日米同時公開まで残すところあと1週間を切った『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』。シリーズ最終作にして、すべての謎が解き明かされる注目作として、ファンならずとも気になっている方は多いはず。
先日、その公開を記念して、J.J.エイブラムス監督や主要キャストが来日、レッドカーペットイベントと記者会見が行なわれた。
来日したメンバーは、レイ役のデイジー・リドリー、フィン役のジョン・ボイエガ、ポー・ダメロン役のオスカー・アイザック、C-3PO役のアンソニー・ダニエルズ、そして監督のJ.J.エイブラムスやプロデューサーのキャスリーン・ケネディといった面々。
レッドカーペットイベントは11日夕刻からの開催で、会場となった六本木ヒルズには事前公募で選ばれたファンが集結、キャストの登場を待ちわびていた。ファンの中にはレイやC-3PO、ポーグなどのコスプレをして参加した人も多く、お互いに写真を取り合ったりして楽しんでいた。
各キャストやJ.J.エイブラムス監督はリムジンで会場に到着した後、テレビ局の取材に対応してからファンの前を通ってステージに向かったのだが、ここでは(雨にもかかわらず)サインや写真撮影に気軽に応じており、ファンへの優しい気配りが感じられた。
特にアンソニー・ダニエルズは記者向けの撮影を終えた後に、会場にいる小さな子供がC-3POのキャップをかぶっているのを見つけてわざわざ客席前に戻って、その子のためにサインをしていた。“レジェンド”のそんな優しさが観られただけでも嬉しくなる。
そして翌12日には、TOHOシネマズ六本木ヒルズで、来日記者会見が開催された。こちらのメンバーはレッドカーペットの面々に脚本を担当したクリス・テリオを加えた7名という構成だ。
まず、司会者からサーガの最終作となる作品の公開を間近に控えた今の率直な気持ちを聞かれて、J.J.エイブラムス監督は「2年前からこの作品に取りかかってきました。この1年はずっとポスプロ作業に没頭しました。『〜スカイウォーカーの夜明け』は、ここにいる俳優陣の演技が素晴らしいので、それを見て欲しいですね。ILMの最高のVFX作品ができあがりました」と話していた。
デイジー・リドリーは「今回の現場は最高でした。毎日現場に行くのが楽しかったから、撮影が終わってしまうのは寂しいですね。観客の皆さんと作品を分かち合えるのをわくわくしています」、オスカー・アイザックも「まだ作品を公開しなくてもいいんじゃないかと思っている。(J.J.エイブラムス監督に向かって)もう少しゆっくり仕上げませんか?」と話して会場の笑いを誘った。
ジョン・ボイエガは「『〜フォースの覚醒』の時は、自分が3作品に関われるとは思わなかった。『〜スカイウォーカーの夜明け』が公開されるのが怖いくらいです。映画が皆さんのものになるのが楽しみだけど、寂しくもあります」、そしてアンソニー・ホプキンスは「私はこれまでの8作品に出ていますが、今度の9作目はとても重要です。脚本のクリスとJ.J.エイブラムス監督は素晴らしい作品を作ってくれました。あと数日でもう秘密にしなくていいので安堵できます」と、出演者ならではの率直な思いを話してくれた。
ジョンから名指しされたクリス・テリオは、「映画には4つの段階があると思っています。それは、脚本、キャストが演技を作っていく過程、ポスプロ工程、観客が観た時、の4つです。これまでの3つが終わってしまったことを寂しく思うと同時に、4つ目を楽しんで欲しいです」と脚本家らしい意見を語っていた。
キャスリーン・ケネディは「今回は、映画の歴史を飾る重要な作品に関わっているということで、スタッフ全員が自分たちが抱えられる以上の責任を負ってきました。それに応えられる重要なものができあがったと思います。やっと観客の皆さんと分かちあえるのが嬉しい」と、プロデューサーらしい感想を話していた。
他にも様々な質問が寄せられたが、印象的だったのは、『スター・ウォーズ』シリーズが多くの観客を引きつける理由を尋ねられた時のアンソニー・ダニエルズの回答だった。
「すべての作品に参加できたのは嬉しいし、名誉なことです。『スター・ウォーズ』が40年以上続いたことは、ジョージ・ルーカスの魔法です。公開当時は映画館でしか見られずに、みんな集まって劇場で一緒に鑑賞していました。その後にビデオが出てきて何度も見ることができるようになった。これも魔法のようなものです。おかげで家族が3世代に渡って『スター・ウォーズ』を楽しんでいる、すべては物語の素晴らしさゆえです」と話したのだ。まさに8作品に関わってきた彼ならではの見解といえるだろう。
さらにファンにとって気になる点がJ.Jエイブラムス監督に質問された。悲しいことに2016年末に急逝したキャリー・フィッシャーについて、本作で彼女の登場シーンをどのようにしているかという内容だ。
これに対しては、「スカイウォーカーサーガの最後にレイア姫の存在は欠かせません。彼女の存在は重要で、新しいキャストやCGというわけにはいきませんでした。そこでこれまで撮りためた映像を使うことにしました。フッテージを使うことで、完結作でレイア姫に出会えます。それを楽しんでください」という。
つまり『〜スカイウォーカーの夜明け』のレイア姫はキャリー・フィッシャーが演じた映像が使われているわけで(CGの合成などはあるだろうが)、監督を始めとする制作陣がそれくらいキャラクターや俳優をリスペクトしてくれたことも嬉しい限りだ。
ちなみに、予告編で話されるC-3POのセリフの意味深なセリフについて聞かれたアンソニー・ダニエルズは、「たいへん美しいセリフで、色々な解釈ができます。現場でとても感動するセリフでした。J.J.が素晴らしい編集をしてくれたので、その謎はあと数日の間考えてください」と、意味深な答えを戻してくれた。ファンとしては、その忠実に従って残り4日を過ごすことにしよう。(取材・文:泉 哲也)