④フォステクス CX 2.2
モニタースピーカー的なバランスの良さ。音がタイトになり、エネルギー感が高まる

フォステクス CX2.2
●静電容量/耐圧:2.2μF/500VDC●構造:フィルムコンデンサー●誘電体:メタライズドポリプロピレン●問合せ先:フォステクス カンパニー☎042(545)6111
──フォステクスCXシリーズはスーパートゥイーターとの組合せを前提に開発された同ブランド最新のコンデンサーです。
岡田 形状は扁平型です。一般的な円形に対して、エポキシやポリアミド系の樹脂を含浸して圧力をかけて振動しにくい形に成型した形状ですね。
杉井 音楽的に非常に充実した音がして驚きました。075が受け持つ帯域より下まで出ているように聴こえて、エネルギー感がぐっと強くなりましたね。モニター的な質感でまとまった、高級なオーディオシステムの音です。「ブルーベック」は音楽がよりソリッドに変化しながらもゆったりとしていて、朗々と鳴っていました。「パガニーニ」は、音が凝縮されてタイトな感じになり、中高域でねじり出すように音像がくっきりと出てきます。さらにローエンドが加わればいっそうスケールの大きさにつながると思いますが、これはD130本来の低音の量感の限界がはっきり表れたのかなという感じです。
「アーメリング」は、ヴォーカルの距離がより聴き手に近くなった感じといいますか、唇の動きまでわかるようです。残響感が減って、音がタイトになりましたが、バランスとしてはちょうどいい響き。本来のソースに忠実な音で出ていると感じました。
新 ここまでは別々のユニットが鳴っている感じが残りましたが、2基のユニットの音が見事に融合した鳴り方になりましたね。「ブルーベック」では、シンバルの音が飛び出してピアノと遊離するのではなく、音楽の構成の中で溶け合うところが実に綺麗に出ました。「パガニーニ」も同様で、ヴァイオリンのソロが突出せずにオーケストラが溶け合って、上質なフルレンジスピーカーの鳴り方のようですね。「アーメリング」も、ピアノと声の溶け合いという肝心な部分がきちんと出ていました。完全にモニタースピーカーとして使える鳴り方です。
岡田 「ブルーベック」は、ハイファイ調というか、うまく帯域が広がった感じで、とても好ましいですね。ピアノなど個々の音自身も粒立ちがよく、新さんがおっしゃる通り、フルレンジが鳴っている雰囲気が出ていました。ただ、どうしてもJBLらしい音色からは離れていく部分があるんですね。そこをどう捉えるべきなのかと考えながら聴きました。
「パガニーニ」も、ヴァイオリンの音が良く、オーケストラに力もって落ち着きと重みを感じます。フィルムコンデンサーの耐振性や損失など、仕様の違いが音に影響することを改めて感じました。なかなか良いコンデンサーです。
⑤ソーレン Fast Cap
ヨーロッパ的な響きとエレガンスをまとい、音楽そのものが眼前に現れるかのよう

ソーレン Fast Cap
●静電容量/耐圧:2.2μF/630VDC●構造:フィルムコンデンサー●誘電体:メタライズドポリプロピレン●問合せ先:(株)横浜ベイサイドネット☎025(201)9825
──ソーレンは1982年にカナダで創業した、スピーカーネットワーク用のパーツを主に製造しているメーカーです。最もベーシックな製品である「ファストキャップ」をお聴きいただきました。
杉井 「オーディオ的」ということでいえば、④のフォステクスと似ている部分もあるんですが、明らかに日本製にはない音ですね。「ブルーベック」は一種独特の爽快感というか思い切りの良さがありました。すっきりとした音です。「パガニーニ」で、クラシックはハマるなと思いました。ソリッドな音で音楽に独特の緊張感が出て、そこにヨーロッパ的なエレガントさと香りのある響きが加わることで、ハイファイの極みのようなオーディオ的快感が得られます。D130と075でこういう音が出るということが信じがたく、好みは分かれるかもしれませんが、ソーレンの人気の高さがよく分かります。
「アーメリング」も音楽の表情がものすごく生き生きとして、品位が高い。歌い手の口の動きがはっきりと見えるようでしたし、高級なピアノの響きがしました。高域がどれくらい伸びているかといったことはどうでもよくなる、響きの良さ、音楽の彫りの深さが表れるコンデンサーだと思いました。
新 良いコンデンサーですね。「ブルーベック」のシンバルとピアノの掛け合いは音楽がまさにそこにあるという感じで、音の溶け合いも、ここまでのコンデンサーが少し霞んでしまうくらいです。「パガニーニ」は、ヴァイオリンの音が実に素晴らしいですね。ほとんど生の音がしています。ちょっと聴こえる音の次元が変わってきたように感じました。「アーメリング」のイントロのピアノも、本当に生に近い音です。自分でも使ってみたくなりました。
岡田 「ブルーベック」は冒頭から低域がぐっと伸びたように聴こえて、一聴してこれはいいなと感じました。高域を足して低音の感じが変わるというのは、良い組合せの時に限られます。シンバルも、きちんと金属の重さを感じられる音がしました。「パガニーニ」は楽曲自体が持つクリアーさ、明快なテンポ感がはっきりと出て、オーケストラに厚みがあります。ヴァイオリンも、075はこんな音を出せたのかと驚きました。JBLで聴くクラシックもいいなと思わせますね。「アーメリング」はヴォーカルに実在感があってピアノの響きもすごく上質。ジャズの力、クラシックの柔かさとなど、いずれも良さが出て、完成度が高いコンデンサーではないでしょうか。
杉井 タンノイIII LZなど、ヴィンテージユニットのネットワークの劣化したコンデンサー交換をする場合、経年劣化の心配がないフィルムコンデンサーを使いたくても、大きくてケースに収納出来ないものがほとんどです。ソーレンも大きくて入らないのですが、この音を聴くと、それでも使ってみようという気になります。
