マランツのプリメインアンプに、新モデルとして「PM700N」(¥120,000、税別)がラインナップされた。11月中旬の発売を予定している。
PM7000Nは、同社のUSB DAC搭載プリメインアンプ「PM7005」の後継で、ネットワーク機能を充実させている点が特徴だ。これはユーザーの視聴スタイルの多様化に応えたもので、結果として、CDなどのパッケージメディアはもちろん、Bluetooth、NAS、USB−HDD、ネットワークといった多くの音楽コンテンツを楽しめるようになったそうだ。
ただし、PM7000Nは単純にネットワーク機能を追加したのではなく、マランツのハイファイモデルとしての品質をきちんとクリアーするための配慮が施されている。
ネットワーク回路をアンプに内蔵することは、機能性では有利になるが、音質やコストの面ではデメリットもある。その第一がノイズ対策で、ネットワーク回路からノイズを出さない技術、増幅を抑える技術が必要だった。
PM7000Nでは、最新ネットワーク回路と高周波ノイズ制御技術を導入することで、この問題をクリアーしたという。具体的にはデジタル回路を専用のシールドケースに納めたり、ネットワーク回路や無線(Wi-Fi)、Bluetoothといった機能について使わないものの電源だけをオフにできるようにしている。
音質を左右するD/Aコンバーターチップは、旭化成エレクトロニクスのAK4490EQを採用。これは、同社の最高峰AVセンター「AV8805」でも使われている2ch専用のICだ。これにマランツ独自のHDAM回路を組み合わせ、ディスクリートのアナログ出力回路を構成している。
プリアンプにも手が入っている。従来はアナログ可変抵抗だったが、PM7000Nでは高品位電子ボリュウムのJRC製「NJU72322」を採用した。ネットワークを内蔵するので低ノイズ性を重視し、実使用領域では帰還量を固定にすることで高S/Nを獲得したという。この結果、PM7005比でノイズを1/3に減らしているとのことだ。
その他、パワーアンプの瞬時電流供給能力を45%アップし、スピーカーの駆動力を改善した。これはブロックコンデンサーをパワーアンプ出力基板にダイレクトに固定することで電源ラインを最短化したり、カスタムのブロックコンデンサーを新規に開発したりといった細かい改善が効いているのだろう。
他にも二重シールドのトロイダルトランスや高密度リブのインシュレーター、カスタムスピーカー端子など、厳選したパーツが奢られている。内部のヒートシンクも厚さを増やして放熱効果を上げている。
発表会では、前モデルとなるPM7005との音の違いも確認させてもらった。アナログ接続のCD再生でクラシックの楽曲を聴くと、まずS/Nに差がある。静かなホールの中に、打楽器の音が勢いよく飛び出してきて思わずどきりとした。PM7005も伸びやかな演奏を楽しませてくれるが、比べてみるとPM7000Nは低域の切れがいいし、高音も素直に伸びて空間の広がりが綺麗だ。
CDのデジタル入力でもPM700Nは音が明瞭で、ピアノやヴァイオリンの配置までしっかり確認できるし、音の粒が細かく感じられる。S/Nがいいので、情報量が増えているのだろう。女声ヴォーカルでは、ステージとの距離が近づいたような印象を受けた。
PM7000Nはハイレゾ音源(最大192kHz/24ビットのリニアPCMとDSD 5.6MHz)にも対応済みで、さらに様々なストリーミングサービスも楽しめる。先般発表になったAmazon Music HDの再生機能もいち早く内蔵している点も、注目されるだろう。
「PM7000N」の主なスペック
●定格出力:60W×2(8Ω、20Hz〜20kHz、両チャンネル同時駆動)
●S/N:115dB(CD/AUX/RECORDER)
●接続端子:アナログ音声入力3系統、フォノ入力1系統(MM)、デジタル音声入力3系統(光×2、同軸×1)、プリアウト1系統、サブウーファープリアウト1系統 他
●対応ハイレゾフォーマット:WAV、FLAC、ALAC、DSD
●対応サンプリングレート:最大192kHz/24ビット(リニアPCM)、DSD5.6MHz
●対応Bluetoothコーデック:SBC
●寸法/質量:W440×H105×D379mm(アンテナ除く)/10.8kg
※PM7000Nのページはこちら
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https://www.marantz.jp/jp/Products/Pages/ProductDetails.aspx?CatId=HiFi&SubCatId=Amplifier&ProductId=PM7000N