11│ COLOMOR 5U4G
5931に通じる高域の伸びやかさ。音の勢いが増し、芯のある中域が特徴的
COLOMOR 5U4G
●TV7試験値 58/60 ●B電圧(実測値) 290V
旧ソ連時代の軍用整流管5Ц3Сを、英国の商社Colomorブランドで5U4Gとして販売したもの。電気特性はほぼ5U4Gだが、電極構造は全く異なる。酸化物を厚めに塗布した細い丸線をコイルばねで吊った独特な構造で、片側に逆V型4組の計8本を直列にしたものを、並列にしている。灰色のアルミクラッド鉄製リブ付きプレートは、5U4Gと比較して短いが幅は広く、フィラメントとの間隔はやや大きい。上部マイカは透明な変形丸形で2つの金属板を介してバルブに固定されている。下部マイカは四角で、5本の並列用フィラメント固定金具に付けられている。バルブはソ連軍用球型で下部絞りが大きく、ベースはやや短い。(岡田)
岡田 COLOMORはイギリスの商社で、中身は旧ソ連製の軍用の球だと思われます。早々に製造を止めてしまいましたので、今は作られていません。
新 オリジンが同じ国だからかな、どことなくエレクトロ・ハーモニックスの5U4GBに似ていると思います。最上の音を聴いた後だと、どことなく粗さが目立って聴こえました。悪くはないんですが、「ブレイキー」などは熱気が薄れて、冷静に演奏している感じに聴こえてしまいます。生産国の特徴が出ている球だと思いました。
岡田 5U4Gといえばこの球ばかり売られていた時期もあって、その頃はソ連からZAERIXやCOLOMORといった英国の商社を経由して日本に入ってきたんですよね。ドイツのULTRONなどもメーカー名が変わっているだけで、中身は同じです。音の印象としてはかなり現行管に近いのですが、「ペギー・リー」は声の伸びが足りず、やや窮屈に感じられる部分がありました。ところが「展覧会の絵」になると意外によいのかもしれないと思いました。さきほどの新さんの印象にも通じるんですが、落ち着いた表現が、クラシックを中心に聴かれる方なら好まれるかもしれません。
杉井 私も最初に聴いた現行管の印象が蘇ってきたといいますか、今日はアメリカ製のスピーカーとアンプを使っているのに、その色はほとんどなくなる感じがしました。バランスも優れているし、オーディオ的には優秀なんですが、何か違うんですね。「ペギー・リー」はせっかく“サニー・サイド”になったと思ったら、また日陰に入ってしまったような歌声に聴こえて(笑)。「ブレイキー」もマッシブなのに熱気が足りない。音だけ聴くとよいんですが、音楽として聴くと違和感を覚えます。決して古い音ではなく、かといって最新の音でもない。悪い球ではないんですが、よくできた80年代のオーディオに通じるような音ですね。
12│ シルバニア JAN-CHS-5U4G
エミッションが減った5U4Gを聴く。試験値との相関は弱く、上質な音を奏でる
シルバニア 5931
●TV7試験値 62/60 ●B電圧(実測値) 296V
米国シルバニア製の堅牢構造の長寿命高信頼管。電気特性は5U4GBとほぼ同等で、電極構造はシルバニア 5U4GBに非常に近い。カシメ止めされた角型リブなしの黒化ニッケルプレート、フィラメントは平面リボンで上部テンション機構はなく自立式。マイカはしっかりと白くアルミナ処理され、打ち抜き穴とプレート固定法はRCA系と異なる。専用のボタンステムに加え、ステムリードを長めにしてあり、独特な長い袴の黄色いマイカノールベースのため、シルバニア5U4GBよりさらに背が高くなっている。(岡田)
──最後に、通常使用の中でエミッションが落ちてきた球を試聴していただきたいと思います。TV7の試験値が54/56、B電圧は281Vです。
新 これは特に弱っている感じはありませんね。先程のNECやGEに通じる音です。最上ではなくとも、これは5U4Gの音で、十分満足できるレベルだと思います。
岡田 試験値としては落ちているなということになりますし、出力電圧も下がっています、ただ、TV7の棄却値に照らせば、まだ使える範囲に収まっている球です。他のヴィンテージ管と比べても遜色はありませんが、ごくわずかに高域の表現が粗くなりますね。エミッションが落ちてくると、いきなり全体の印象が変わるのではなく、細かい部分から音に変化が生じてくるんですね。この辺りまでは十分使える球で、それが確認できたこともよかったです。
杉井 B電圧も下がっていて、普通に考えれば音に元気がなくなるはずですが、そういう感じはないですね。全体的な印象としてはRCAの5U4GBに近く、「ペギー・リー」のクラリネットの音が本当に生き生きと鳴って、音楽自体をどんどん聴いていきたくなるような音色ですし、「ブレイキー」も、スネアのリムショットに強弱を付けて演奏しているのが、今日初めて聴こえました。「展覧会の絵」は左右でストリングスと管楽器が呼応している演奏しているのが克明に聴き取れて、ステレオで聴く意味を強く感じられました。音楽が呼吸をしている様が出ていたと思います。
岡田 ゲッターは透けて見えるくらい減っていて、試験値は妥当だなという状態です。ただ、聴いてみるとまだまだ使えることが分かりますね。ヴィンテージ管は結構しぶといので、しっかり使ってあげるといいんじゃないかと思います。


