MCアンナは、オルトフォンの高度技術を結集した空芯MC型フォノカートリッジの最高峰である。このたび、ダイアモンド製カンチレバーが奢られたMCアンナ・ダイアモンドが上位に加わった。創立100周年記念として世界限定100個がすぐに完売した、ザMCセンチュリーのカンチレバーが与えられたのだ。ボロン製カンチレバーを搭載するオリジナル機の音質も素晴らしいけれども、単結晶の無垢ダイアモンド製カンチレバーの物性が効いて音の品位は一変している。内部インピーダンスは6Ωで出力は0.2mV。ダンパーゴムの最適化に伴い、MCアンナよりも0.2グラム軽い2.4グラムの適正針圧になっている。
テクニクスSL1000Rへの装着には2個の補助ウェイトを必要とした。ゼネラルトランス販売製のファインメット・コア昇圧トランスとエアータイトのATC5プリアンプを組み合わせた音は、極めつけの解像感と繊細な表現力が両立している完成度の高さが印象的。アンセルメ指揮スイスロマンド「三角帽子」では、一音一音の緻密さと空芯型らしからぬ力感を内包した立体的な音楽の展開に驚かされた。井筒香奈江の45回転盤(日本オーディオ協会)は、声色の生々しさと冷静さが感じられる描写の精密さに感嘆!! ダイレクトディスクのデイヴ・グルーシンは、コンソールアウトの音を思わせる写実的な音だった。一聴の価値がある逸品と断言したい。