1980年公開の映画『ジャグラー/ニューヨーク25時』が4K修復版として12月5日よりシネマート新宿ほか全国順次公開される。ロケで構成されているから、その時代のマンハッタンやブロンクスがこれでもかとばかりに画面に登場する。私はベテランの音楽ライターから、この時代のニューヨークがいかに危険でヤバかったかをきいたことがある。公園は怪しい取引も行われているなど基本的に危険で、地下鉄は汚くて犯罪の温床だから危険で、タイムズ・スクエアあたりはポルノショップが林立していて客引きも含めてこれまた危険であった、と。私が訪ねた頃のタイムズ・スクエアはすっかり清潔で家族連れにもふさわしい実に賑やかな観光地になっていたのだが、この映画には、まさに「ヤバい風俗街」としてのタイムズ・スクエアが活写されている。

 主人公のボイドは元警官で、今は娘のキャシーと二人で暮らしている。裕福ではないが毎日それなりに充実していた。が、外で、ちょっと目を離していた隙に、娘が奪われてしまう。誘拐だ。元警官だからボイドの身体能力はすこぶる高いのだが、犯人のそれも相当なものだった。しかも“ハイ”というか、狂気がそこに上乗せされているのだ。その犯人は、とある層の、とある役職の者に怨みを抱いていた。キャシーをその関係者の娘であろうと思い、大金をせしめようと誘拐したのだ。が、もちろん人まちがいであり、キャシーは金持ちや権力者の令嬢でもなんでもない。そこから物語はスピード感たっぷりに「混線」する。

 犯人探しや逮捕には警察の力が求められる。そこでボイドもかつての勤務先をある程度は頼ることになるのだが、そこには彼に恨みを持つ現職の巡査部長がいた。これが目玉をひんむきながらボイドの邪魔をしまくる。「お前の娘がどうなろうと知るものか、お前こそ死んでしまえ」といわんばかりの迫力、絶妙のイヤミさでライフルをぶっ放ち、物語にノイズを加える。だがボイドはあきらめず……。大迫力の一作の、45年ぶりとなる日本における劇場公開を祝いたい。原作はウィリアム・P・マッギヴァーンの同名小説、監督はロバート・バトラー、主演はジェームズ・ブローリン。

映画『ジャグラー/ニューヨーク25時 4K修復版』

12月5日より シネマート新宿ほか ROADSHOW!!

監督:ロバート・バトラー
製作:ジェイ・ウェストン
製作総指揮:アーノルド・コペルソン
提供:TCエンタテインメント、是空
配給:ザジフィルムズ
アメリカ|1980年|101分|カラー|4K|PG12
(C)1980 GCC Films,Inc

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