1月31日(金)と2月1日(土)の2日間、”オーディオで音楽を愉しむ、オトナの秘密基地”「東京オーディオベース2020」が開催された。

 会場となったホテルマイステイズ御茶ノ水にはレコードやCD、雑誌の販売コーナーや5つの試聴ブースが設けられ、出展企業・代理店が取り扱う製品を組み合わせた展示が行なわれていた。

 また期間中は小原由夫さんと和田博巳さんが各ブースで講演を行ない、CD/SACDからアナログレコードまで、様々なお薦めソフトを紹介していた。今回は、1日午後にブライトーン・光城精工・DYNAUDIO JAPANの3社合同ブースで開催された和田さんのイベントに参加してきたので、その様子を紹介したい。

画像: 今回の試聴システムについて紹介する和田博巳さん

今回の試聴システムについて紹介する和田博巳さん

 今回のイベントはDYNAUDIOの新製品スピーカー「Confidence」シリーズを聴くというもの。ブックシェルフ型の「Confidence 20」、トールボーイ型の「Confidence 30」と「Confidence 50」という3モデルを順番につなぎ替えてその音を確認していた。

 再生システムはアナログプレーヤーがホルボのリニアトラッキングアーム&エアーベアリング方式を採用した「Holbo」、CDプレーヤーがMOONの「260D」、プリアンプ「740P」+パワーアンプ「860A」といった構成になる。

 和田さんはConfidenceシリーズの特長であるキャビネットと一体化したDDC(ディナウディオ・ダイレクティビティ・コントロール)レンズや新開発されたEsotar3トゥイーターについて解説した後、ソフトの再生に移った。

画像: 発売中の『ボビノ座のバルバラ・リサイタル’67』についても解説していただいた

発売中の『ボビノ座のバルバラ・リサイタル’67』についても解説していただいた

 最初に選ばれたのは、昨年12月に弊社から発売された『ボビノ座のバルバラ・リサイタル’67』だ。スピーカーは一番小型のConfidence 20で、260DがCD専用機なので今回はCDを再生している。

 「このコンテンツはマスターがひじょうに状態がよく、SACD/CDともフラットトランスファーといってもいい工程で作られています」と和田さんも解説してくれたが、再生されたサウンドはその言葉通り純度が高く、力強いものだった。

 続いてボブ・マーリー『キャッチ・ア・ファイア』のオリジナル音源版を再生。これは当時の民生用8トラックレコーダーで録音されたものだというが、会場で再現された音は、そんなことを感じさせないクリアーさと迫力を備えていた。「この頃の民生用レコーダーって凄かったんですね」と和田さんも驚いたほどだ。

画像: リニアトラッキング&エアーベアリングを採用したアナログプレーヤー「Holbo」

リニアトラッキング&エアーベアリングを採用したアナログプレーヤー「Holbo」

 次にスピーカーをConfidence 30に交換し、アナログレコードを再生する。Confidence 30は、現在発売中のステレオサウンド213号「StereoSound Grand Prix 2019」でゴールデンサウンド賞に選ばれているが、和田さんによると、「Confidence 30が飛び抜けていたわけではなく、シリーズいずれもいい音を聴かせてくれます」とのことだった。

 そのConfidence 30+Holboプレーヤー(カートリッジはデノンDL-103)で再生したのは、ダフト・パンクの重量盤『 Random Access Memories』。80’sらしいノリのいいサウンドに会場が盛り上がる。

 和田さんは、「Holboは僕が聴いてきた中で、リニアトラッキングの弱点を感じさせない初めてのプレーヤーです。DL-103カートリッジらしい、太くてかつ中域に厚みのあるサウンドが再現されていました」と再生システムのパフォーマンスもしっかり解説してくれた。

 そして次に和田さんは『Hodie:Advent to Christmas』というクリスマスソングを集めたCDを再生。これはマイク2本のみで収録されたもので、そのシンプルな録音がどのように聴こえるかを来場者に知ってもらいたいという目的からだという。

画像: 和田さんのイベントに先立って、ヴァイオリニストの窪田真佑子さんによる生演奏とCDの試聴も行なわれた

和田さんのイベントに先立って、ヴァイオリニストの窪田真佑子さんによる生演奏とCDの試聴も行なわれた

 最後はConfidence 50につなぎかえて、そのパフォーマンスを体験した。「故・朝沼予史宏さんがよく試聴に使っていたCDです。今日はそれを皆さんにも聴いてもらいたいと思います」といって和田さんが取り出したのは、ゲイリー・ピーコック&ビル・フリゼールの『峠の我が家』だ。

 和田さんによると、今回は光城精工のクリーン電源を使っているので、ホテルの会議室という環境ながらS/Nはひじょうにいいそうだ。ただし、部屋の特性もあってか、若干低音のふくらみは感じられるという。しかし会場では量感豊かな低音という印象で、ギターとベースの音色に引き込まれた次第だ。

 最後にヴォーカル曲としてカーペンターズの『Singles 1969-1981 』から「イエスタデイ・ワンス・モア」を再生、カレンの美しい歌声に聞き惚れながらイベントは終了した。”オトナの秘密基地”がコンセプトのオーディオベースだが、今回もその雰囲気が充分に感じられる、アットホームなイベントが実現されていた。(取材・文:泉 哲也)

画像: ブライトーンのデモタイムには、スピーカーケーブルとスピーカーの間につなぐだけで音質向上が図れる、High Fidelity Cablesの「Magnetic Speaker Cable Adapters」の比較試聴も実施され、その違いに来場者も驚いていた

ブライトーンのデモタイムには、スピーカーケーブルとスピーカーの間につなぐだけで音質向上が図れる、High Fidelity Cablesの「Magnetic Speaker Cable Adapters」の比較試聴も実施され、その違いに来場者も驚いていた

画像: カジハララボとサエクコマースのブースでは、小原さんによるアナログレコード試聴会も開催。トーンアームやカートリッジによる音の違いをチェックしていた

カジハララボとサエクコマースのブースでは、小原さんによるアナログレコード試聴会も開催。トーンアームやカートリッジによる音の違いをチェックしていた

画像: テクニカルブレーンのブースでは、プリアンプ「TBC-Zero/c」やパワーアンプ「TBP-Zero/EX2」などを使ってマジコのスピーカーをドライブ

テクニカルブレーンのブースでは、プリアンプ「TBC-Zero/c」やパワーアンプ「TBP-Zero/EX2」などを使ってマジコのスピーカーをドライブ

画像: ネットワークジャパンのブースに並んでいたクアドラルのスピーカー。今回は新製品の「ORKAN 9」やフラッグシップ「TITAN 9」をデモ

ネットワークジャパンのブースに並んでいたクアドラルのスピーカー。今回は新製品の「ORKAN 9」やフラッグシップ「TITAN 9」をデモ

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