古都奈良を舞台に製作された塩崎祥平監督の最新作「かぞくわり」の完成披露試写会が10日、都内で行なわれ、主演の陽月華、共演の佃井皆美、木下彩音、そして塩崎祥平監督らが登壇した。

画像1: 陽月華、佃井皆美、木下彩音/塩崎祥平監督最新作「かぞくわり」の完成披露試写会に登壇。「現場で培ったほんとうの家族のような雰囲気を味わってほしい」

 これは監督が、民俗学者 折口信夫の「死者の書」から着想を得て作り上げた作品で、崩壊しつつある家族の姿を通して、いまの日本において守るべきものとは? を問う注目作。

 試写会前のトークショーでは、楽しかった現場の思い出などがメインに語られていたが、ここでは、より作品の内容に踏み込んだ、その後に行なわれたマスコミ向けの会見の模様を紹介します。

画像2: 陽月華、佃井皆美、木下彩音/塩崎祥平監督最新作「かぞくわり」の完成披露試写会に登壇。「現場で培ったほんとうの家族のような雰囲気を味わってほしい」

――撮影の時期は?
塩崎 ちょうど一年半前の2017年の7月を、ほぼまるまる一ヵ月使って撮影を行ないました。

――構想から含めると
塩崎 かれこれ6年ほどになります。

――今回集まったメインキャスト3人のキャスティングの要諦を教えてください。
塩崎 これはもう巡り合わせですね(笑)。

 主人公の香奈は、ニートみたいな状態から始まって、最後はお姫様になるので、その最初と最後の在りようを演じられる人を探している時に、ちょうど陽月さんと出会って、お願いしました。

 佃井さんについては、演じるキャラクターがこの物語の中の役割としてはなので、家庭に鬼がやって来て、それが段々と柔らかくなっていく……。そうした、普通とは逆の変化を演じられる人というのに加え、そうしたイメージ(怖い)の付いていない人、ということが基本にありました。なので、佃井さんが暁美を演じることで、自身の持っているイメージとは違う在りよう(芝居)が見られたら面白いかなと思い、お願いしました。

 木下さんは、終始拗ねている役なので(笑)、演じるというより、自然にそうした雰囲気で居られる人、加えて、この作品の中で一番リアルに見せたいキャラクターでもあったので、そうした芝居(雰囲気)を受け止められ、かつ、演技経験のない人、ということで木下さんにお願いしました。

――本作では、絵を描くことがキーワードになります。実際に絵を描かれた印象などをお聞かせください。
陽月 私が描かせていただいた作品は、実際に弓手研平さんという作家さんの絵で、その製作過程のものに手を加えさせてもらったんです。弓手さんは、とても独特な手法を取られる方で、地球の中から考えて、色を重ねていくんです。そうした絵そのものの持つ力を活かしながらの撮影でしたが、一番助かったのは、弓手さん自身がこの作品のスタッフとして参加してくださっていたことでした。疑問に思ったことは、すぐに質問して解決できました。加えて、絵を描くという所作についても、お芝居ではなく、実際の画家の動きを再現できるようにご指導いただき、かつ、ご自身が使っている大事な道具を貸してくださったりしたので、絵を描くというよりは、弓手さんの作品と一体になるという体験をしながら撮影に臨めたのが、よかったなと思います。

木下 私も弓手さんの教えを受けて、ナイフ(ペインティングナイフ)の持ち方など、基本的な部分から一所懸命に練習して撮影に臨みました。

塩崎 戻って来たナイフがヘロヘロになっていたので、弓手さんも、二人はどれだけ練習したんだろうって驚いていました。

陽月 ホテルに持ち帰って、絨毯相手にグッと力を込めて押し付けて、さながら1000本ノックみたいな感じで練習していましたからね(笑)。

――監督にお聞きします。タイトルを「かぞくわり」と名付けた理由は?
塩崎 インスピレーションです(笑)。家族の物語を描きたかったので、まず家族と入れたかったのと、あとは家族の役割ってなんだろうとか、いろいろと考えて決めました。携帯電話の料金プランみたいですけど、それがなければ、ハッとするようなタイトルなんじゃないかなって思っています。

――最後に、メッセージをお願いします。
木下 奈良の魅力がいっぱい詰まっているのと、ある家族の仲が徐々に戻っていき、最後はハッピーエンド(ですよね? 監督:そうです)になるので、そうした雰囲気を感じ取ってほしいです。加えて、一所懸命に樹月を演じましたので、樹月の変化、そして家族間の変化に注目してほしいです。

佃井 得意なアクションを封印して臨んだ現場であり、たくさんの悩みを抱えながら演じた姿を見てほしいです。現場では、家族を演じたキャストからたくさんの愛を受け取りましたので、そうした部分もお見逃しなく。

陽月 ファンタジー、ファミリー、ちょっとしたラブストーリー、そしてサスペンスといったさまざまな要素が入っているので、それらを感じてほしいですね。また、(そうしたこともあって)観てくださる方それぞれでも、あるいは観た時の心境によっても、感じ方が異なるかもしれません。そうした多様な見方ができる作品として、楽しんでほしいです。

塩崎 キャストの皆さんには、今までにない在り方(イメージ)で演じてもらいました。今日この場には、おばあちゃん役の竹下景子さんはいませんが、竹下さん含めて観たことのない姿が楽しめると思います。そうしたところに楽しさを感じてもらえたら、うれしいですね。そして、キャスト全員が本当の家族みたいな空気感を作ってくれたので、映像を通して、奈良や家族の雰囲気を楽しんでもらいたいなって思います。

●映画『かぞくわり』
1月19日(土)有楽町スバル座ほか全国順次公開
<キャスト>
陽月 華、石井由多加、佃井皆美、木下彩音、松村 武、竹下景子、小日向文世 ほか
<スタッフ>
脚本・監督:塩崎祥平
配給:日本出版販売株式会社
宣伝:アルゴピクチュチャーズ
(C)かぞくわり LLP
https://www.kazokuwari.com/

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