英国KEFの中核となる「Rシリーズ」が一新された。昨年末の時点で発表されていた製品がいよいよ発売された格好だ。製品ラインナップは写真の通り6機種。センタースピーカーR2cと、ドルビーアトモス・イネーブルドスピーカーとしても壁掛けのサラウンドスピーカーとしても使えるR8aを用意し、ユーザーの要望に応じたサラウンドシステムを構築できるようになっている。
新Rシリーズの特徴は、同社上位グレードのREFERENCE(リファレンス)シリーズの要素技術を踏襲したこと。さらに、KEF伝統のオリジナル同軸ドライバーUni-Q(ユニキュー)を最新世代のものアップデートしたことにある。
リファレンスシリーズに近付いたということは、Rシリーズ最上位機種のR11でインライン上に5ユニットが並ぶ姿からも一目瞭然だろう。Uni-Qを中心として165㎜ウーファーを4つ並べるという3ウェイ5スピーカー構成は同社リファレンスシリーズのREFERENCE5と同じ。また、こうした構成や外見だけでなく、内部のブレーシングの仕方なども同様にリファレンスシリーズに準じているという。もちろん使用する素材などは異なるが、ブレーシングの接続点にはダンピング材を入れるなど、振動の抑制と剛性の確保のための工夫が凝らされている。
旧Rシリーズから更新されたポイントは1043に及ぶそうで、まさに全面更新と言える改善・変更を施している。
そして気になるのが新世代Uni-Qの内容だ。1988年に第一世代のUni-Qが世に出されてから30年、これで12代目となる。主な改良点は中央のトゥイーターとウーファーのギャップを従来よりも小さくしたこと。「トゥイーターギャップダンパー」と呼ぶ充填材を入れることでギャップにある空気の共鳴を抑え、よりなめらかな再生ができるようになったとしている。
なお、新Rシリーズのウーファーユニットの磁気回路については、リファレンスシリーズのものとまったく同じものが奢られているという。
サウンドはもちろん使いやすさも追求
さらに、ふたつの方向性で使いやすさを訴求することも新シリーズの特徴だ。まずは新たなフィニッシュの導入。本体色は定番の黒(ブラック・グロス)、白(ホワイト・グロス)のほか、ウォールナットが用意される。これ自体はごく一般的なラインナップと言えるが、ウォールナットは突き板の木目ではなく、ツヤのある平らな仕上げ。しかも、ホワイトにはホワイトのユニット、ウォールナットにはウォールナットのユニット、という具合に本体色とユニットの色までを揃え、インテリア性の向上を図っている。
そして、本シリーズでサラウンドを実践しようとするユーザーに注目していただきたいポイントが設置性の改善だ。旧シリーズよりも総じてエンクロージャーがスリムになっているほか、フロアスタンディング型の3機種は床からのUni-Qの位置が揃うように設計されている。つまり、音の発生する中心位置を揃えることで、スムーズなサラウンドのつながりを得られるようになっているということ。これはうれしい配慮であるし、各ユーザーのセッティングに対する示唆に富んでいる。
なお、KEFジャパンは本年夏頃までを目途に、KEF製品を体験できる実験室「KEF Music Lab」を東京・晴海にオープンする予定。予約制で、購入予定の製品を試聴できるというシステムが取られるそうだ。こちらの詳細も追ってお伝えしたい。