量化も徹底されている。アームレストの下部にノブの操作で調整するアンチスケーティング機構を装備。プラッターはセラミック製。脚部は3層構造で防振性を追求する。

 試聴機は同社推奨という最高級MC型フォノカートリッジのアフェタ3(Apheta3)を搭載していた。その構造はユニークそのもの。ファインライン形状の角柱ダイア針を備えたカンチレバーの後端に発電コイルが直結されており、カンチレバーはその間でMM型フォノカートリッジのように支持されている。強力なネオジム磁石が発電コイルの後方に置かれ、それが直接的に磁束を与えるという、ポールピースやヨークを持たない磁気回路も珍しい。

画像: 付属するMCカートリッジApheta 3。針先形状はファインライン。磁気回路はネオジムマグネット採用でボディはアルミで一体成型される。

付属するMCカートリッジApheta 3。針先形状はファインライン。磁気回路はネオジムマグネット採用でボディはアルミで一体成型される。

 試聴システムは、フェーズメーションのEA1000フォノイコライザーアンプからエアータイトのATC5プリアンプ、パワーアンプも同社ATC3で、モニタースピーカーはB&W800D3である。

 薄いフェルト素材のマットにアナログ盤を乗せるのは、英国的な流儀といえよう。井筒香奈江のダイレクトカッティング盤でわかるのはS/N感に優れた静寂ぶりで、ボディ感の豊かなヴォーカルの充実はフォノカートリッジの個性なのかもしれない。アンセルメ指揮「三角帽子」は、重心をやや低めにした音数の多さが印象的。一音一音を丁寧に聴かせながら、それらを柔軟に描いていく落ち着いた音の表情である。タック&パティ「ティアーズ・オブ・ジョイ」は、スピード感のあるアコースティックギターの音色が複雑で、ヴォーカルの訴求力もじゅうぶんな、聴き応えのある優れたパフォーマンスだった。

 重厚長大なアナログプレーヤーの音とは異なる軽妙かつ快活に音楽を巧みに奏でる、センスのよい音と思わせた製品である。

画像: 付属ダストカバーを装着した状態。

付属ダストカバーを装着した状態。

画像: Planar 10に針を下ろす三浦氏。シャーシのスケルトン構造が特徴的。

Planar 10に針を下ろす三浦氏。シャーシのスケルトン構造が特徴的。

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