遥かな古より続く不可解な儀式と、現代の日本各地で頻発する母子の失踪事件。それらが交差する時、決して明らかにしてはいけない謎の扉が開いてしまう……。古来より伝わる日本的な因習と、人間心理の奥底に潜む闇を、愛知県の日進市の美しい風景とともに映像化した『男神』が、いよいよ9月19日(金)より公開となる。ここでは、ヒロイン山下愛子を演じた須田亜香里にインタビュー。役作りの秘訣から今後の抱負まで話を聞いた。

――よろしくお願いします。今回は映画『男神』への出演おめでとうございます。まずは、ホラー作に出演しての感想をお願いします。
 ありがとうございます。タイトルにもなっている「男神」は目に見えない神様なので、実態はつかめないけど、確かにそこにいる、っていう感じがあって、そこがまた怖いなと思いました。

――目に見えないものを表現するのは難しかったのでは?
 監督からは、(男神は)CGを使って表現すると聞いていましたし、現場ではていねいに説明してくださったので、目に見えない神様をきちんと感じながら、撮影に挑むことができました。実際に完成した映像を見た時に、“わぁこうなっているだ!”って、自分がイメージしていた以上の、壮大で美しい映像になっていたので感動しました。

――結構、おどろおどろしい雰囲気もありましたが、出演が決まった時、台本を読んだ時はいかがでしたか?
 難しい言葉がたくさん出て来るので、いつの時代の話なんだろうって思いながら、ちょっぴり苦手な歴史(勉強)に近いものも感じていましたけど、難しい言葉って情景であって情報ではないので、台本を読み進めていくうちに、意外とすんなり受け止めることができました。

 あとはホラー作と言っても、血が飛んだり、音で驚かされたり、お化け出てくることはなく、その面での怖さはないので、ホラーが初めてという人、苦手意識のある人にも見やすい作品になっていると思います。

――次に、演じられた山下愛子について教えてください。
 建設会社の社長令嬢なんですけど、お嬢様っていうイメージとは正反対で、あまり女の子らしくないというか、言わば男勝りなキャラクターです。元アイドルが演じているとは思えないような(笑)、ガサツで現場派の人です。

画像1: 注目のファンタジーホラー『男神』でヒロインを演じた「須田亜香里」にインタビュー。「演じた役(=山下愛子)になりきって、そこにいる雰囲気を感じ取ってほしい」

――役作りはどのように行なったのでしょう。
 衣装合わせで、愛子の衣装ですと言ってタンクトップとズボンを渡された時に、タンクトップで腕がひょろひょろだとよくないなと思い(笑)、まずは筋肉を作ろうと決めて、普段通っているピラティスのトレーナーに、強そうに見える腕の筋肉を育ててくださいとお願いして、1ヵ月ほどかけて鍛えました。

 とはいえ、筋肉をバキバキにしましたというより、ひょろひょろに見えないように、ある程度の筋肉の形を作ることを意識していたぐらいです。

――外見から作っていく感じなのでしょうか?
 そうなんですよ。結構、形から入るのが好きなタイプなので、その服・衣装を着れば、そのアイコンになれる。今回で言えば愛子になれるという感じです。衣装のお陰もあって、割とああいったガサツな動きというか、女の子らしくない動き――足を開いて座るとか、あぐらをかいて気だるそうにしているとか――は、違和感なく行動には移せました。

 役柄については、ぶっきらぼうな感じで、言葉遣いもあまりよくはない。特に弟についてはちょっと雑に扱うようなシーンもありますが、愛のある人だと思ったので、そこは表現するようにしました。ガサツだったり、泥だらけであったり、男勝りなところがありながらも、実はいい人なんだと感じてもらえるお芝居は考えていました。

――ちなみに役作りの中でも、重機の運転というのはどのように習得したのでしょうか?
 人に物を聞くのが好きな性格もあって、それはもう現場で教えてもらうことが多かったです。

 さすがに重機には乗ったことがなかったので、撮影前に監督に、“運転できませんけどどうしましょう”って相談したら、“教えてくれる人がいるから大丈夫だよ”っていう返事をいただいて。重機を扱う場面では、普段から重機を操縦している方が現場にいらっしゃったので、その方たちが乗り込む時の動きとか、操縦席に座ってからの動作などをじっくりと見て、愛子なりの仕草に落とし込むことができました。

 あとはやはり、現場って重機などの騒音が大きいこともあって、声だけの指示では通りにくいので、ジェスチャーでも指示を出す。そのやり方を教わったりしていました。

 今回の現場は、心配事を解消しながら本番に向かうことができる環境だったし、分からないことはプロに聞くのが1番だって私は思うので、たくさんの方々とコミュニケーションを取りながら、愛子を作ってもらったという気がしています。

画像2: 注目のファンタジーホラー『男神』でヒロインを演じた「須田亜香里」にインタビュー。「演じた役(=山下愛子)になりきって、そこにいる雰囲気を感じ取ってほしい」

――少し細かい部分に入っていきますが、映像の見せ方や音の使い方に、往年の日本の怪奇映画という雰囲気も出しながら、見応えのある作品になっていると感じました。
 そうですね。映像からは大きなスケールも感じますし、あらかじめ、監督は特に生き物の使い方(見せ方)は大事にされていると聞いていましたから、映し出される生き物には、いろいろな意味が重ねられているんだろうなと思いながら演じていました。

 実際に作品を観て下さる人によって捉え方はさまざまでしょうから、それでいいんだろうと思います。

――監督はいかがでしたか?
 芯が通っている力強さがありながらも、すごく柔軟な方で、常に、役者がやりやすい環境、雰囲気を作ってくれるんです。セリフ一つとっても、(自分で)言いやすいように変えていいですよって、本当に私たちを信用してくださるし、役者もスタッフも、一緒に作品を作る仲間だから、対等の立場だからというスタンスで接してくださって。お陰で、撮影期間は、すごく心地よい環境で過ごせました。

画像3: 注目のファンタジーホラー『男神』でヒロインを演じた「須田亜香里」にインタビュー。「演じた役(=山下愛子)になりきって、そこにいる雰囲気を感じ取ってほしい」

――ちなみに、須田さんが映画に出演されるのは約5年ぶりですが、お芝居をするとか、映画に出るのは、どういう感覚で捉えているのでしょう。
 新鮮で楽しいっていう気持ちが、一番大きいですね。アイドル時代にも撮影はありましたけど、MV撮影では基本、カメラに目線を送りますし、カメラの向こうに好きな人がいる、見てくれる人がいるという気持ちでいますけど、お芝居ではカメラ目線をすることは、指示がない限りはほぼないですし、カメラをいないものとして演じることができるのは、自分の世界を作れているようで、すごく楽しいです。

――そういうベースがあるから、今、お芝居を楽しまれているのでしょうね。
 そうですね。違いを楽しんでいます。

――将来は創る方に回ったりはしないのですか?
 えーー、まだ興味はないです。これまで、ジャンルを問わずいろいろなお仕事をしてきたからこそ、今回も、お芝居をさせてもらえたと思っています。

 元々はバラエティに強い事務所なので、バラエティ畑で大事に育ててもらったからこそ、いろいろな経験を積むことができて、そのおかげで今、こうして自分がやってみたいことをできていれるんだと思っています。楽しいです。

――今回演じられた愛子は、ご自身とは正反対、ギャップのある役でした。
 印象としては、そうかもしれませんけど、正反対だねって言われると、ああそうなんだっていうぐらいで、まったく無理せずに演じることできました。

 ああいう衣装で建設現場にいたら、お淑やかな感じにはならないなとか、その絵(現場)には、こういう人が似合うなとか、私は、衣装や現場を客観視して、感じたイメージで動くのが得意なので、あの衣装を着たら自然と、男勝りな雰囲気になっていました。

――ある意味、MVで鍛えられた。
 それはありますね。アイドル時代は、歌(歌詞)の主人公にあわせて、自分の中に違うキャラクターを作って、演じながら歌ったり、曲調(感情)によって歩き方を変えるということもしていましたから。

 つまりは、こういう風に見せたいと思いながら動くのが好きなのかもしれません。なので、今回もあまり意識せずに、愛子のような男勝りなキャラクターならこういう話し方、動き方をするな、と考えて、それらしく存在しただけという感じです。

――与えられた役柄・枠になりきる、という感じでしょうか。
 はい、衣装とかヘアメイクでまず、外側を作っていただけるので、あとは中身を寄せるだけなんです。

――そう聞くと、さきほどの、形から入るのが好きだという発言が理解できました。
 よかったです(笑)。私自身、目標を持つのはあまり得意ではないので、人から目標を提示してもらったり、見えるようにしてもらうと、そこに向かって努力するのは得意な方だと思うので、今回も、事前に愛子のキャラクターをしっかりといただけましたから、そこに寄せていく(役作り)作業は、楽しかったです。

――すると今後は?
 やはり、お芝居をメインになんでもやりたいです。なんて言うんでしょうか、一つのことだけをやっていると、頭がいっぱいいっぱいになってしまうんです。だから、この数年間はバラエティとかコメンテーター、文書を書くお仕事など、いろいろなことに挑戦してきたことで、毎日違う自分の引き出しを開けながら、今日はこの自分っていう風に楽しむことができました。

 今回はお芝居っていう引き出しを開けて、いろいろな方と関わって、作品創りに携わることができて、それが誰かに届いていくというのもまた楽しみでもあるので、これからもなにか一つに絞れないと思います。

――すると、次々案を出してくれる優秀なスタッフが必要ですね。
 そう思います。一緒に夢を見てくれる人だったり、夢を提示してくれる人、新たな目標を一緒にワクワクしながら立ててくれる人がいると、また新たな自分に出会えるかもしれません。

画像4: 注目のファンタジーホラー『男神』でヒロインを演じた「須田亜香里」にインタビュー。「演じた役(=山下愛子)になりきって、そこにいる雰囲気を感じ取ってほしい」

――では、最後に読者へメッセージをお願いします。
 井上監督のこだわった壮大で綺麗な映像を、劇場の大きなスクリーンで楽しんでいただきたいのと、作品ジャンルとしてはホラーになりますけど、血がブシューって出るような怖さはないので、ホラーに苦手意識を持っている方でも、最後まで楽しんでいただけると思います。よろしくお願いします。

映画『男神』

2025年9月19日(金)より 全国ロードショー

<CAST>
遠藤雄弥 彩凪翔 岩橋玄樹 須田亜香里 カトウシンスケ 沢田亜矢子 加藤雅也(特別出演) 山本修夢 塚尾桜雅 アナスタシア すずき敬子 大手忍 チャールズ・グラバー 藤野詩音 齋藤守 清水由紀(友情出演) 永倉大輔(友情出演)

<STAFF>
監督・脚本:井上雅貴 原案:「男神」(八木商店)
ロケ地:愛知県日進市、岐阜県下呂市 協力 高山市、飛騨・高山観光コンベンション協会 支援:日進市企業ふるさと納税 下呂市ふるさと文化振興助成金 協賛:マテラ化粧品 ワンダーランド そうび社 龍の瞳 イオス コーポレーション 題字:小林芙蓉
2025年/日本/93分/カラー/シネスコ/5.1ch
配給:平成プロジェクト 配給協力:東京テアトル
(C)2025「男神」製作委員会

須田亜香里 公式サイト
https://www.tp-e.jp/talent/sudaakari/

ヘアメイク:storm
スタイリスト:柏木作夢(カシワギサム)

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