毎年ゴールデンウィークに開催されている逗子海岸映画祭が、今年で10周年を迎えた。この映画祭は”Play with the Earth/地球と遊ぶ”をテーマに、自然と対話し、地球の上で楽しんで生きるための姿勢や知恵を学び合う場を作りたいという思いで続けられている。
会場はその名の通り逗子海岸。JRや京急の逗子駅から10分ほど歩いた砂浜に大型スクリーンが設置され、江ノ島や富士山をバックに映画が楽しめる絶好のロケーションとなっている。
期間中(今年は4月26日〜5月6日)は毎日19時から映画作品を上映する。もちろんそれが一番の目玉だが、会場内にはその他にもヨガや手ろくろ体験のワークショップ、テーマ別のレストランや逗子海岸が地元の作家さんが作ったアイテムを購入できるバザールなど、様々な企画が準備されているので、お子さん連れでも楽しめるはずだ。
そんな中で毎年盛り上がっているのが、海をバックにしたスケートボードランプだ。幅4m×長さ10m近くありそうな本格的なスケートランプは、スケートボードからプロダクトを生み続けるアーティスト、ブランド「core」を主宰する石渡誠氏がデザインしたもので、毎年多くのスケーターが技を競っている。
さらに今年は新しい試みとして、スケートランプにスピーカーを組み込んだサウンドシステムが製作された。このシステムは、5月4日(土)のストリートカルチャーをテーマにした「Street Culture Day」に合わせて上映される、ジャマイカ発祥のミュージックカルチャー「Sound System」のドキュメンタリー上映を記念し石渡氏が企画製作、フォステクスが協賛したものとなる。
スケートランプの片側全面にフォステクスのユニットが取り付けられており、ここからスケートボードの滑る音を増幅させてスピーカーで鳴らすことで、これまでにない迫力でランプ上での滑りを観覧できるという。同時に、DJプレイによる重低音も体感できるので、イベントもいっそう盛り上がるはずだ。
取り付けられているユニットは、30cmウーファーのFW305が左右それぞれ10基の合計20基、16cmウーファーのFW168HRが左右2基の合計4基、そして8cmフルレンジのFF85WKが左右16基の合計32基という構成となる。
4月27日の「MEMORIAY DAY」に会場に参加して実物を見てきたが、これだけのスピーカーユニットがずらりと並んでいるのは壮観。僕がうかがったときは“竹中直人とオレンジ気分バンド”の演奏が再生されていたが、屋外の開放的な気分と相まってとても心地いいサウンドを楽しめた。当日は気温は低めだったが、この音を聴きながら飲むビールは格別だった。
その“竹中直人とオレンジ気分バンド”は、この逗子海岸映画祭と深い関わりがある。そもそもは、逗子海岸映画祭を企画していた10年前に、たまたまロケで逗子を訪れていた竹中さんに運営メンバーが映画祭への協力を打診したことがきっかけで、第一回のオープニング作品として『サヨナラCOLOR』が上映された。以来竹中さんはほぼ毎年会場に足を運んでいるそうだ。
そしてここでの竹中さんとミュージシャンの高木完さんとの出会いから“竹中直人とオレンジ気分バンド”が誕生し、アルバム『竹中直人のオレンジ気分』は本映画祭の運営母体でもあるCINEMA AMIGOというレストランで録音されている。
今回は逗子海岸映画祭10周年を記念して“竹中直人とオレンジ気分バンド”が集結、映画上映前の特別ライブが開催された。午後から振っていた雨もライブ直前には見事にあがり、綺麗な夕陽をバックにした最高のシチュエーションでライブは始まった。
竹中さんが愛する忌野清志郎さんや松田優作さんのカバー曲が演奏され、来場者は眼前で繰り広げられるパフォーマンスに大喜びの様子だった。ライブは約1時間続き、上映作品のモチーフとなった「サヨナラCOLOR」を熱唱して終了。ここから映画本編がスタートしている。
映画が始まったのが19時半頃だったが、いかんせん波打ち際すぐなので当日はかなり冷え込んでいた(気象庁の情報ではその時間の逗子の気温は10度)。しかしほとんどの来場者(800人近かったとか)はダウンやブランケットにくるまって、映画を最後まで楽しんでいた。
ホームシアターで高品質に、大迫力で楽しむのも映画のひとつの形だが、屋外の開放的な空間で観賞すると、同じ作品でも違った印象を受けることがある。映画ファンの皆さんは、ゴールデンウィークの気分転換として逗子海岸映画祭に足を運んでみてはいかがだろう。
逗子海岸映画祭は5月6日まで開催されており、開場は11時、映画上映開始は19時を予定。入場料は一般¥1,500、高校生¥1,000、中学生以下は無料だ。また逗子市民には¥500割引サービスもある(中学生と逗子市民割引には身分証明書が必要)。