試聴を終えて
出音のエネルギーが異なるユニットに対応。取り組み甲斐のある、可能性に満ちた世界だ
──久しぶりの平面バッフル試聴となりましたが、いかがでしたか。
新 平面バッフルはシーメンス・コアキシャルを試したり個人的にもいろいろ試してきましたが、今日は新しい発想で作られた平面バッフルで、実に心に響く鳴らし方に出会えたと思いました。大きさも極端ではないですし、材料費の点でも試すハードルはそれほど高くないですよね。安価なユニットと組み合わせても効果は得られると思います。
杉井 「平面バッフルと組み合わせる意味がある」と感じられるものと「これなら普通の箱の方がいいかな」というものに私の中で判断が分かれたところもあります。印象が良かったのは、まずアルテック756Bです。これほど朗々と気持ちよく鳴る756Bは初めて聴きました。次にグッドマンAXIOM80。平面バッフルでは難しいユニットだと思っていたら、意外なほどよく鳴ってくれましたね。
新 杉井さんのご意見に賛同します。AXIOM80はとても良かったですね。
杉井 それからJBL D123。これも素晴らしかったですね。平面バッフル向きのユニットだと感じました。アルテック601Aもかなり好印象でしたが、純正の箱に入れて鳴らしたときの印象と比べると、あえて平面バッフルにするほど大きな違いはないかなと個人的には感じました。今日は8機種でしたが、新さんが仰ったように手持ちの安価なユニットなどを取り付けて試すと可能性が広がるのではないかと思います。
土井 一番マッチしたのは、意外にもD123でしたね。これは見事でした。世間的な評判とは全然違う音が聴けました。そしてAXIOM80。これは通常のエンクロージュアで聴いたことのある方は多いと思いますが、今日のような音はなかなか聴けないのではないかと思います。独特な味のユニットではありますが、現行製品のマークオーディオMA200Mもいろいろ試しがいのあるユニットだと思いました。ひとつの箱でいろんなユニットを試してマッチするものとしないものが出てくるように、平面バッフルでも合うものと合わないものがあります。万能というわけにはいきませんから。いずれにしても、とても取り組み甲斐のある世界だと思います。現行品ユニットも十分に楽しめましたし。
木の乾燥具合によっても音は変わる。締め方の調整が手をかける楽しさになる
──今日のチューニングの最大のポイントはバッフルの連結部の締め方の調整でしょうか。
土井 そうですね。今日はD123がとても印象が良かったのですが、しばらく時間が経つと締め付けが緩くなって音の印象も変わってきます。ですから増し締めする必要がある。木の乾燥具合によっても変わりますが、経年変化で悪くはなることはありません。そこは手をかけて楽しめるところだし、ユーザーの腕が問われる面白さもあると思います。今回のメインバッフルに両サイドと上部のウィングを連結する構造は、磁気回路の大きさやフレームの強度など、音のエネルギーが異なる多種のユニットに対応しやすいメリットもあるわけです。アンプとの組合せを考えることと同じように、例えばフレームも薄くて磁気回路も小さいユニットなら、バッフルが響きやすい方がいいですからボルトナットを緩める。逆の場合は板がバタつかないようにしっかりと締める。桟を増やしてもいいわけです。音を聴きながら、そういう加減ができるんです。解説でも書きましたが、低音を下まで伸ばすためにバッフルを床から浮かせない置き方も大事です。連結部に隙間があるのもダメ。その辺りがポイントですね。
──木材選定の注意点はいかがでしょうか。
土井 ラワン合板という選択肢もありますが、最近は価格が高いんですね。今回はより安価な国産カラ松材を選びました。カラ松材は時間が経つほど乾いて締まって、硬くなるんですよ。だから、長く使うほど音も良くなる。その点はかつて多く使われた米松と同じですね。米松はコストメリットで使われたわけですが、結果的に音がよかった。私の経験ではシナ合板は難しいんです。見た目はきれいですが、何となく水っぽくて音がまとまりづらい。箱を作るより安価で手軽に取り組めますから、平面バッフル製作を試す価値は大いにあると思います。
新 今回のセッションも有意義な実践試聴になりました。ありがとうございました。

