多目的使用できるユニークなスピーカー「アルテコC1」と
130mm口径のウーファーを搭載したブックシェルフ型スピーカー「スペクター2」

 

画像: 多目的使用できるユニークなスピーカー「アルテコC1」と 130mm口径のウーファーを搭載したブックシェルフ型スピーカー「スペクター2」

(写真左)
SPEAKER SYSTEM
DALI SPEKTOR2 
¥42,000(ペア)+税
●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型●使用ユニット:25mmドーム型トゥイーター、130mmコーン型ウーファー●出力音圧レベル:84.5dB/2.83V/m●クロスオーバー周波数:2.6kHz●再生周波数帯域:54Hz〜26kHz●インピーダンス:6Ω●カラリング:ブラックアッシュ、ウォルナット(写真)●寸法/質量:W170×H292×D238mm/4.2kg

(写真右)
SPEAKER SYSTEM
DALI ALTECO C1
¥50,000(ペア)+税
●型式:2ウェイ2スピーカー・密閉型●使用ユニット:21mmドーム型トゥイーター、115mmコーン型ウーファー●出力音圧レベル:83dB/2.83V/m●再生周波数帯域:74Hz~26kHz●インピーダンス:6Ω●カラリング:ホワイト、ブラックアッシュ、ウォルナット(写真)●寸法/質量:W160×H190×D255mm/2.8kg
●問合せ先
デノン・マランツ・D&Mインポートオーディオお客様相談センター ☎︎0570(666)112

繊細さと力強さを両立
素性のよいしっかりとした仕上がりだ

 デンマークのスピーカーメーカー、ダリの普及モデルSPEKTOR(スペクター)シリーズに、新しくSPEKTOR2が加わった。ウーファーのサイズを130㎜としたブックシェルフ型で、より豊かな低音の再生を可能にした。

 ウーファーはパルプ繊維と木繊維を混合したダリ伝統の振動板。低損失サスペンションと専用設計された磁気回路などを採用。トゥイーターは軽量なシルクドームで、手頃な価格とはいえ、同社の最新技術が投入されている。

 そして、天井や壁掛け、ニアフィールド配置、さらにフロントスピーカーの上などに置いて天井の反射を利用してトップスピーカーの音を再現するイネーブルドスピーカーとして、多彩な置き方で使えるマルチパーパススピーカーのALTECO(アルテコ) C1。

 こちらは昨年の発売だが、今回新たにホワイトのカラーバリエーションが加わった。リビングの天井設置や壁掛け用として使いやすい仕上げとなっている。

 ユニットには、パルプ繊維と木繊維を混合したウーファー振動板、シルクドームのトゥイーターを採用しており、ユニット構成的にもSPEKTORシリーズなどとほぼ同様だ。

画像: SPEKTOR2 25mm口径のシルクドームトゥイーターを装備。130mm口径のウーファーユニットはダリ伝統のウッドファイバーコーンを採用している。

SPEKTOR2
25mm口径のシルクドームトゥイーターを装備。130mm口径のウーファーユニットはダリ伝統のウッドファイバーコーンを採用している。

画像: スピーカー接続端子はシングルワイヤリング仕様

スピーカー接続端子はシングルワイヤリング仕様

 まずはSPEKTOR2をステレオ再生で聴いてみた。ネルソンス指揮ボストン交響楽団による『ショスタコーヴィチ:交響曲第4番&11番』(96HKz/24ビット)を聴いたが、見通しのよいステージが展開し、奥行のある音場が再現された。

 低音はやや甘めだが、オーケストラの雄大なスケール感をしっかりと描く。いっぽう、中高域の反応は良好で、テンポのいい演奏になる。広々とした音場に個々の楽器が粒立ちよく定位する気持ちのいい鳴り方だ。

 ヴォーカル曲は『高垣彩陽クラシカルコンサート』から「YouRaise Me Up」(96kHz/24ビット)を聴いた。広いステージの中央にヴォーカルが浮かび上がり、ニュアンス豊かな歌唱を優しい感触で表現した。歌唱力の高さで知られる彼女の声を美しい音でていねいに描いている。穏やかな表現ではあるが、繊細さと力強さが両立したバランスのよい音に仕上がっている。

画像: ALTECO C1 本機は用途に合わせて多彩な使い方が可能。フロントパネルには「UP/DOWN」の切替えスイッチが備わり、設置する場所によって拡散パターンを変更する仕組みだ。「UP」は通常のスピーカーと同様、フロントバッフル面に対して垂直に音を放射する。「DOWN」はフロントバッフル面に対して25度下向きに放射する。天井設置や壁掛け配置では「UP」、壁掛け設置時にリスニングポイントに近い場所に置く場合などには「DOWN」が推奨されている

ALTECO C1
本機は用途に合わせて多彩な使い方が可能。フロントパネルには「UP/DOWN」の切替えスイッチが備わり、設置する場所によって拡散パターンを変更する仕組みだ。「UP」は通常のスピーカーと同様、フロントバッフル面に対して垂直に音を放射する。「DOWN」はフロントバッフル面に対して25度下向きに放射する。天井設置や壁掛け配置では「UP」、壁掛け設置時にリスニングポイントに近い場所に置く場合などには「DOWN」が推奨されている

画像: ALTECO C1は壁掛けスピーカーとしても利用可能。底板部分には壁掛け用のフック(キーホールブラケット)を2個備える

ALTECO C1は壁掛けスピーカーとしても利用可能。底板部分には壁掛け用のフック(キーホールブラケット)を2個備える

画像: スピーカーの接続端子はプッシュ式で、バナナプラグやY字プラグには非対応だ

スピーカーの接続端子はプッシュ式で、バナナプラグやY字プラグには非対応だ

 今度は、ALTECO C1を聴いてみた。まずは、スピーカーを横置きとして通常のスピーカーの距離で聴いてみた。設置位置に合わせての音質調整としては、「UP/DOWN」の切替えがある。「UP」はバッフル面に対して垂直に音が出る特性、「DOWN」は25度下方向に音が出る特性となる。いろいろと試してみたところ、横置きのステレオ再生ではトゥイーターを外側とした置き方、切替えは「DOWN」とした状態が良好だった。

 中央に音が集中しやすい配置で、トゥイーターとウーファーの音のズレも気にならず、定位のよさとしっかりとした音像の存在感のある再生になる。クラシックのオーケストラなどを聴くとスケール感はややコンパクトになるが、低音楽器も含め、各楽器の音は柔らかでニュアンスに富んだ再現だ。

 ヴォーカルは中域の充実した鳴り方で、声の質感や強弱を表情豊かに描いてくれる。特殊な形状のスピーカーだが、音は素性のよいしっかりとした出来だ。

SPEKTOR2とALTECO C1を組み合わせた
自然な包囲感は見事

 続いては、SPEKTOR2をフロントに置き、その上にALTECO C1を置いて天井の反射を利用する配置とした2・0・2構成で聴いてみる。AVセンターはHiVi視聴室常設のデノンAVC-X8500Hを使用した。ALTECO C1の「UP/DOWN」の切替えは「UP」としている。

 まずは、UHDブルーレイ『イノセンス』のDTS:X音声を聴いてみたが、食料品店の場面では蛍光灯のパチパチとしたノイズでしっかりと本来あるべき高さを再現。「DOWN」も試してみたが、天井ではなくスピーカーから音が出る感じになる。「UP」ならば、あたかも天井にスピーカーを配置したような音の出方となり、前方のみのスピーカーながらもかなり豊かなサラウンド空間を感じられた。

 ここで、X8500Hの再生モードをDTS Virtual:Xとすると、後方の音までかなり明瞭に広がる。こうした良好なサラウンド効果は、SPKETOR2とALTECO C1の音色が同傾向で、スピーカー間のつながりがよいことも理由になるだろう。

 音場の広い再現性のため、サラウンドの自然な包囲感も実に見事。両者の組合せはホームシアターユースでも、なかなか魅力的だと感じた。

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