ウイング付きの構造で音質チューニングしやすく製作も容易な平面バッフルにアルテック、JBL、ウェスタン・エレクトリック(WE)、グッドマンなどヴィンテージ機に現行機も加えて20~30cm口径フルレンジユニットをマウントして試聴。新忠篤氏、土井雄三氏、杉井真人氏の3氏がフルレンジユニットならではのストレートな音の魅力と音作りのテクニックをリポートする。

 平面バッフルと通常のエンクロージュアの違いはどう考えるべきなんでしょうね。

土井 ローコストで良質なエンクロージュアと同等の音を追求できる意義は大きいですよね。今日のバッフルの板材は18㎜厚の国産のカラ松で、3×6は1枚4950円だったそうです。ラワン合板などに比べると随分安いですね。しかし、フルレンジユニットをただ取り付けて、きちんとフルレンジの音が鳴るわけではありません。調整なしでは、低音/中音/高音がバラバラの音になってしまう。

杉井 天井埋込み型の場合は無限大バッフルといえる状態ですが、平面バッフルはいわば後面開放型のエンクロージュアを開いた状態と考えられますよね。箱の場合もネジの締め方や材質で音が変わるのと同じように、平面バッフルでも板の状態をどうするかで音が変わる。その点は通常のエンクロージュアの延長線上にあるものと考えていいと思います。

 昔の発想だと、板を立てればいいだろうとクォードESLくらいの大きさで始めてしまうわけですが、全然うまくいきません。

土井 平面バッフルはユニットを付けたら終わりと考えがちですが、それからが大変なんですよね。サブバッフルを含めてユニットを取り付けるときのネジやボルトの締め方で音が変わります。そして、桟はただの骨組みではなく、音響棒なんです。単に補強のための役割だと、取り付けも連結もキツく締めればいいということになってしまいますが、強く締めすぎるとタイトで伸びのない音になるし、ある程度緩めることでウィング全体が鳴っている感じになってくる。その調整の見極めが肝心なんですよ。

 試しに音を出してみると、ひじょうに感度が高い感じで鳴っていますね。これなら45/2A3シングルアンプくらいでもうまくいきそうです。
杉井 箱の場合はエネルギーを外に放出する力が必要ですが、平面バッフルはそれほどアンプにも力を求めないよさもありますよね。後はユニットごとに調整していけば、音のバランスが取れそうです。

土井 木と木のせめぎ合いというか、接合部がうまく馴染んでくるのにも時間がかかるんです。まずは、20分くらい鳴らしてみましたが、これでユニットを交換してもうまく鳴ってくれるでしょう。

 早速、試聴を始めましょう。

試聴した平面バッフル

画像: 写真は25cm口径のグッドマンAXIOM80を取り付けた状態。メインバッフルのユニット取付穴は30cm口径用で、20cm〜25cmユニットはメインバッフルと同じ板材のサブバッフルを使って取り付けている。サブバッフルはボルトナットでメインバッフルに固定。右下の写真が裏面。各バッフルの四辺に桟を固定し、左右のウィングには補強の桟も追加した。桟はバッフル表面から木ネジで留めている。脚部は桟と同じ垂木材を使い、ボルトと木ネジでバッフル面に固定した。

写真は25cm口径のグッドマンAXIOM80を取り付けた状態。メインバッフルのユニット取付穴は30cm口径用で、20cm〜25cmユニットはメインバッフルと同じ板材のサブバッフルを使って取り付けている。サブバッフルはボルトナットでメインバッフルに固定。右下の写真が裏面。各バッフルの四辺に桟を固定し、左右のウィングには補強の桟も追加した。桟はバッフル表面から木ネジで留めている。脚部は桟と同じ垂木材を使い、ボルトと木ネジでバッフル面に固定した。

接着剤は使わず、垂木の桟は音響棒と捉える──土井雄三
 平面バッフルというと多くの方はプレーンタイプの板に取り付けるユニット径の穴を開ければOK、そして板の厚みは厚ければよいと思っている。私も40年ほど前にはそう思って平面バッフルを作った経験がある。また、板の素材は銘木の単板が良いとか、合板ならシナ合板が良いといわれた覚えがある。しかしそれらではうまくいかなかった。それではどのような方法がよいのか。今回はWEのシアターシステムのバッフルからヒントを得て平面バッフルの図面を引いてみた。
 板の厚みは18mm、素材は国産松を使用。ユニットを取り付ける中央板のサイズは幅450×高さ900mm、両サイドのウィングは幅300×高さ900mmを2枚、上部ウィングは300×300mmを2枚と幅450×高さ300mmが1枚の合計6枚とした。板の連結は、36×36mmの垂木をそれぞれの板の四隅に取り付け、垂木同士をボルトナットで固定する方法を採用した。それらのボルトの締め加減で低域を含めた音質コントロールを図ることができるのだが、決してきつく締めてはならない。さらに、垂木をバッフルに固定する方法は木ネジ留めとし、接着剤は使用しない。そして、垂木は補強材ではなく音響棒と考えてほしい。
 いったんユニットとバッフルのバランスが取れたとしても木が乾燥してくるとボルトが緩くなってくるので、そのときに増し締めの必要が出てくるであろう。最後に、バッフルは決して床から浮かせてはならない。以上を守っていただければ良い結果が得られるであろう。

平面バッフルの寸法図[桟を取り付けた背面部] 単位:mm

製作費[バッフルのみ]

試聴の方法
 現行/ヴィンテージを交えて20cm〜30cm口径フルレンジ7機種と同軸2ウェイユニット1機種を試聴した。リファレンス・システムと試聴ディスクは別掲の通りで、プリ/パワーアンプはアルテック1567A/1520Tを使った。1520Tは6L6(350B)プッシュプル・モノーラルパワーアンプで出力35W。平面バッフル連結ボルトナットの締め方による音質調整に加えて、アルテック1567Aのトーンコントロールも活用し、各ユニットのベストサウンドを追求している。(編集部)

画像: 左から新忠篤氏、土井雄三氏、杉井真人氏

左から新忠篤氏、土井雄三氏、杉井真人氏

画像: 製作費[バッフルのみ]

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