新4K8K衛星放送のスタートまで、とうとう残り1週間。StereoSound ONLINE読者の中には既に4K放送対応機をゲットした人や、この3連休中にチェックに行こうと考えている方も多いのではないでしょうか。

 そんなぎりぎりのタイミングになってしまいましたが、今回から数回に分けて新4K8K衛星放送の受信機器について知っておきたいポイントを整理しましょう。最初は単体4Kチューナーについて。

 チューナーレスの4K対応テレビやプロジェクターは、数年前から発売されており、一説によると500万台が市場にでているとか。つまりそれだけ4K放送を意識しているユーザーはいるわけで、そういった人たちが最初に導入を考えるのは単体4Kチューナーでしょう。

 新4K8K衛星放送受信機器としては製品数も多く、8ブランドから発売されています。まずはそれらの特長をまとめた一覧表をご覧下さい(表の赤字部分は現在確認中の項目)。

画像1: 放送開始までいよいよ1週間! 4Kチューナーを買う前に、知っておきたいポイントはここだ <新4K8K衛星放送、まるわかり!:その3>

 今回、実使用面で注目したのは以下の4つ。自分が使うならどの部分を重視するかを考えながら表をチェックしてください。

●内蔵チューナー数
 4Kチューナーのみ搭載しているのか、地デジや2KのBS/110度CSデジタルチューナーも積んでいるのかも機種によって様々。4K対応テレビと組み合わせるなら4Kチューナーのみで問題ないけれど、HDCP2.2(著作権保護技術)対応のモニターやプロジェクターユーザーなら、地デジやBS/110度CSデジタルを積んでいる製品の方が便利です。

●HDR対応
 4Kテレビは、発売時期によって再生できるHDR方式に違いがあります。UHDブルーレイに採用されているHDR10(PQカーブ)は再生できるけれど、4K放送で使われるHLG(ハイブリッド・ログガンマ)には非対応という製品も少なくないのです。自宅のテレビがHLG非対応(HDR10のみ対応)という場合は、「HLG→HDR10変換対応」ができる製品を選んだ方がいいでしょう。

●録画機能
 単体4Kチューナーは全機種とも外付けUSB HDDへの録画機能を搭載済みで、タイムシフトも楽しめます。ただし4K放送の録画はDRモードのみなので、できるだけ大容量のHDDを組み合わせることをお薦めします(2TバイトHDDで録画時間は130時間前後の模様)。また一部のチューナーはUSB3.0対応HDDが必要です。

 ちなみにソニーのDST-SHV1のみ4Kチューナーを2基搭載しており、4K放送の裏番組録画が可能です。それ以外の製品では、4K放送の視聴中は観ている番組だけ録画できます。

 なおSeeQVaultフォーマットのUSB HDDは新4K8K衛星放送の番組録画はできません。これは全社共通です。ということは、4Kチューナーや4Kテレビを買い替えたらそれまで録画した番組が観られなくなります。その点は理解しておいた方がいいですね。

●各種テレビへの出力
 4Kチューナーの選択で、一番気をつけたいのがこの項目かも。というのも、4Kチューナーはテレビに応じてHDMI端子から出力する信号を自動的に切り替える機能を搭載しており、最新の4K対応テレビとの組み合わせなら4K/60pの放送そのままで出力し、2Kテレビだと4K信号を2Kにダウンコンバートします。

 ややこしいのは4Kテレビで、HDCP1.4とHDCP2.2のどちらに対応しているかによって、出力される信号が変わってきます。HDCP1.4対応機の場合、著作権の関係から4K解像度で出力できず、2K信号しか出てこないのです(HDCP2.2対応機は4Kで出力可能)。

 また4Kプロジェクターの中は、HDCP2.2には対応しているけれど、4K/24pの信号しか入力できない製品があります。こういった製品の場合、チューナー側で放送の4K/60p信号を4K/24pに変換する必要があるわけで、この部分の対応はメーカー次第。

 今回、各社に質問をした限りではマスプロ、ピクセラ、ソニーの4Kチューナーは24pでの出力ができるようですが、動作確認はできていません(この点については後日テストしたいと思います)。それら以外のモデルでは、4K放送は2K信号に変換されます。

 ではHDCP1.4対応、4K/24p対応などの表示機器にそれらのチューナーをつないだらどうなるのかというと、信号の流れとしては以下のようになります。

画像2: 放送開始までいよいよ1週間! 4Kチューナーを買う前に、知っておきたいポイントはここだ <新4K8K衛星放送、まるわかり!:その3>

 つまりもともとの4K映像を途中で2Kにダウンコンバートし、それをテレビやプロジェクターでもう一度4Kに戻しているのです。なんでこんなややこしいことをしてんだよ! と突っ込みたくなるでしょう。4Kと思って観ていた映像が、実は2Kからのアップコンだったなんて可能性もあるわけで、気になる方はお使いのテレビやプロジェクターの仕様をしっかり確認してください。

 蛇足ながら、放送の4K/60pを4K/24pに変換すると、当然ながら映像はコマ落ち状態になります。元々24pの映画作品はいいけれど、動きの速いスポーツ作品(オリンピックなど)は違和感ありありかと。それを気にして2K/60pで出力するメーカーもあるのでしょう。個人的には、4K/60p放送を2K/60pと4K/24pのどちらで出力するか選べるとベストだったんだけどなぁ。

 最後に、本連載の熱心な読者であるS氏から、「今のペースで連載していたら、先に放送が始まっちゃいますよ」とのアドバイスをもらっていたんですが、いざ整理に取りかかってみると、気になることが色々出てきて結局今になってしまいました。なんとか皆さんの参考になれば幸いです。

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