ホームシアター愛好家の皆さん、こんにちは。今日も高画質・高音質ソフトを楽しんでいらっしゃいますか?
さてそんな貴方なら、きっとUHDブルーレイのことも気になっているでしょう。念のためおさらいすると、UHDブルーレイとは4K解像度(水平3840×垂直2160画素) & HDR(ハイ・ダイナミックレンジ)の高品位な映像と、ドルビーアトモスを始めとするいい音を収録した、最新世代のパッケージソフトです。
そのUHDブルーレイは2015年の登場以来少しずつ対応機器も増え、ソフトも充実してきています。そして今年はパッケージソフトで大きな動きが出てきています。
それがディズニー作品の本格的なリリースです。今年に入って4月に『シュガー・ラッシュ』『シュガー・ラッシュ:オンライン』『メリー・ポピンズ リターンズ』を発売。そして本日(6月19日)には、『ライオン・キング』『リトル・マーメイド』、さらに『トイ・ストーリー』シリーズ3作品が一気に登場したのです。
このうち『ライオン・キング』は劇場公開25年、『リトル・マーメイド』は30年という節目の年の登場でもあり、その品質には期待が高まります。
ということで、新登場のUHDブルーレイを借用し、そのクォリティをわが家のホームシアターで確認してみました(4Kプロジェクター+ドルビーアトモス7.1.4システムで再生)。
まずは『ライオン・キング』から。1994年に公開された作品で、内容については改めて紹介するまでもないでしょう。年代的に、セル画・フィルム撮影だろうと推測できます。
それを踏まえて本編を見てみると、画質的には手描きのニュアンスを感じさせる目に優しいもの。でありながら、大面積の部分でも色むらは目につかず、細かい部分の色分けまでしっかり判別できる仕上がりです。
最新アニメ作品のような緻密さやHDRを活用したピークの演出とはいきませんが、鮮度の高いアナログタッチで、フィルムの味わいのある絵柄はとても貴重。ベタな喩えですが、写真やプリンターの光沢紙ではなく、マット紙のような質感といった印象です。
そして忘れてはいけないのはS/Nがとてもいいこと。UHDブルーレイといっても、フィルムグレイン(粒状性)に起因するノイズ感が残っていることも多いのですが、『ライオン・キング』ではそういったこともありません。でも、ペタッとした印象もないから不思議だなぁ。
そんなUHDブルーレイ『ライオン・キング』の見どころ、聴き所を紹介しておきましょう。
まず画質的にはch(チャプター)1から引き込まれます。朝焼けの微妙な赤色、多くの動物達の描写、見下ろしたフラミンゴの群舞、そして何より岩山に立つムサファの雄姿には見惚れてしまいます。
またch17〜のシンバとナラが恋を育むシーンも、柔らかくウォームな色使いが特徴です。瀧の水色や草むらの緑の描き分けもていねいです。
そして音をチェックするならch9を聴き逃しのないように。ヌーの大暴走の地響きや重低音がどこまでの迫力で再現されるか、怖さは感じられるかがポイント。この低音はテレビの内蔵スピーカーでは絶対にでてこないので、ぜひスピーカーをつないで体験して欲しいと思います。
また折々に出てくるシンバの咆吼や、ムファサが語りかける声が意外に図太く、胸板(?)の厚さを感じさせます。このあたりもじっくり聴いてみてください(英語で再生)。
トータルでの必見ポイントは、C21〜のスカーとの戦いです。炎の絵柄や音が緊迫感を盛り上げ、2匹が繰り出すパンチにも意外と低音が含まれています。ラストシーンで盛り上がる音楽、雨音の響き、ライオンの咆哮など、作品の全要素が揃う必見シーンです。暗めの映像から一転して鮮やかなジャングルに変化していく様も綺麗でした。
と、ここまででUHDブルーレイ『ライオン・キング』の完成度が高いことは確認できました。そこで忘れて欲しくないのが、こういった作品を4K画質で家族や子供達といっしょにみることの意味です。
4Kの解像度は35mmフィルムと同じくらいの情報量を備えていると言われています。つまりUHDブルーレイの映像は映画のオリジナルに近い存在ということ。音の面でもドルビーアトモスなら劇場と同等といえるので、ホームシアターでUHDブルーレイを再生するということは、まさにオリジナルに触れているといいっても過言ではない。
あくまでも個人的な経験ですが、子供や女性は直感的にいいものを判断してくれます。なので、細かな理屈は知らなくても、UHDブルーレイにも自然に親しんでくれることでしょう。子供には小さい頃から“本物”を体験させるに越したことはないわけで、リピートが期待される作品ほどUHDブルーレイで観て欲しいと思うわけです。
というわけで、ディズニーのUHDブルーレイは家族団らんにも役に立ってくれるのは間違いなし。ぜひ映画ファンの皆さんはこのクォリティをご家族と経験してみてください。
ちなみにもうひとつの『リトル・マーメイド』の印象は以下の通り。こちらもお子さんと一緒に楽しんで欲しいと思います。(取材・文:泉 哲也)
UHDブルーレイ『リトル・マーメイド』の見どころ
画質的には、30年前の作品とは思えないほどS/Nがいい。絵のトーンは本編を通して、いかにも絵の具で描きましたという仕上げです。キャラクターの輪郭線がちょっと太めなのは、描かれた時代なりということかも。
C18〜の船の周りでの花火のシーンで光の描写が細かいし、明るい甲板でのダンスも華やかな映像となる。その後の嵐の中での救助シーンと救助後の砂浜の明るさ、陽の強さの対比も綺麗でした。
音は英語でチェックしたけれど、歌のシーンは全部が聴き所。サラウンド効果は派手ではないけれど、C13〜の洞窟内のトリトン王が怒るシーンでは一瞬音が洞窟内を走り抜けます。C25〜の魔女が暴れて、海が荒れるシーンも面白い。嵐が吹きすさぶサラウンド感はやや抑えめだけど、低音の迫力が充分。
トータルでの必見ポイントはC11〜のあまりにも有名な「アンダー・ザ・シー」のミュージカルシーン。まぁこの作品ではここを外すわけにはいかないですね。音楽的にもサラウンドが盛り上がるし、華やかな色使いとコミカルない動きで画面に釘付け。お子さんがいたらヘビーローテーション間違いなし。