Vienna Acoustics(ウィーン・アコースティクス)から、「Beethoven」の名を冠した製品のモデルチェンジが発表された。
3ウェイ5スピーカーの「Beethoven Concert Grand Reference」(¥1,500,000、ペア)と3ウェイ4スピーカーの「Beethoven Baby Grand Reference」(¥1,100,000、ペア)の2モデルだ。
同シリーズは1995年に初代機が登場し、2004年に「Concert Grand」、2013年に「Symphony Edition」とアップデートしてきた。今回の新モデルは2年前にもうすぐ完成との案内が出たことがあったそうだが、ミッドレンジ/ウーファーユニットの開発を追い込んでいる間に時間が経ち、偶然にも、ベートーベン生誕250周年となる2020年の発売になったという。
今回の新製品に採用された新技術は以下の通り。
X4Pマテリアル
6インチと7インチのウーファーユニットには、フラットなスパイダーコーンが使われている。しかも2つの異なる素材で構成される新しいコンポジットコーンとなる。
スパイダーコーンには、正確なピストン運動が出来る利点がある。一方フラットコーンはひじょうに硬く、高さ18mm(7インチ)および14mm(6インチ)の補強材を備えている。これは軽量でありながら、新しいX4P混合物のグラスファイバーでさらに補強されている。
そのX4Pは、ポリプロピレンにグラスファイバーを含む3種類の異なった材料をミックスして作られたX3Pを元に、さらに最適な混合比や材料を研究し、新たに違う素材を追加して混合比を見直した最高のマテリアルだという。
コンポジットコーン採用ミッドレンジ/ウーファー
コーン/ダイヤフラム構造は大きなボイスコイル上に構築されるため、その中央の放射面は大きく、それによって重要な音の決定要因となる。
今回のユニットは、中央50mmの領域はファブリック素材を使った逆ドームで、X4Pで製作された平面振動版と連結されている。その後方には大型ボイスコイルが搭載され、この特殊な構造によりあらゆる位置で均一に音が届けられるそうだ。
Concert Grand〜とBaby Grand〜のミッドレンジは共に6インチだが、クロスオーバーの設計に適正な値となるよう、インピーダンスはそれぞれ4Ωと8Ωに設定されている(ウーファーはConcert Grand〜が12Ω、Baby Grand〜は8Ω)。
シルクドーム型トゥイーター
1.1インチのシルクドーム型トゥイーターはスキャンスピーク製で、同社のオリジナル仕様となる。いたずらに特性を追い求めることをせず、すべてリスニングテストによって追い込んでいったユニットだそうだ。マグネットはフェライトに変更されているが、これは新しいコンポジットコーンとのつながりを重視したため。そのフェライトも何種類ものマグネットを試し、テストを繰り返して決定されている。
新型エンクロージャー
エンクロージャーには欧州建具の技術が取り入れられている。正確な音像定位を得るために、最新のコンピューターモデリング技術を用いて精密に設計、可能な限りスリムにデザインされている。
また、個々のドライバー用の再生帯域を考慮した仕切りや巧妙に連結されたブレース構造が採用されているのも特徴だ。Concert Grand〜の一番下にマウントされたウーファーには、独立したバックキャビティが設けられるなど、モデル毎に細かな配慮もなされている。