画像1: Auto Sound Web Grand Prix 2020:アールエスオーディオRS Master 3 MKIIスピーカーがグランプリを獲得した理由
画像2: Auto Sound Web Grand Prix 2020:アールエスオーディオRS Master 3 MKIIスピーカーがグランプリを獲得した理由

それぞれの楽器の質感を見事に再現する能力がべらぼうに高い
官能的に音楽を表現してしまうのにも驚かされる

文=鈴木 裕

 スピーカーは最終的にまやかしである。ブラス(黄銅)が振動していないのにシンバルの音に聴かせ、ベテランのヴォーカリストがそこで歌っているかのように感じさせてしまうイリュージョン。夢のような時間をもたらしてくれるのが水準を突き抜けたドライバーユニットの錬金術だ。

 パッシブネットワークもエンクロージュアもないのに128万円(税別)という希望小売り価格はかなり高額にも感じるが、じゃあこの値段で売れるものを開発せよというミッションを受けて、世界中のどれくらいのメーカーがRS Master 3 MKIIの聴かせてくれる音の魅力に到達できるのか。基本的に、金属、木、粘膜、皮といったそれぞれの楽器の質感を見事に再現する能力がべらぼうに高い。そしてドイツのメーカーがこんなにも官能的に音楽を表現してしまうのにも驚かされる。快楽、という言葉が浮かんで来た。是非、おいしい音のアンプと組み合わせてほしい。

音楽の情感が切々と伝わってくる名機は希だ
本機はまさに名機たる資格を備えている

文=黛 健司

 アルミ無垢材を切削加工したフレームをもつ大口径ユニットの存在感は圧倒的。しかし音を聴くまでは、はたしてこの価格を正当化するクォリティを有するのかの疑念もあった。しかるに、最初の音が鳴り出した瞬間、疑いは吹き飛び賞賛の気持ちが湧き上がった。このスピーカーを開発したのは、練達の技術者に違いない。

 RSオーディオ社の製品開発は、製品ごとにエンジニアリングチームが結成され、外部からの協力を仰ぐこともあるようで、技術者名は公表されていないが、この製品に関しては、創業者でありCEOのロベルト・スカラブリーノ氏のもと、エキスパートによる集団が組織されたのだろう。同氏は、カーオーディオ専門ショップを経営していた経験もあり、そのころからスピーカーの理想形態として、本機のような形態のものが念頭にあったようだ。そんな彼の理想のスピーカー像を実現化した自信作が本機だ。

 とにかく音楽表現の幅広さには圧倒される。楽器や声の質感・音色の再現は適確で、演奏者が音に込めたさまざまなニュアンス、情感を鮮やかに再現する能力をもっている。「高音質」を誇るスピーカーは数あれど、音楽の情感が切々と伝わってくる名機は希だ。本機はまさに名機たる資格を備えている。

 ただし、これをクルマに適切に装着して、装置全体の調和を取りながら調整できる、技術力と音楽的なセンスのある優秀なインストーラーを探しだすこと。このスピーカーのためにクルマを選ぶ、そんな覚悟が使い手にも要求されるだろう。

画像: 音楽の情感が切々と伝わってくる名機は希だ 本機はまさに名機たる資格を備えている

アールエスオーディオ RS AUDIO
Speaker
RS Master 3 KMII
¥1,280,000 (税別/受注生産品)

SPECIFICATION
●型式:セパレート型3ウェイスピーカー
●使用ユニット:ウーファー・180mmコーン型、ミッドレンジ・100mmコーン型、トゥイーター・28mmドーム型
●定格入力:ウーファー・120W、ミッドレンジ・60W、トゥイーター・100W
●出力音圧レベル:ウーファー・88.2dB、ミッドレンジ・87dB、トゥイーター・92dB
●再生周波数帯域:ウーファー・50Hz〜4kHz、ミッドレンジ・100Hz〜8kHz、トゥイーター・630Hz〜30kHz
●インピーダンス:4Ω

■問合せ先
株式会社イース・コーポレーション
電話番号:055-991-5130
受付時間:9:00~18:00(土、日、祝日を除く)

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