NuPrime「CDP-9」はすべてのデジタル入力をアップサンプリングする
横幅235mmのコンパクトなデザインが特徴的なニュープライム初の本格派CDプレーヤー「CDP-9」。CDドライブとは別に、各入力別にレベル調整が可能なデジタルプリアンプ機能や、PCM 768kHz/32bit、DSD 11.2MHzまでサポートするUSB DAC機能が組み込まれる。さらには高性能オペアンプを奢ったヘッドホンアンプまで装備している。
CDプレーヤーとしては、不要振動、共振を極力抑えながら、製造品質に差があるディスクの読み取りも正確に行なえるようにしている。DSPベースのデコーダーは強力な読み取りエラー訂正機能を備える。さらにデコードシステム全体でマスタークロックの制御を行ない、低ジッター特性にも磨きをかけたという。またCD再生時でも使える最大768kHz/32bitおよびDSD 22.6MHzまでのサンプリングレートコンバーターも搭載済み。しかも設定したサンプリングレートに合わせ込む前段階で、いったんメガヘルツ領域までアップサンプリングさせ、低ジッター化、低歪み化を徹底させるというこだわりようだ。
今回はすでに製品化されているステレオ仕様のパワーアンプ、STA-9を一緒に用意して、ウエストレイクのスピーカーシステム「Lc4.75F」との組合せでそのパフォーマンスを検証した。なお「CDP-9」の電源ケーブルには、サエク製ケーブルを使用している。
フルサイズ幅のシステムを使い慣れたユーザーからすると、このスマートさは少し馴染みにくいかもしれないが、この音を一聴すれば不安はすぐに吹き飛ぶだろう。まずは聴き慣れたCDをオリジナルの周波数(44.1kHz)で再生。中低域を少し盛って、雰囲気良く聴かせるのではなく、フラットに、ワイドレンジを追求した、ハイファイ調の聴かせ方を貫いている。
ジェニファー・ウォーンズの再生は、奥行、高さ方向への空間の拡がりと、ピッチを正確に刻んでいくリズム感の良さが印象的だ。特に響き、余韻など微小信号の描きわけが意欲的で、その場の空気感、気配までも鮮明に描き出す。
そのままアップサンプリングコンバーターで384kHzに設定。すると輪郭のきつさがフッと和らぎ、微小な響きがスピーカーから分離されるのがわかる。歌声は手を伸ばせば触れることができそうなほど生っぽく、ほんのりと温かい。私の感覚からすると、音の実在感はオリジナルのレートのままでの再生が良好。反面、響きの繊細さ、空間に染みこむように拡がるようすなど、384kHz設定のメリットも少なくないように感じた。
最後にオーディオテクニカのATH-A2000Xとの組合せでヘッドホン出力を試してみたが、これが期待していた以上だった。その躍動感といい、粒立ちの良さといい、音そのものに勢いがあり、それでいて粗っぽくならない。CDプレーヤー装備のヘッドホン出力として、このクォリティ感は立派だ。
この製品で聴いた曲
「First We Take Manhattan」
ジェニファー・ウォーンズ
CD アルバム『Famous Blue Raincoat』より
CD Player+D/A Converter
NuPrime
CDP-9
¥240,000
●再生可能ディスク:CD 他●接続端子:アナログ音声出力2系統(RCA、XLR)、デジタル音声入力4系統(同軸、光、AES/EBU、USBタイプB)、デジタル音声出力2系統(同軸、光)、I²Sデジタル出力1系統(HDMI)、ヘッドホン端子1系統(3.5mmステレオミニ)●寸法/質量:W235×H55×D281mm/2.3kg
CDP-9の製品紹介ページ
http://www.nuprime.jp/products/player/cdp-9.html