絶縁状態にあった実兄の突然の訃報から始まる親族のドタバタぶりを、コメディ要素を交えながら描いた『兄を持ち運べるサイズに』が、いよいよ11月28日から公開される。監督は、『湯を沸かすほどの熱い愛』で注目を集めた中野量太が務め、キャストには、柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかりら実力派を揃え、湿っぽくなりがちなテーマをカジュアルに仕上げている。ここでは、オダギリジョー演じる兄の娘・満里奈を務めた青山姫乃にインタビュー。出演の感想や役作りの苦労、今後の抱負について話を聞いた。

――よろしくお願いします。まずは、本作に出演しての感想をお願いします。
 よろしくお願いします。お芝居の現場は初めてでしたが、今までにない、たくさんの経験を積むことができました。

――普段はファッション誌のモデルをされていますが、もともとお芝居はやりたかったのですか?
 はい。中1の頃にお芝居のレッスンを始めて、お芝居の面白さを感じていました。それから4年、今回演じた役柄の中で、(そのレッスンの成果を)存分に発揮できたと思います。

――出演が決まった時はいかがでしたか?
 連絡が来た時には、まさかと思ってびっくりしました! 家族で集まって“イェーイ”ってやりましたね(笑)。

――オーディションの思い出はありますか?
 オーディション用の台本に、(満里奈は)ラブリーな服装って書いてあったので、すべての審査に、ヒラヒラした可愛らしい服装を選んで臨みました。オーディションでは、中野監督が優しい言葉でいろいろとアドバイスをしてくださったので、“あっ、こういうことなんだ”って(役への)理解を深めることができました。オーディションでありながら、ワークショップのような感覚もありました。

――合格の決め手は聞きましたか?
 はい、最後の、満里奈だけアパートの部屋にはもう行かないで車の中で待っている、というシーンをオーディションでやったのですが、感情を顔には出さずグッと堪えているけれど、心の中で思っていることがこちらに伝わってくる芝居だった、それが決めたポイントだよって、監督から教えていただきました。

――たしかに。(感情は)あまり顔に出ませんけど、どう感じているかは、画面(雰囲気)から伝わってきました。
 ありがとうございます。

――今回は、大先輩たちとの共演になりましたが、顔合わせの時の印象は?
 実は、オダギリさんとは、顔合わせの時にお会いしていないんです。葬式のシーンの時に、実際に棺の中に入ってらっしゃったんですけど、さすがにお話しする雰囲気ではなかったし……。

 ただ、柴咲さん、満島さん、味元さんには顔合わせの際にご挨拶したのですが、その場で親睦を深めるために監督も含めた5人で、和菓子をかけたババ抜きをやろうと監督が提案してくださって(笑)。結果、私は大負けしたのですが、満島さんの計らいで食べることができました(和菓子が4つしかなく、一人がハズレ)。

――さて、そろそろ本題に入ります。今回演じられた満里奈の印象についてお願いします。
 台本を読んで自分が想像していたキャラクターと一致していた部分も多かったので、演じるのが楽しみでした。私に近い部分もありましたけど、人前で泣いたり、素直に思ったことを言ったり、怒ったりというように、感情が豊かで、素直に表に出すことができるところは羨ましいなと思ったので、普段の青山姫乃ではできない部分を、満里奈で思い切りやろうと決めていました。

画像1: 映画『兄を持ち運べるサイズに』で、存在感ある演技を披露した「青山姫乃」にインタビュー。「この作品に出演して、芝居についてより深く考えることができるようになりました」

――ご自身は、あまり感情を出さない。
 そうですね。思っても(表や口には)出さずに、自分の中にグッと込めちゃう感じです。でも、高校生になってからは、少しずつですが、自分の意見を言えるようになりました。

――その満里奈の役作りについて教えてください。
 満里奈を演じるにあたってまず苦戦したのが、怒るところなんです。普段から、あまり怒ったことがないので、それをどう表現しようか悩みましたけど、本気で怒っているというより、ちょっとプリプリした感じなのかなと思って、それをどういう表情で表現しようか、いろいろと想像していました。

――実際に演じてみていかがでしたか。
 監督には、“OK”って言ってもらえましたので、正解だったのだと思います。

――実際に作品を見ての感想は?
 こうすればよかったという反省もありますけど、こういう表情をしたら、こう映るんだっていう気づきもありました。ただ、それよりも、自分はここにいるのに、スクリーンに映っているのがすごく不思議でした(笑)。今では客観的に見られるようになりましたけど、まだまだ、恥ずかしい気持ちはあります。友達から「見るね」っていう連絡も来るのですが、恥ずかしいし、自分から見てねとは、なかなか言い出せないです。

――劇中では、(満里奈として)私、(本の)ここに出るからってアピールしていました。
 そこも私とは違うところですね。恥ずかしくて自分からは言えませんよ。

――さて、柴咲さん演じる理子と合流して、警察署に行ったところで、お母さん(満島)が理子に間違えられるシーンで見せる表情は、なかなか良かったです。
 ありがとうございます。クスって笑うところなんですけど、そこも苦戦しました。怒るのと一緒で、普段クスクス笑うことってないので、どうやればいいんだろうって悩んで、何テイクか撮り直したんです。まだ納得していない部分はあります。

――当初はツーンとしていましたけど、普通に笑うんだっていうギャップもありました。
 それが、監督の狙いだと思います。あと、もう一つ難しかったシーンがあって、それがお父さんのお葬式(焼場)のところでした。身内の葬式の経験がないので、どんな顔をすればいいんだろうって、ずっと考えていて……。苦戦しましたけど、結果、泣いているのか分からないぐらいの、微妙な表情ができました。

――何を考えていたのでしょう?
 長年会っていなかった父親ですから、小さいころの記憶を辿りつつ、アパートの壁に飾ってある家族写真や旅行の写真を思い出しながら、こんなことして楽しかったな、こんなこと話したなっていう満里奈としての思い出を想像して、それを頭の中でぐるぐる考えていました。結果、(棺の中の)お父さんを前にして泣くというお芝居をすることができました。自分ではうまくできたと思います。

画像2: 映画『兄を持ち運べるサイズに』で、存在感ある演技を披露した「青山姫乃」にインタビュー。「この作品に出演して、芝居についてより深く考えることができるようになりました」

――あの棺の中のオダギリさんは作り物?
 いえ、ご本人です。でも、そんな状況ですから、お話することもできず……。

――そのオダギリさん演じるお父さんは、一筋縄ではいかない人物でした。
 娘からしたら、面白い一面もたくさんあるので、母とは違って許せちゃうのかなって思います。

――シーンとしては順番が後になりますが、葬式を終えてアパートへ行って、壁に飾ってある子供の頃の写真を見て、喜ぶ時の表情は素敵でした。
 本当ですか、ありがとうございます。お父さんとはもう7年も会ってなかったので、忘れられてしまったのかなと考えていたこともあり、ここにちゃんと家族の思い出がある、温かさがあるっていうのを感じて、すごく嬉しくなったんです。でも、その一方で、一緒に暮らしたかったのに、なんでできなかったんだろうっていう疑問というか怒りもあって。そうした複雑な感情が入り混じっての涙、となっています。

――自分のことを忘れてなかったんだ、と。
 そうですね。

――ところで、柴咲さんや満島さんに芝居について相談したり、逆にアドバイスをもらったりしましたか?
 現場では、あまりお芝居の話はしませんでしたけど、お二人のお芝居を間近で見ることができて、とても勉強になりました。それから、完成披露の舞台挨拶の時に、私のことを“気軽に接してくれた”と話されていたのを聞いて、きちんと見てくれていたんだと思って、うれしくなりました。

 柴咲さんについては、後から歌も歌われているというのを知って、歌っている時の動画を拝見したら、すごくかっこいいんですよ! 本作で演じられた役とのギャップが大きくて(笑)、びっくりしました。

 それから、お二人が焼却場でゴミを投げるシーンがすっごく印象に残っているんです。実際にやったら絶対に楽しいだろうと思って。私もやりたくなりました。

――ところで、ネタバレしないようにお聞きしますが、後半のとあるシーンで、満里奈はみなと違う行動を取ります。その理由は?
 お葬式が終わって、満里奈の中では一区切りつけていたというのもありますし、一方で、会いたい気持ちもありましたけど、会ったら泣いてしまう。泣いている姿を見せたくなかった、心配させたくなかったから、というのが一番だと思います。

――今回、映画(動画)に出演していかがでしたか。
 この作品に出演させていただいて、一番学んだことは勇気です。最初は、監督に質問する勇気が持てなかったのですが、撮影も後半になって、やっと自分の考えを持って、話せるようになりました。お陰で、演技プランとまでは言えないかもしれませんが、台本に描写されている役柄について、より深く考えられるようになりましたし、それを口に出して言えるようにもなりました。その意味では、芝居の深みも出せたと思います。

画像3: 映画『兄を持ち運べるサイズに』で、存在感ある演技を披露した「青山姫乃」にインタビュー。「この作品に出演して、芝居についてより深く考えることができるようになりました」

――今後、芝居の仕事についての抱負は?
 もっともっとたくさんの映画に出たいです。

――希望のジャンルはありますか?
 いろいろなものに出演したいと思いますが、気になっているのはホラーなんです。撮影がどうなっている(どうやっている)のかすごく知りたいので、体験してみたいです。でも、実は苦手なんですけど、自分の出演作(ホラー)を見て、(恐怖の芝居に)ドキッとしたら勝ちじゃないですか! だから出演してみたいです。

――今、高校一年生ですから、来春にはnicola(二コラ)も卒業です。
 あっ、そうですね。今年の春に先輩を見送ったばかりなんですけど、次は、私の卒業になるんですね。中1から活動させてもらっていたので、まる4年、時間が経つのは早いですね。ついこの間合格発表を聞いたかのような感覚です。その流れで言えば、まだ高校生になった実感もないんです(笑)。自分的にはまだまだ中3でいたいって思っています。

――二コラ卒業後は、女優業をメインに?
 はい! 女優業にまっすぐ進みたいと思っています。

――ちなみに、実感のない高校生活の中で、楽しいことはありますか?
 毎月、1ヵ月かけてやる課題が出るんですけど、それを最初の1週間で終わらせることです。眠気とか疲れはすごくありますけど、早く済ませてしまえば、(月の)後半は余裕を持てるし、自分の好きなことができるので、頑張っています。それが最近の楽しいことです。

――すると、夏休みの宿題もすぐに終わらせるタイプ?
 そこは違っていて……。計画は立てるんですけどなかなか進まなくて、明日やろう、明日、明日と先延ばしして、後半に慌ててしまうタイプです。なかなかうまくいきません。

――最後に一つ、趣味に“猫のひげ集め”と書いてあります。これは?
 実家で猫を2匹飼っているんですけど、結構抜けて落ちるんですよ。掃除の時にそれを集めて木箱にためているんです。かなりたまってきました(笑)。

――集めてどうするのですか?
 最初は興味本位だったんですけど、今は、集まったひげで、いつか筆を作りたいと思っています。

――筆になるんですか?
 ならないと思います。

――では、化粧用の筆とか?
 猫アレルギーなので、使えないかも……。

――えっ、猫アレルギーなのに、猫を飼っているんですか?
 はい、でも大丈夫です。

――なかなか面白いですね。バラエティ番組に出たら注目を集めそうです。
 その時には、筆を作って持参したいです。

映画『兄を持ち運べるサイズに』

2025年11月28日(金)TOHOシネマズ日比谷 他、全国ロードショー

画像: 映画『兄を持ち運べるサイズに』

<キャスト>
柴咲コウ オダギリジョー 満島ひかり 青山姫乃 味元耀大

<スタッフ>
原作:「兄の終い」村井理子(CEメディアハウス刊)
脚本・監督:中野量太
制作プロダクション:ブリッジヘッド/パイプライン
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

●青山姫乃 プロフィール
2009年8月4日生まれ、山形県出身。
モデル・女優として多方面で活躍する若手タレント。
身長155cm。星座はしし座。趣味は映画鑑賞・猫のひげ集め、特技はチアダンス。

2022年8月、『nicola(ニコラ)』の専属モデルオーディションでグランプリを獲得し、以降モデルとして雑誌を中心に注目を集めている。主な出演作には、テレビ番組『超無敵クラス』(日本テレビ)などの出演や、2025年公開の映画『兄を持ち運べるサイズに』で満島ひかりと親子役を演じ、その演技力が“すごい”と評価されている。また、ドラマ『介護スナック ベルサイユ』での役どころでも存在感を発揮。幼いながらも幅広いジャンル――モデル・バラエティ・映画・ドラマ――でマルチに活躍しており、自然体での表現やキャラクターへの入り込みが魅力。今後の成長に期待大の逸材。

●SNS
公式サイト https://amuseplus.jp/mob/arti/snsmLis.php?site=A&cd=A8988
公式インスタグラム https://www.instagram.com/himeno_aoyama/

ヘアメイク:藍野律子
スタイリスト:小林美月

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