画像: Auto Sound Web Grand Prix 2021:ダイヤトーンDS-G400スピーカーがBronze Awardを獲得した理由
画像: Photo:Akio Shimazu

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素直な音色の真水のような音
レスポンス、解像度ともに高くレコーディング現場の雰囲気まで描き出す

文=石田 功

 今だから言うが、正直なところ今回のDS-G400の音にはあまり期待していなかった。というのもダイヤトーン・スピーカーはSA1000を始めG500、G300、G50と奇数始まりの製品が定番。偶数始まりのG20は音は良いけど低音が物足りないなど、やや中途半端な部分があったからだ。もちろんSW-G50を加えて低音をプラスすれば問題ないのだが、単体でダイヤトーンっぽさを演出する存在感がやや希薄だったからだ。

 だからG400という型番を聞いて「500と300の間か〜、ふーん」と思った程度。コロナ禍で試聴する機会も逃していたが、とくに「どうしても聴きたい」とは思わなかったのも事実である。

 というわけで今回、初試聴となったわけだが「なんでこのスピーカーを今まで試聴していなかったんだろう」と後悔してしまった。とにかく音が素直。これはウーファーとトゥイーターに同じ振動板を使用しているおかげだろうが、高域から低域まで音色が一体化している。そしてダイヤトーン・スピーカー共通の持ち味である音のレスポンスも抜群。そのおかげで、音像がビシッと正確に現れるし解像度が高いものだから各楽器がはっきりと分かれて聴こえる。その分離の良さというか、音のほぐれ具合が素晴らしく、レコーディング現場の雰囲気を描き出してくれる。

 音色が素直だから、どんなジャンルの曲を聴いても正確に再生するあたりは、まさにダイヤトーンが信条とする真水のような音。何も足さない、何も引かない音がそこにはある。ウーファー&トゥイーターの振動板に、最上級モデルのDS-SA1000にしか使われていないNCV-Rを採用したあたりにも、良い音を追求する姿勢が見える。何しろ、この振動板は6,300m/sという高次元の伝搬速度を実現。2,000m/s程度の紙は言うに及ばず、5,000m/s以下のマグネシウムやアルミニウムを凌駕している上に固有音の影響もないのだから、現時点では最強かもしれない。そんな音が音楽を聴いてもはっきりと聴き取れる。

鮮度高く、瑞々しい音で、聴きだして数秒で虜になる
自分の耳の感度が良くなったかのような感覚もある

文=鈴木 裕

 DS-G400の振動板にはフラッグシップモデルであるDS-SA1000でしか採用されて来なかった素材、NCV-Rが使われている。しかもウーファーだけでなくトゥイーターにも導入して素材を揃えたのがミソかもしれない。物性として一般的な金属よりも伝播スピードが速く、秒速で6,300m(実測)という俊敏さを持ちつつ、パルプ系の素材並に内部損失性が高いのだ。他にもウーファーのエッジには高性能のウレタンを使っていたり、トゥイーターのダイアフラムの断面、エッジのところがY断面になっていたり。そうした仕様を詳しく紹介したい気もするのだが、その最大の魅力はやはり聴かさせてくれる音自体にある。

 きわめて鮮度感が高く、瑞々しい音色感で、聴きだして数秒で虜になる。この録音の声ってこんなだったかとか、ベースの音色ってこんなに深みがあるんだといった発見が続いていく。初めて聴くような音なのに、たしかにこの音楽ってこういう音で録音されていたはずという気になってくる。説得力が異例に高い。

 この初めて聴くような音”の感覚をよくよく反芻してみるとこんな感じだ。音の実体感とか、あるいは感触が硬いとか柔らかいといったパラメーターのひとつに”音の剛性感”という言い方があるがこれがかなり高い。しかも高いというだけでは言い足りない別の感覚もある。たとえて言えば、音像の中に重りを詰めたり、鉄骨でフレームを入れたようなニュアンスではなく、音像自体が軽合金の硬いシェル構造を成しているような剛性感。このおかげで、俊敏で、克明で、鮮やか、自由自在に振る舞える音が立ち上がってくる。自分の耳の感度が良くなったかのような感覚もあるし、なにしろ目からも耳からもウロコが落ちて気持ちいい。時間軸方向の分解能が相当に高いので、演奏のタイム感が見事に再現されてくるのもストロングポイント。かくして快感というような言葉を使いたくなるリスニング体験をもたらしてくれる。

画像: 鮮度高く、瑞々しい音で、聴きだして数秒で虜になる 自分の耳の感度が良くなったかのような感覚もある

ダイヤトーン DIATONE
Speaker
DS-G400
¥110,000(セット/税込)

SPECIFICATION
●型式:セパレート型2ウェイスピーカー
●使用ユニット:ウーファー・170mmコーン型、トゥイーター・30mmドーム&コーン型
●定格入力:ウーファー・45W、トゥイーター・40W
●最大入力:ウーファー・120W、トゥイーター・100W
●出力音圧レベル:86dB/W/m
●インピーダンス:4Ω
●再生周波数帯域:50Hz〜55kHz
●クロスオーバー周波数:2.7kHz
●フィルタースロープ:ウーファーLPF・-12dB/oct.、トゥイーターHPF・-12dB/oct.

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