9月10日に発売された『ウルトラマン 4Kディスカバリー 4K ULTRA HD BOX』を自宅ホームシアターでじっくりチェックした。

 『ウルトラマン』について改めて説明する必要はないだろう。1966年に放送をスタートした、円谷プロ『空想特撮シリーズ』で、巨大変身ヒーローの元祖ともいえる作品だ。

『ウルトラマン 4Kディスカバリー 4K ULTRA HD BOX』 ¥22,000(税込)

画像1: 『ウルトラマン 4Kディスカバリー 4K ULTRA HD BOX』で、これまでとは違う “ウルトラマン” を目撃した! UHDブルーレイの実力はこんなに高いんだ【フィジカル万歳29】

●収録分数:本編416分+映像特典●ディスク:4K ULTRA HD Blu-rayディスク×4枚組●発売元:円谷プロダクション●販売元:ポニーキャニオン

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 今回のUHDブルーレイボックスは全39話の中から16エピソードを選び、【生命】【浪漫】【仲間】【正義】という4つのテーマ(4枚のディスク)に分けて収録している。本編は石坂浩二氏が演じる《不思議な映画館》の劇場支配人の元を、浅沼みう氏が演じる謎の少女が訪れ、ふたりで『ウルトラマン』の各エピソードを鑑賞するというもの。映画館のスクリーンに映し出される『ウルトラマン』を一緒に見ている気分にしてくれる面白い演出だ。

 さて、今回のUHDブルーレイについては個人的に注目している点があった。ご存知の方も多いと思うが、本作は現在NHK BS4Kで4Kリマスター版がオンエア中で、ファンの間でも画質についての評判が高い。そのレストア作業について円谷プロの担当者氏にインタビューを実施したが(関連リンク参照)、16mmフィルムからいかに4Kの高画質を引き出すかについて本当に細かい部分まで注意が払われていることに驚いた次第だ。

 今回のUHDブルーレイも同じ4Kマスターを使っているはずで(未確認ですが)、さらにパッケージソフトだから、オリジナルフィルムと同じ24p(毎秒24コマ)で、放送よりも高いビットレートで収録されるのは間違いない。つまり画質的には放送を超えるクォリティが期待できる。音声も放送のAAC圧縮とは違うはず。

画像2: 『ウルトラマン 4Kディスカバリー 4K ULTRA HD BOX』で、これまでとは違う “ウルトラマン” を目撃した! UHDブルーレイの実力はこんなに高いんだ【フィジカル万歳29】

 ということでまずは「生命(いのち)のものがたり」から第1話「ウルトラ作戦第一号」を再生する。お馴染みのタイトルロゴに続いて劇場支配人と謎の少女による新作パートが流れ、本編が始まった(オープニング曲は未収録)。

 一見しただけで、画面全体(110インチスクリーン)に力が漲っているのがわかる。ハヤタ隊員の表情もクリアーだし、隊員服のオレンジも鮮やかで、ヘルメットの光沢も美しい。ベムラーの青い球体とウルトラマンの赤い球体も内側から光を放っている様がより明瞭になっている。球体を目撃するキャンパーたちの衣装や草木の細かい情報まで見えているし、フジ・アキコ隊員の茶髪も綺麗だ(桜井さんは本作のために髪を染めたとか)。水に濡れたベムラーの表面のきらめき、背景の書き割りの質感も印象に残る。

 解像度的にはBS4Kと同じなので、そこで情報が増えるはずはないんだけど、グレイン(フィルムの粒状性)ノイズが抑えられて画面全体がすっきりしてきたことで、見通しが良くなっているのだろう。16mmフィルムからのスキャンなのに、ここまでクリーンな印象になるのかと驚く。

画像: 第1話「ウルトラ作戦第一号」のディスク仕様を確認した。ビットレートが80Mbps超えることもしばしば

第1話「ウルトラ作戦第一号」のディスク仕様を確認した。ビットレートが80Mbps超えることもしばしば

 BDレコーダーでディスク情報を呼び出してみると、収録フォーマットは3840✕2160/24p、HDR10で色域はBT.2020ということが確認できた。さらにビットレートは50〜80Mbpsもあり、平均60Mbpsは超えているのではないだろうか。つまり放送の2倍以上をキープしているわけで、パッケージソフトの優位性を活かした仕様が採用されている。音声もリニアPCM 48kHz/24ビットとハイレゾクォリティだ。

 第2話「侵略者を撃て」も全体の印象は同じで、科学センターの入口にある黒電話の細かな傷まで見えている。瞬間移動するバルタン星人の青も透明感があって綺麗。屋上の暗闇からアラシが登場する際の暗部階調再現がていねいだし、遠くから3人の隊員を捉えたシーンの滲み感も少なくなっている。

 第39話「さらばウルトラマン」は、ゼットン星人のUFOの内部がここまで見えていたのかと、改ためて感心した。円盤の吊りのワイヤーが残されていることにも、特撮マニアとしては嬉しさを覚える。Cタイプと呼ばれるウルトラマンのフェイスのシルバーも美しい!

画像3: 『ウルトラマン 4Kディスカバリー 4K ULTRA HD BOX』で、これまでとは違う “ウルトラマン” を目撃した! UHDブルーレイの実力はこんなに高いんだ【フィジカル万歳29】

 「浪漫のものがたり」も、スクリーンから受ける印象は変わらない。こちらも収録内容やビットレートは同様で、4枚のディスクすべてに品質への配慮が徹底されている。第26〜27話「怪獣殿下」のゴモラの角の艶感、夕日のオレンジも本当に綺麗。

 「正義のものがたり」では、第30話「まぼろしの雪山」の雪のきらめき、白の階調感などにHDRの恩恵を感じる。雪ん子の服も素材感がきちんと再現されている。

 シリーズ屈指の名作、第23話「故郷は地球」は画面を凝視し続けるしかない! ジャミラの皮膚、砲撃の閃光、降り注ぐ雨といった描写の細かさは今まで見たことがないし、逆光の中での隊員の表情など、実相寺監督ならではの演出が際立つ。ラストシーンで泥の中に倒された国旗の描写にも深い意味を感じてしまう。またジャミラの墓標に刻まれた「1960-1993」という表記にも時代を感じる。

 本編のサウンドにも力強さがあり、セリフも聞き取りやすい。新録パートでは、石坂氏が少女に語りかける声の優しいニュアンスがよく伝わってくる。エンディングテーマはステレオ感があって力強い。

画像: 【収録エピソード】 ●「生命(いのち)のものがたり」:第1話「ウルトラ作戦第一号」、第2話「侵略者を撃て」、第35話「怪獣墓場」、第39話「さらばウルトラマン」 ●「浪漫のものがたり」:第3話「科特隊出撃せよ」、第19話「悪魔はふたたび」、第26話「怪獣殿下 前篇」、第27話「怪獣殿下 後篇」 ●「仲間のものがたり」:第13話「オイルSOS」、第33話「禁じられた言葉」、第36話「射つな! アラシ」、第37話「小さな英雄」 ●「正義のものがたり」:第30話「まぼろしの雪山」、第15話「恐怖の宇宙線」、第20話「恐怖のルート87」、第23話「故郷は地球」

【収録エピソード】
●「生命(いのち)のものがたり」:第1話「ウルトラ作戦第一号」、第2話「侵略者を撃て」、第35話「怪獣墓場」、第39話「さらばウルトラマン」
●「浪漫のものがたり」:第3話「科特隊出撃せよ」、第19話「悪魔はふたたび」、第26話「怪獣殿下 前篇」、第27話「怪獣殿下 後篇」
●「仲間のものがたり」:第13話「オイルSOS」、第33話「禁じられた言葉」、第36話「射つな! アラシ」、第37話「小さな英雄」
●「正義のものがたり」:第30話「まぼろしの雪山」、第15話「恐怖の宇宙線」、第20話「恐怖のルート87」、第23話「故郷は地球」

 『ウルトラマン4Kディスカバリー4K ULTRA HD BOX』は、パッケージソフトとしての恩恵を充分に感じ取れる、ていねいに作られたディスクだ。ファンとしては、全39話をこのクォリティで見てみたいという気持ちも抑えきれないが、まずは選ばれた16話を本UHDブルーレイで堪能していただきたい。(取材・文:泉 哲也)

(C)円谷プロ

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