遮音性・特性・定位感など
まさにスタジオグレードの実力
ノイマンからリリースされている同社初となる密閉型スタジオモニターヘッドホンNDH20。同社が掲げる「ベストインプット=マイクロフォン」と「ベストアウトプット=スタジオモニター」の理想を実現するために開発されたという、野心溢れる製品だ。
シルバー色の大型イヤーカップは派手な装飾とは無縁で、いかにもプロ機然とした面持ち。内部には高磁束密度のネオジウムマグネットを使用した38㎜口径のドライバーを搭載する。また折り畳み機構や、ヘッドホン側のコネクターに汎用性のある2.5㎜バヨネットプラグを採用するなど実用性も高い作りとなっている。
重量は388gとモニターヘッドホンの中では重い部類に入るが、柔軟に曲がるスチール製ヘッドバンドと形状記憶イヤーパッドのおかげで装着感は悪くない。強めの側圧で遮音性に優れ、装着した瞬間から静寂が支配する。
ノイマンといえば、コンデンサー・マイクやモニタースピーカーなどを手掛け、レコーディング/マスタリング業界でその名を知らぬものはない。NDH20は、そんな同社の凄耳エンジニア達によってサウンドデザインされている。さらに、製造時には1台ずつ周波数応答と電気的特性を測定し、特別訓練されたスタッフがリスニングテストも行なっているという。
凄耳のエンジニア達によってデザインされたサウンド
その音は、ジャズ、クラシック、ロック、ポップス、どのジャンルの音楽を聴いても、帯域バランスがフラットだと感じさせ、全帯域とも付帯音がほとんど聞こえない。まさに色付けを排したストレートサウンドだ。
ヴォーカルや楽器の距離感は近すぎず遠すぎず、まさにドンピシャの位置に定位し、ノイマンが求める精度の高さを実感した。
インピーダンスは150Ωと高めながら、かなり高能率なので、高価なヘッドホンアンプを使わなくても音量を稼げる。試しにMacBookProのヘッドホン端子に接続して再生してみたが、音の滲みは少なく低域のダンピングも良好だった。
原音再生を求めるファンにうれしい、超本格派モニター志向の1台である。