コンデンサーによるローカットのみで、ヴィンテージJBL製15インチフルレンジユニットD130とホーントゥイーター075を組み合わせ、現行/ヴィンテージのコンデンサーの種別と銘柄による音の違いを探る。コンデンサー種別の考察と使い方のガイドも盛り込む実践試聴企画だ。

⑥ムンドルフ MCap SUPREME Classic SilverGold.Oil

音色、細部の表現まで非の打ちどころなし。ヴィンテージJBLが現代ハイエンドに変貌

画像: 音色、細部の表現まで非の打ちどころなし。ヴィンテージJBLが現代ハイエンドに変貌

ムンドルフ MCap SUPREME Classic SilverGold.Oil

●静電容量/耐圧:2.2μF/1,000VDC●構造:フィルムコンデンサー●誘電体:メタライズドポリプロピレン(オイル含浸)●問合せ先:ディーフォース☎022(781)5129

杉井 音色から細部の表現まですべてにバランスが良く、非の打ちどころのない完璧な音という印象です。ヴィンテージの真空管アンプではなく、現代の最上のハイエンドオーディオの組合せで聴いているようなイメージが得られました。「ブルーベック」は情報量が多く、あたかも現代の録音のようです。「パガニーニ」もきめこまかい表現まですべて出て、逆に「アーメリング」では、歌い手がものすごく上手いことが分かると同時に、優秀な再生すぎて逆にどこかが物足りなく感じられるくらいです。人によって感じ方は違うと思いますが、コンデンサーひとつで、システム全体がここまで現代的な鳴り方になってしまうというのは不思議です。

 「ブルーベック」では楽器の音がそれぞれの領分できちんと出ています。ただ、いい音なんだけれど、ピアノとドラムスの溶け合いという点では、少し面白みに欠ける感じがしました。「パガニーニ」「アーメリング」でも、そういうところは感じられて、素晴らしい音なんだけれども、独特な鳴り方だなと思われるところがあります。

杉井 何となく、マルチトラックをそれぞれ鮮明に聴くような感じがあるんですよ。好みは分かれるかもしれませんが、現代的な音を求める方にとっては、とても意味のあるコンデンサーでしょうね。

岡田 「ブルーベック」で、周波数レンジのフラット感がすごくあって、まず素晴らしいなと思いました。ただ、確かに、本来こんなにフラットな音だったかな? という感じがしてくる。「パガニーニ」も、オーケストラとヴァイオリンの合奏の感覚が克明でありながら、楽器の音が個々に見えてくるような感じ。「アーメリング」を聴くと、すごくいい声をしているんです。ピアノは実在感があってリアルという形容よりも、レンジ感としてコンデンサーだけの世界とは異なる音という感じになってきます。D130と075というユニットの個性以上に、コンデンサーの個性が強く表れた音かもしれませんね。

杉井 銀素材の主張がある音なのかもしれません。

 そういう感じはあるね。もっと周波数の高いスーパートゥイーター向けなのかもしれないですね。

杉井 これを聴くと、現代のハイエンドオーディオでコンデンサーが音を作る力はかなり大きいのではないかと考えてしまいます。

岡田 全体の音がここまで変わるというのは、やはり驚きです。

⑦アリゾナ・キャパシターズ Type C50313 Green Cactus

サックスに色気があり、バランスも抜群。オイルコンデンサーらしい温かみのある音

画像: サックスに色気があり、バランスも抜群。オイルコンデンサーらしい温かみのある音

アリゾナ・キャパシターズ Type C50313 Green Cactus

●静電容量/耐圧:0.47μF/600VDC●構造:オイルコンデンサー●誘電体:クラフトペーパー+ポリエステル●問合せ先:スペック(株)☎03(3660)0303

──サボテンマークで知られるウェストキャップの生産設備を引き継いだ、米国アリゾナ・キャパシターズ社から復刻されたオイルコンデンサーです。クラフトペーパーとマイラーによる2層構造のブルーカクタスと、そこにペーパーをもう1層追加したグリーンカクタスの2種が販売されています。最初に、0.47μFをチャンネルあたり4個並列に接続して、合成容量1.88μFでお聴きいただきました。

杉井 ヴィンテージ寄りの音かと思っていましたが、意外と現代的な音でした。ですが、ヴィンテージのスピーカーやアンプと組み合わせても、きちんと溶け込みます。特定の楽器が突出するとか、どこかが弱いということがなく、音にしっかりとブレンド感がありました。「ブルーベック」はサックスに独特の色気があって、ここまであまり感じられなかった黒人音楽のようなグルーヴ感がありました。

 「パガニーニ」「アーメリング」は、真空管アンプで聴いているんだなという感覚が得られる音です。アンプの回路にオイルコンを使ってもこういう音になるんですよ。こまかなところも出ていると同時に、中域に温かみのあるエネルギー感が保たれて、しっとり感のある音なんですね。そういう意味では、ちょっとヴィンテージに通じる音なのかなと思いました。

 いい音です。ただ、075から低域が出すぎているかもしれないという感覚が、どの音源でも表れて、3個の並列接続にしたら、とても良いバランスになるような気がしましたね。

岡田 耳に馴染んでいる音で、システム全体の音を決めるときに標準として使えるコンデンサーだなと思えます。今日聴いた中では、総合的にいちばん音のバランスが整っているのではないでしょうか。

──0.47μFを3個並列に接続して、合成容量1.41μFに変えて聴いていただきました。

杉井 先ほどは「ブルーベック」でサックスに少し音の被りのような要素も感じられたんですが、3パラレルで、すっきりしましたね。音が瑞々しくなったような感じもします。

岡田 よりしっくりきますね。やはり良いコンデンサーだと思います。−6dBスロープですから、クロスオーバー周波数が変わっても、全体の聴こえ方はそれほど大きくは変わっていないはずなんですが。

 トゥイーターの低域が空振りするような感じがなくなり聴きやすくなりました。小容量のコンデンサーのパラレル使いで容量を作って音をコントロールできるという、格好の例ですね。

This article is a sponsored article by
''.