A4サイズのコンパクトなボディながら、本格的なコンポーネントを展開しているティアック。「NT-505」は、USB DAC機能も備えたネットワークプレーヤーだ。デュアルモノーラル構成を採用し、DAC部には、旭化成エレクトロニクス社の最上位DACチップ「VERITA AK4497」を左右に1基ずつ搭載し、USB DAC時には、最大DSD 22.6MHz、PCM 768kHz/32bitの再生に対応する。

画像: teac.jp
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 さらに、アナログ信号処理部には、電流伝送強化型バッファーアンプの「TEAC-HCLD」回路を4つ使用し、バランス出力時はフルバランス駆動、アンバランス出力時はパラレル駆動で質の高い音楽再生を追求している。

 このほか、ネットワークオーディオ再生機能では、TIDALやQobuzなどの海外のストリーミング・サービスに対応。Roon Ready機能やMQAデコーダーの搭載も後日のアップデートで対応予定。また、Bluetoothによるスマホなどとのワイヤレス接続でも、LDACやaptX HDといった高音質コーデックに対応するなど、充実した機能を持つ。コンパクトなボディに最新の機能性と優れた高音質技術が凝縮されているのだ。

画像: USBタイプB端子を装備し、USB DACとしても利用できる。音声出力は、ヘッドホン端子、XLRバランスとRCAアンバランスを装備しており、プリアンプとしても利用できる。USB DAC利用時には新伝送技術「Bulk Pet」も使える

USBタイプB端子を装備し、USB DACとしても利用できる。音声出力は、ヘッドホン端子、XLRバランスとRCAアンバランスを装備しており、プリアンプとしても利用できる。USB DAC利用時には新伝送技術「Bulk Pet」も使える

画像: NT-505の付属リモコン。入力切替やアップサンプリングの切替などが可能だ

NT-505の付属リモコン。入力切替やアップサンプリングの切替などが可能だ

徹底的に音質を重視するならUSB DAC機能がおすすめ

 試聴では、デノンのプリメインアンプ「PMA-SX」とバランス接続し、スピーカーはB&Wのブックシェルフ型モデル「705 S2」を用いてネットワーク再生から行なった。まずは、テオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナによる『チャイコフスキー:交響曲第6番』(96KHz/24bit)から「第3楽章」を聴いた。低音楽器や大太鼓などの打楽器はずっしりとパワフルで、エネルギーにあふれた鳴り方だ。中高域は弦楽器の音色の艶が華やかで、色彩感豊かな演奏が魅力的に描き出された。力強さと華やかさを持った音は少々ハデな感じもあるが、勢いのある音で躍動感に溢れる。

 ここで、「NT-505」が内蔵するアップコンバート機能などを試してみた。アップコンバートはPCM系の2/4/8倍アップサンプリングとDSD256(11.2MHz)/DSD512(22.6MHz)変換が可能。PCMのアップサンプリングは高次となるほど音のギラつきが収まり、ナチュラルになる傾向だ。DSD変換は音がぐっとなめらかになり、音場の広がりも増す。

 アコースティック楽器の演奏では、高めのアップサンプリングやDSD変換が好ましく感じた。逆にロック系はストレートな再生の方がエネルギー感のある鳴り方で好ましい。また、デジタルフィルターは、PCM系は5種、DSD系は2種から選択が可能。PCM系ではスロー/シャープなどの特性があるが、個人的に好ましかったのは、カチっとした音の質感でギラつきを抑えた「ショート・シャープ」。よりなめらかな音の質感を求めるならば、「ショート・スロー」も良好。

 この状態で、96KHz/24bit/FLACの『機動戦士ガンダムサンダーボルトOST2』を聴いたが、ドラムスの力強い鳴りと、ピアノのアグレッシブな打鍵の勢いがよく出て、テンションの高い演奏が楽しめた。高次のアップサンプリングで音色はナチュラルになるうえ、パワー感は失われず音のキレ味の鋭さもよい。男性的な力強さと熱の入ったグルーヴ感たっぷりの音は、なかなか魅力的。

 ネットワーク再生は、同社製のアプリ「TEAC HR Streamer」を使うのが基本で、ネットワーク設定などもすべてこのアプリで行なえる。本体だけでネットワーク再生ができないのは、慣れていないと戸惑うところもあるが、ストリーミング・サービスなども多彩に扱うとなると、このスタイルが主流になるのは仕方がないところだろう。

 今後、スマホとの連携を押し進めるならば、Android端末と組み合わせ、音声操作で使える「Chromecast built-in」の対応も面白そうだ。次回以降の製品に期待したい。

 最後に、NASとして使っていたフィダータのHFAS1-S10とUSB接続し、USB DACモードも試してみた。『チャイコフスキー:交響曲第6番』を聴いてみると、音の鮮度感が増し、各楽器の音色の質感がより豊かに描き出された。S/Nの向上により音場の深みも増すなど、音質的にも優位であることが確認できた。スマホでさまざまな機能を扱えるのも魅力だが、徹底的に音質を重視した再生を行なうならば、USB DACとしての使用がおすすめだ。

画像: ネットワーク再生やUSBメモリーの再生に使う「TEAC HR Streamer」は無償でダウンロード可能。Android、iOSどちらにも対応している。なお、ネットワーク再生では最大PCM 192MHz/24bit、DSD 5.6MHzまでの対応となっている

ネットワーク再生やUSBメモリーの再生に使う「TEAC HR Streamer」は無償でダウンロード可能。Android、iOSどちらにも対応している。なお、ネットワーク再生では最大PCM 192MHz/24bit、DSD 5.6MHzまでの対応となっている

画像: ヘッドホン端子は3.5mmの4極端子が1系統で、対応ケーブルを用いたグラウンド分離接続に対応する。カラリングはシルバーのほか、ヘアライン仕上げのブラック(写真)もラインナップされる

ヘッドホン端子は3.5mmの4極端子が1系統で、対応ケーブルを用いたグラウンド分離接続に対応する。カラリングはシルバーのほか、ヘアライン仕上げのブラック(写真)もラインナップされる

NETWORK AUDIO PLAYER+USB DAC
TEAC
NT-505
オープン価格(実勢価格16万8千円前後)
●接続端子:アナログ音声出力2系統(RCA、XLR)、デジタル音声入力4系統(同軸、光、USBタイプA、USBタイプB)、LAN 1系統、ヘッドホン端子1系統(3.5mm)他
●対応サンプリング周波数/量子化ビット数:~768kHz/32ビット(PCM)、~22.6MHz/1ビット(DSD)
●寸法/質量:W290×H81.2×D248.7mm/3.9kg

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