8Kの新しい方向性が「ドラマ」だ。これまで「8Kは花鳥風月を高精細に描くためのもの」といわれてきた。ノンフィクションには高精細映像は合うが、果たして、フィクションにはどうか?
見えすぎるのはどうか。ドラマに応用したらどうなのか。

 そのトライが8KドラマのNHK『浮世の画家』。戦前との社会の激変に戸惑う老画家を渡辺謙が演じた、カズオ・イシグロ原作作品は、NHKにとっては「8Kはドラマに合うか」を試すひじょうに重要な実験だった。

画像: NHKシアターでの紹介スライド

NHKシアターでの紹介スライド

 私は試写にて、しっとりした質感が高精細に、そしてハイコントラストに描かれたと、見た。監督の渡辺一貴氏(NHKエンタープライズ・番組開発エグゼクティブ プロデューサー)は、こう言った。

画像1: 【麻倉怜士のMIPCOM2019報告:02】MIPCOM2019で分かった8Kの最前線。8Kのドラマ進出。NHK『浮世の画家』
画像2: 【麻倉怜士のMIPCOM2019報告:02】MIPCOM2019で分かった8Kの最前線。8Kのドラマ進出。NHK『浮世の画家』
画像: NHKの8Kドラマ『浮世の画家』。戦前との社会の激変に戸惑う老画家を渡辺謙が演じた

NHKの8Kドラマ『浮世の画家』。戦前との社会の激変に戸惑う老画家を渡辺謙が演じた

 「ハイビジョンでの撮影が始まった時も、鮮明に映りすぎてしまい、ドラマなんかつくれるわけはないと言われたものですが、いつの間にか普通になりました。8Kも同じだと思います。今回の経験から8Kはひじょうにドラマに向いていると確信しました。多彩な表現が可能だからです。特に感動したのが、いままでの黒は黒一色だったのに。ところが8Kの黒はその中にすこし暗い、明るいなどグラデーションがはっきり表現できるのですね。それには驚きました」

 精細感と階調再現は、ドラマに8Kのメリットを与えるだろう。

画像: 中央が監督の渡辺一貴氏

中央が監督の渡辺一貴氏

画像: 渡辺謙さんと麻倉さん

渡辺謙さんと麻倉さん

This article is a sponsored article by
''.