テアトル新宿のodessa導入の際の内覧会で、『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』を上映していただきました。今までヒューマントラストシネマ渋谷のodessa上映にはお伺いしたことがなく、監督としてもこの日が初めてのodessa体験でした。
制作過程の中で、ダビングステージ、0号・初号試写、そして劇場と、さまざまな環境でこの映画の音響を確認してきましたが、odessaの音響は限りなくマスターに近い、僕らが制作時に聞いていた、ダビングステージや試写の環境に近しいものだと感じました。劇場の音響がオリジナルではない、とは言いませんが、シネコンなどの併設されたスクリーン間での音量の共存や、劇場の形状とスピーカーシステムの配置などによって、どうしても個体差が各劇場によって生まれ、ダビングステージで聞いていた印象とは離れてしまうのが実際のところです。
その点odessaでは、まず音の分離が良く、低音と高音両方が仔細に聞き取れる印象で、特に本作品はLIVEシーンが多く低音の「圧」に気を配った音響になっているので、そこが再現されているのが本当に嬉しかったです。
内覧会だったので上映中に席を移動して、各座席の音場も確かめてみたのですが、必ずしもセンターに居なくても5.1chのバランスがキープして聞こえるのが新鮮でした。前列で見た時も、低音の圧がありながらも、分離が良いのでストレスを感じることなく迫力を感じることができました。この映画のみならず、多くの映画にとって理想的な音響システムだと思います。
余談ですが、本作品のBlu-ray・DVDパッケージの本篇には、通常の5.1ch音響とは別に、バイノーラル録音された音響も収録されています。これは前述のダビング時のマスターに近い音響をご自宅でも体感していただこうと、完成した映画をダビングステージで上映し、バイノーラルヘッドのマイクを主にミキサー卓の前(映画音響を聞く場所としては最上の場所)でホール録音したものです。マスターを再現したいという思いとしてはodessaに通じるものがあると思います。
『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』監督:高橋栄樹
『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』
配給:東宝映像事業部
企画:秋元康 監督:高橋栄樹 出演:欅坂46
2020年10月、5年間に及ぶ歴史に幕を閉じたアイドルグループ・欅坂46の軌跡を捉えた初のドキュメンタリー映画。2016年にデビュー後、独創性と圧倒的なライブパフォーマンスで多くの人を魅了してきた彼女たちを「DOCUMENTARY of AKB48」シリーズでも知られる高橋栄樹が描く。2020年1月に絶対的センターの平手友梨奈が脱退を発表し、その後の動向に注目が集まる中、7月に開催された無観客ライブにて、メンバーたちはある“ひとつの決断”を下した…。