昨日、東京・新宿のビックロ新宿東口店4Fオーディオ試聴室で、恒例の麻倉怜士さんによる定期講演会が開催された。今回のテーマは「MQA CD徹底試聴」で、ユニバーサルやワーナーから発売されているMQA CDを使い、クラシックやポップス、イージー・リスニングなどの楽曲を聴き比べようというものだ。
再生システムは、SACD/CDプレーヤーがデノン「DCD-SX1 LIMITED」、プリメインアンプも同じくデノン「PMA-SX1 LIMITED」で、スピーカーはダリの「EPICON 8」を使用。そしてMQAのデコードに対応したD/Aコンバーターとしてメリディアンの「Meridian 218」がつながれている。
今回はDCD-SX1 LIMITEDの同軸デジタル出力をMeridian 218につなぎ、218のRCAアナログ出力をPMA-SX1 LIMITEDに入れている。試聴会では通常のCDとMQA CDの比較も行なっているが、その時もMeridian 218でD/A変換していたわけだ。
MQAやハイレゾの音をきちんとした環境で確認できるとあって、会場は満席。麻倉さんが選んだお薦めディスクの音がどれくらいのクォリティで体験できるのかを、来場者はみんな真剣に聴き入っていた。
麻倉さんは、イベント前半でMQAの概要を説明した後、既に発売されているMQA CDからお薦めディスクをいくつか再生してくれた。中でもエルネスト・アンセルメ『ファリャ:《三角帽子》《恋は魔術師》』はティンパニの再現や続く声の再現、ソプラノの響きなどとてもなまめかしい。
麻倉さんによると、MQA CDで再生すると、音の色彩が鮮やかになり、よりグロッシーに聴こえるとのことだが、確かにそんな印象だ。
続いては、9月にユニバーサルから発売されたMQA CDの「イージー・リスニング/ムード・ミュージック編」の中から注目ディスクをチョイス。『サム・テイラー』『ビリー・ヴォーン』『アルフレッド・ハウゼ』『マランド』のベストセレクションからヒット曲を選び、従来のCDとMQA CDの比較を行なった。
これらのディスクはMQAデコーダーを通すことで352.8kHz/24ビットのハイレゾとして再生される。当然ながらどの楽曲も空間の密度が上がり、音の粒立ち、細やかな表現が格段に向上してくる。さらにMQAならではの時間軸までぴったりあった再現になることで、低音の絞り、階調感もアップしている。来場者も、CDとの明瞭な違いを耳にして、驚いている様子だった。
一通りの比較の後、麻倉さんは「そろそろこんな季節ですから」と『ヴィルヘルム・フルトヴェングラー ベートーヴェン:交響曲 第9番「合唱」』のMQA CDをチョイス。第二楽章でCDとMQA CDの違いを確認した後、第四楽章をじっくり再生してくれた。
ここでは、「CDとの違いが顕著でしたね。この楽曲は神がかり的な演奏としても有名ですが、MQA CDで聴くとフルトヴェングラーの持つ音楽性、楽員を引っ張っていくカリスマ性まで感じます。彼がホールに居るだけで楽団員の緊張感が違ったと言いますが、それが音に現れているのでしょう」と、演奏の深みまで感じさせる再生であることを紹介してくれた。
なおワーナーミュージックのMQA CDを使った試聴会が、11月16日にも開催される。これは、11月8日にSACD『マイケル・ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団/アイヴズ:交響曲第3&4番』が発売れるのを記念して、SACDハイブリッド盤とMQAデジタルを比較試聴しようという企画だ。さらに8月に発売されたワーナークラシックスのMQA CDとCDの比較試聴も実施される。
試聴会の概要は以下の通り。完全招待制で、事前に申し込んで当選した方から順番に席に案内してくれる。
「ワーナーミュージックSACD & MQA 試聴会@on and on」
●日時:11月16日(土)13:30より受付、14:00〜16:00
●会場:on and on (ディナウディオ)試聴室 東京都中央区新富1-16-12 新富アネックス
●解説:麻倉怜士さん
●定員:抽選で20名をご招待
●応募方法:件名に「11/16 SACD&MQA試聴会参加希望」と記入し、名前とメールアドレスを添えて「wmlife@warnermusic.com」までメールで応募を。当選者には案内が上記メールから送信される(迷惑メールをオフに設定でしておくこと)。
さらに当選者からの出席確認メールが必要なので、出席予定の方は必ず返信すること。返信がなかった場合は、当選もキャンセルになるのでご注意いただきたい。応募締め切りは11月4日(必着)、当選の案内は11月7日周辺を予定している。なお応募1名につき1名の招待で、当選権利の譲渡はできない。
<主な試聴機器>
●SACD/CDプレーヤー:デノンDCD-SX1 LIMITED
●DAC:メリディアン+ROON
●アンプ:カナダ MOONのセパレートアンプ
●スピーカー:ディナウディオ 新Confidence