世界中の商業施設で、圧倒的な導入実績を誇る「Bose」のスピーカー。日本でもショッピング・モールやアミューズメント・パーク、レストラン/カフェに入れば、すぐに「Bose」のロゴが入ったスピーカーが目に入る。そのサウンドと意匠は、多くの国々でスタンダードの地位を確立していると言っていいだろう。そんな「Bose」から、商業空間向けスピーカーの新製品が2つデビューをはたした。1つは昨年来大きな注目を集めている「DesignMax」シリーズ、もう1つは「FreeSpace DS」の後継となる「FreeSpace FS」シリーズである。ここでは両シリーズの特徴について、詳報することにしよう。

次世代の商業空間向けスピーカー「DesignMax」

“プレミアム・サウンド”を実現

 昨年2月の『ISE 2019』で発表され、大きな注目を集めた「DesignMax」シリーズは、商業空間向けのプレミアムラインとして開発された新しいスピーカーだ。「Bose」の商業空間向けスピーカーとしては「DS」シリーズ以来、実に12年ぶりとなる新シリーズであり、インスタレーション市場における同社の新しい主力製品と言っていいだろう。2インチのフルレンジ・ドライバーを搭載したロー・プロファイル・モデルから、8インチ・ウーファーを搭載したモデル、さらには屋外仕様のモデルに至るまで、発売時点で12種類の製品がラインナップされており、あらゆる商業空間に対応する。

 多くの特徴を有する「DesignMax」シリーズだが、「Bose」が一番のフィーチャーとして打ち出しているのが音質だ。すべてのモデルでオリジナル設計のドライバーが使われており、さらに一部のモデルでは「Bose」独自の『Dispersion Alignment System』を採用。『Dispersion Alignment System』は、ツイーターの広い放射パターンに合致するようにウーファーの放射パターンを調整する技術で、これによってカバー・エリア全体にわたって均一のリスニング・レベル/周波数レスポンスを実現する。一般的なドーム型のツイーターとウーファーを単純に組み合わせた場合、ウーファーユニットが再生する1kHzより上の帯域のカバー・エリアが狭まってしまうが、『Dispersion Alignment System』ではそのような音響的なクセが発生しない。空間のどの場所で聴いても、均一なサウンドを提供する革新的な技術、それが『Dispersion Alignment System』なのだ。

 オリジナル設計のドライバーや『Dispersion Alignment System』といった優れた設計により、DSPやEQによる補正無しで高品位なサウンドをもたらす「DesignMax」シリーズだが、もちろん必要に応じて『SmartBass』プロセッシングやスピーカーEQを利用することもできる。その場合は、さらに上質なサウンドを得ることが可能だ。

画像: 「DesignMax」シリーズの「DM8C」。8インチのユニットとコンプレッション・ドライバーを搭載した天井取り付け型スピーカー(屋内専用)

「DesignMax」シリーズの「DM8C」。8インチのユニットとコンプレッション・ドライバーを搭載した天井取り付け型スピーカー(屋内専用)

画像: 「DesignMax」シリーズの「DM8S」。8インチのユニットとコンプレッション・ドライバーを搭載した露出型スピーカー(屋内専用)

「DesignMax」シリーズの「DM8S」。8インチのユニットとコンプレッション・ドライバーを搭載した露出型スピーカー(屋内専用)

 

容易に設置できる優れた施工性能

 そして「DesignMax」シリーズのもう一つの大きな特徴と言えるのが、これまでになく高い施工性能を実現している点だ。例えば天井に埋め込み型で設置する場合も、「Bose」独自の『クイックホールド取り付け機構』によって、短時間で簡単に取り付けることができる(写真①)。天井にスピーカーを取り付ける場合、片手で重量のあるユニットを支えて、もう一方の手でネジを締めるというのが普通のやり方だが、設置位置が高かったりすると、思うようにネジが締まらなかったりして意外と辛いもの。その点、『クイックホールド取り付け機構』ならば、スピーカーを天井の開口部に押し込めば仮ホールドされるので、あとは取り付けアームを回し締めてしっかり固定するだけ。片手にスピーカー、もう一方の手にドライバーを持つ必要がなく、両手で素早く確実にスピーカーを設置することができるのだ。なお、2インチのフルレンジ・ドライバーを搭載した小型の「DM2C-LP」というモデルは、高さわずか10cmの“ロー・プロファイル・バックカン”が採用されており、天井裏が狭い空間でも設置することが可能になっている。
 

画像: 写真①:「Bose」独自の『クイックホールド取り付け機構』。スピーカーを天井の開口部に押し込めば仮ホールドされるので、あとは取り付けアームで回し締めて固定するだけ。片手にスピーカー、もう一方の手にドライバーを持つ必要がなく、両手で素早く確実にスピーカーを設置することができる

写真①:「Bose」独自の『クイックホールド取り付け機構』。スピーカーを天井の開口部に押し込めば仮ホールドされるので、あとは取り付けアームで回し締めて固定するだけ。片手にスピーカー、もう一方の手にドライバーを持つ必要がなく、両手で素早く確実にスピーカーを設置することができる

 

 スピーカーを露出型で設置する場合も同様で、専用の『クイックホールドUブラケット』と呼ばれるアタッチメントを壁に取り付け、その上にスピーカー本体を差し込む(写真②)。あとは必要に応じて垂直方向の角度を調整し、“QuickHold”レバーをロックすれば、スピーカーはしっかり固定されて設置は完了だ。

 

画像: 写真②:露出型を設置する場合は、専用の『クイックホールドUブラケット』と呼ばれるアタッチメントを壁に取り付け、その上にスピーカー本体を差し込む。あとは必要に応じて垂直方向の角度を調整し、“QuickHold”レバーをロックすれば、スピーカーはしっかり固定されて設置は完了

写真②:露出型を設置する場合は、専用の『クイックホールドUブラケット』と呼ばれるアタッチメントを壁に取り付け、その上にスピーカー本体を差し込む。あとは必要に応じて垂直方向の角度を調整し、“QuickHold”レバーをロックすれば、スピーカーはしっかり固定されて設置は完了

 

 このように優れた機構が採用されている「DesignMax」シリーズだが、設置に必要なパーツが同梱されているというのもポイントだろう。天井に埋め込む際に使用する『タイルブリッジ金具』や、露出型で設置する際に使用する『クイックホールドUブラケット』といったアタッチメントはすべて製品に同梱される。ユーロブロック型のコネクターも付属しているので、取り付け段になって“パーツが無いので設置できない”ということが起こらない。なお、天井埋め込み型のタイプは、入力端子にはグリルを外せばアクセスできるので、設置後のメンテナンス性も抜群だ。

 設置に必要なパーツが付属する「DesignMax」シリーズだが、専用アクセサリーも豊富に用意されている。具体的には、天井埋め込み型モデルを建物新造時に使用する『ラフインパン』、露出型モデルをパン/チルト可能な状態で壁に取り付けることができる『壁付け金具』、同じく露出型モデルをパン/チルト可能な状態で天井に取り付けることができる『天吊り金具』といったアクセサリーがラインナップ。これらを上手く活用することで、イメージどおりにスピーカーを設置することができるだろう。

シンプルで空間に溶け込むデザイン

 いかにも「Bose」製らしい、シンプルで飽きのこないデザインも「DesignMax」シリーズの大きな特徴だ。スタイリッシュでコンパクトなベゼル・グリルが採用され、正面のロゴは取り外すことも可能。全モデルでブラック/ホワイトのグリルを選択することができ、グリルの塗装も可能とのこと。商業空間向けスピーカーでは重要なファクターとなる外観だが、「DesignMax」シリーズならばきっとどんな内装の空間にもマッチすることだろう。なお、露出型で設置する際に使う『クイックホールドUブラケット』は本体と同じ色のものが付属し、別売アクセサリーの『壁付け金具』や『天吊り金具』は、ブラックとホワイトを選択できるようになっている。

12モデルがラインナップ

 現在、12モデルがラインナップされている「DesignMax」シリーズ。その内訳は表①のとおりで、『EXTRA SMALL』(超小型)、『SMALL』(小型)、『MEDIUM』(中型)、『LARGE』(大型)、『EXTRA LARGE』(特大型)、『SUBWOOFER』(サブ)という6種類があり、それぞれに天井埋め込み型と露出型が用意されている。型番の数字は、ユニットのおおよそのサイズ(単位はインチ)を表し、数字の後に“C”が付く製品は天井埋め込み型、“S”が付く製品は露出型のモデルだ。また、露出型の3製品(SMALL/MEDIUM/LARGE)は屋外対応の全天候型(iP55準拠)で、その製品には数字の後に“SE”が付く。先述の放射パターンを調整する技術、『Dispersion Alignment System』が採用されているのも、型番に“SE”が付いた全天候型の製品だ。これだけのモデルが揃っていれば、ほとんどの商業空間に対応できると言っていいだろう。

 

画像: 表①:「DesignMax」シリーズの仕様一覧。発売時点で12モデルがラインナップされている

表①:「DesignMax」シリーズの仕様一覧。発売時点で12モデルがラインナップされている

 

さまざまな商業空間に対応

 「DesignMax」シリーズの実例を2つ紹介しておこう。図①は、テラス席のあるオープン・カフェの取り付け例で、店内には天井埋め込み型の「DM2C-LP」を3ペア(6台)設置。「DM2C-LP」は、2.25インチのフルレンジ・ユニットを1基搭載した最も小型のスピーカーで、許容入力は16W、最大音圧レベルは96dBだ。一方、テラス席には、露出型/屋外対応の「DM3SE」を1ペア(2台)外に向けて設置。「DM3SE」は、3.25インチのフルレンジ・ユニットを1基搭載した小型のスピーカーで、許容入力は25W、最大音圧レベルは97dB。この計8台のスピーカーを、1台のパワー・アンプ(IZA2120-HZ)で駆動することで、シンプルで省スペースのサウンド・システムを実現している(図②)。コントローラーのCC-2を壁面に取り付ければ、アンプから離れた場所からでも音量調整ができ、店内とテラス席で個別に音量を調整することも可能だ。

画像: 図①テラス席のあるオープン・カフェの設置例。店内に「DM2C-LP」を3ペア、屋外に「DM3SE」を1ペア設置

図①テラス席のあるオープン・カフェの設置例。店内に「DM2C-LP」を3ペア、屋外に「DM3SE」を1ペア設置

画像: 図②システム系統図。合計8台のスピーカーは1台のパワー・アンプ(IZA2120-HZ)で駆動。シンプルで省スペースにシステムを構築できる

図②システム系統図。合計8台のスピーカーは1台のパワー・アンプ(IZA2120-HZ)で駆動。シンプルで省スペースにシステムを構築できる

 

 もう1つの実例が図③で、こちらは客席20席程度のスポーツ・バーのシステム。「DesignMax」シリーズでは最も大型の露出型モデル「DM8S」を4台、店内四隅に設置し、さらにサブ・ウーファーの「DM10S-SUB」も店内中央奥に設置。「DM8S」は、8インチのユニットとコンプレッション・ドライバーを搭載したモデルで、「DM10S-SUB」も10インチのユニットを搭載したサブ・ウーファーだ。これらを1台のパワー・アンプ(P4300+)で駆動し、シンプルながら混雑時やパーティーなどにも対応できる余裕のあるシステムを構築している(図④)。

画像: 図③客席20席程度のスポーツ・バーの設置例。最も大型の露出型モデル「DM8S」を4台、店内四隅に設置し、さらにサブ・ウーファーの「DM10S-SUB」も店内中央奥に設置

図③客席20席程度のスポーツ・バーの設置例。最も大型の露出型モデル「DM8S」を4台、店内四隅に設置し、さらにサブ・ウーファーの「DM10S-SUB」も店内中央奥に設置

画像: 図④システム系統図。すべてのスピーカーは1台のパワー・アンプ(P4300+)で駆動、混雑時やパーティーなどにも対応できる余裕のあるシステム構成だ

図④システム系統図。すべてのスピーカーは1台のパワー・アンプ(P4300+)で駆動、混雑時やパーティーなどにも対応できる余裕のあるシステム構成だ

~~~

 以上、「DesignMax」シリーズの特徴を紹介してきたが、いかがだっただろうか。「Bose」自ら“プレミアム・サウンド”と謳う優れた音質、これまでになく容易に設置できる高い施工性能、シンプルで空間に溶け込むデザイン、あらゆるアプリケーションに対応する豊富な製品ラインナップなど、多くの特徴を有する「DesignMax」シリーズ。まさしくエンド・ユーザー、システム設計者、施工業者、すべての人の欲求を満たす商業空間向けスピーカーと言っていいだろう。

 

FreeSpace DSの後継スピーカー「FreeSpace FS」

 「DesignMax」シリーズに続いて「Bose」が発表したもう1つの製品ラインが、「FreeSpace FS」シリーズだ。「FreeSpace FS」シリーズは、商業空間向けスピーカーの定番「FreeSpace DS」シリーズの後継モデルで、定評あるサウンドはそのままに、耐久性、デザイン、設置の簡易性を大幅にアップグレードした製品。ユーザーから要望が多数寄せられていたという全天候型の天井埋め込み型が新たにラインナップされたのも大きなポイントだ。

 「FreeSpace FS」シリーズは、天井埋め込み型(シーリング)、露出型(サーフェース)、そしてペンダント型が用意され、天井埋め込み型と露出型はそれぞれ2種類のサイズが選択できるので、発売時点で5製品がラインナップされる。いずれも70V/100Vおよびローインピーダンス出力対応だ。天井埋め込み型は、「FreeSpace DS」シリーズを踏襲したデザインが採用されているが、周囲のベゼルはより薄くなっているのがポイント。最小モデルの「FS2」は、これまでよりもさらにコンパクトになっている。一方、露出型のエンクロジャーは新しいデザインが採用されており、新たにペンダント型が用意されているのも「FreeSpace FS」シリーズの大きな特徴だろう。

 導入コストを最小限に抑えながら、内装重視の屋外テラスや湿気のある環境にハイ・クオリティーなサウンドを導入できる新しい商業空間向けスピーカー、「FreeSpace FS」シリーズ。国内では今号が刊行されるくらいのタイミング(7月中旬)に出荷が開始されるとのことなので、「DesignMax」シリーズとともに、ぜひチェックしていただきたい新製品だ。

取材協力:ボーズ合同会社

 

画像: 商業空間向けスピーカーの定番「FreeSpace DS」シリーズの後継モデル、「FreeSpace FS」シリーズ

商業空間向けスピーカーの定番「FreeSpace DS」シリーズの後継モデル、「FreeSpace FS」シリーズ

 

Bose製品に関する問い合わせ:
ボーズ合同会社 https://pro.bose.com/ja_jp/index.html Tel:03-5114-2750

This article is a sponsored article by
''.