Amazon（アマゾン）は、日本のAmazon Music Unlimitedユーザーを対象に、オーディオブックサービスAudibleの90万以上のタイトルから毎月1冊を体験できるサービスをスタートした。
このサービスは、アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、オーストラリア、ニュージーランドでの展開に続くもの。Audibleのカタログが加わったことで、Amazon Music Unlimitedは、HD音質での1億曲以上の楽曲、ポッドキャスト、そしてオーディオブックをひとつのアプリで楽しめる、オーディオエンターテインメントに進化することになる。
昨日開催されたプレス向け説明会では、Amazon Musicジャパン カントリーマネージャーのニコラス・フォーケード氏とAudibleジャパン カントリーマネージャーの逢阪志麻氏が登壇し、今回のサービスの狙いを紹介してくれた。
「Amazon Musicは日本でサービスを開始して以来、お客様に音楽を届けるとともに、日本のアーティストを世界中のリスナーに紹介してまいりました。それをとても光栄に思っています。本日はAmazon MusicとAudibleの取り組みとして、日本のお客様にこれまで以上に音声コンテンツを楽しんでいただける新しいサービスの開始についてご紹介します」（ニコラス氏）
「10年前、私たちはAudibleの日本向けサービスを開始しました。“聞く読書” という体験を創出することで、お客様に新しい感動を提供することを目指してまいりました。10周年という記念すべき節目にAmazon Musicとの新しい取り組みを発表できることを嬉しく思います。これにより、お客様にさらに充実したオーディオ体験を提供できるようになり、より多くの方々にAudibleを楽しみいただけます。日本のオーディオエンタテインメントの未来をAmazon Musicと共に切り拓いていくことを光栄に思います」（逢阪氏）
続いてAmazon Music統括責任者のライアン・レディントン氏から、現在のAmazon Musicの状況が紹介された。
「Amazon Music は世界有数の音楽ストリーミングサービスとなり、世界中で毎日数百万人のお客様にご利用いただいています。日本でのAmazon Music Unlimitedの会員数は過去5年で約3倍に増加しています。そのAmazonは2000年に日本でサービスを開始し、その1年後にCDの販売を開始しました。そこからデジタルダウンロードを経て、2015年からストリーミング配信を開始し、今日に至ります。
その間オーディオエンタテインメントは進化しており、私たちも進化しました。ポッドキャスト、ライブ配信アーティストのパフォーマンスを統合し、Amazon Musicサービスには1億以上の楽曲が揃っています。この進化は私たちにとても重要な教訓を伝えてくれました。それは、日本のお客様は完全なオーディオエンタテインメント体験を求めていることです。そして、さらに多くのものを求めておられます。
そんな皆さんに向けて、本日からAmazon Music Unlimited会員はAudibleの全カタログに追加料金なしでアクセスできるようになります。毎月1冊選ぶことができ、もっと聞きたい場合はAudibleサービスに加入いただくことで、さらに多くの選択肢から選べるようになります。AudibleとAmazon Musicのお客様がより多くのエンタテインメントにリーチし、オーディオブックのカテゴリーの成長を続けるための、無限の機会を提供します」（ライアン氏）
左からAmazon Musicジャパン カントリーマネージャーのニコラス・フォーケード氏、Amazon Music統括責任者のライアン・レディントン氏、Audible CEOのボブ・キャリガン氏、Audibleジャパン カントリーマネージャーの逢阪志麻氏
さらにAudible CEOのボブ・キャリガン氏も新サービスの狙いを語ってくれた。
「Audibleは日本でのローンチから10周年という記念すべき節目を迎えました。この10年間、日本は世界でもっとも成長著しく、重要な国のひとつとなっています。
弊社では、日本のお客様に更なる価値を提供するため、村上春樹氏の作品への独占配信権を獲得しました。また、東野圭吾氏とのコラボレーションでオーディブルリスナー限定のオーディオファースト作品も制作しています。最近では黒柳徹子氏と共に『窓際のトットちゃん』の続編に、人間のナレーションと音声技術を組み合わせ、命を吹き込みました。
日本のオーディオエンタテインメントの未来は明るく、その発展の最前線に立つことを誇りに思います。AudibleをAmazon Musicサービスで利用可能にするのは、リスナーとクリエイター双方にとって素晴らしいニュースです。次の10年、そしてそれ以降も日本のリスナーの皆様と共に歩み続けることを楽しみにしています」（ボブ氏）
それぞれの挨拶に続いて、新しい学校のリーダーズ、スーパーエイトの安田章大氏、作家の平野啓一郎氏をゲストに迎えたトークセッションも開催された。
このうち安田氏は湊かなえ氏「夜行観覧車」のナレーターを務めており、平野氏はオーディブルで自身の作品を配信し、書籍で出版される前にオーディオブックを先行してリリースするオーディオファーストの作品も手掛けているなど、Audibleとの関わりも深い。また新しい学校のリーダーズも、Amazon Musicで世界に向けて楽曲を発信している。
それぞれの立場からオーディオブックの魅力や表現方法、Amazon Musicの可能性などについて語りあった後、音声コンテンツの未来についての考えを話してくれた。
「夜行観覧車」のナレーションについて聞かれた安田氏は、「耳元で囁くことができるというのはなかなか人生でできることがないので面白かったです」とコメント
「肉声での情報には、人と人の心をつなぐという意味があるのかなと思います。Amazon MusicやAudibleで本音がどんどん伝わっていき、相手の心を揺さぶるようなコンテンツになっていったらいいのかなと。それが広がっていくのが、これからの流れなのかという風に思います」（安田氏）
Audible Original「A UNIVERSITY」が本日から配信される。これは平野氏が、世界的に活躍している人たちが、どういう風に考えて物を作ったり行動しているかを紹介するコンテンツとのこと
「コンテンツの情報量とイマジネーションのバランスがあると思うんです。映像も音もという情報量に圧倒される経験をしたいっていう気分の時もあれば、文字記号という限定された情報からイメージを膨らませて楽しみたい時もある。その中間に、音を聞いていろんなこと考えたり、感じたりするのがいいっていう気分もあると思うんです。Audibleのような音声コンテンツはそこのレイヤーが結構豊かだと思っているので、日常生活も豊かになるんじゃないかと期待しています」（平野氏）
新しい学校のリーダーズの皆さんは、「移動時間に何をしようかなって思うことが多いんですけど、音楽だけじゃなくて本まで耳から入ってくると思ったら、生活が豊かになるなと思います」とのこと
「声で何かを表現するっていうのは、アーティストとしては歌だったり、パフォーマンス中だったらMCだったりするんですが、朗読もひとつの表現方法として確立していく未来もあるんじゃないかなって思っています。物語に載せて声で何かを表現するっていうのもひとつのカテゴリーだと思うので、ファンのみんながこのアーティストがこの本を読んだらどうなるんだろうみたいな、ワクワクするエンタテインメントが確立されていったらいいなと思います。私たちのファンも老若男女いらっしゃいますので、小さい子向けの本だったり、大人っぽい内容とかもあったら楽しそうだなってシンプルに思いました」（新しい学校のリーダーズ、SUZUKA氏）
声を通した情報発信としては、音楽（楽曲）に加えて、今回のテーマであるオーディオブック（朗読）も重要なコンテンツなのは間違いない。今回のAmazonの取り組みはそのどちらも手軽に楽しめるという意味で、何かと忙しい現代人にはぴったりのサービスになりそうだ。なお、Amazon Music Unlimited の個人プランは月額￥1,080、プライム会員は月額￥980で利用できる。さらに7月14日までの期間限定で、新規登録した方は最初の4ヵ月間が無料になるとのことだ。
6月26日から、Amazon Musicアプリのトップページ上部のタグに「Audible」と表示されるので、ここをタップして気になるタイトルをひとつ指定すればいい。
