ZMFといえば、いまや高級ヘッドホンブランドのひとつとして知る人が知る存在となっている。ライブ感のある音楽性豊かなサウンドとともに、徹底したこだわりをもつハウジング素材のチョイスやデザイン、使い心地のよさも好評だ。そんなZMFから、新たに他社製ヘッドホン向けのイヤーパッド「ZMFユニバーサルヘッドフォンパッド」が登場した。

 もともと、ZMFの純正イヤーパッドは密閉度の高さや装着感のよさなどで好評を博しており、加えて素材の異なるオプションイヤーパッドが用意されていた。今回はそれを他社製ヘッドホンに対応させ、ゼンハイザーやハイファイマン、フォーカル、ソニー、オーディオテクニカ、ベイヤーダイナミックなど、多くのメーカー、製品に対応するモデルが用意されている。

「ZMFユニバーサルヘッドフォンパッド」のラインナップ

・ハイファイマン用:Hifiman+Subs 2024 ¥19,800(税込)
※ラムスキン、ハイブリッド(ラムスキン/トップメッシュ)
●対応ヘッドホン:Sundara/HEシリーズ、Arya、Ananda、XS、HE1000 SEおよびV2、EditionX V2、Jade II、Susvara

・ゼンハイザー用:
HD8xx Sennheiser Subs ¥20,900(税込)
※スウェード、ラムスキン
●対応ヘッドホン:HD800、HD800S、HD8XX

HD6xx Sennheiser Subs ¥19,800(税込)
※スウェード穴あり(穿孔)、ラムスキン、ラムスキン穴あり(穿孔)
●対応ヘッドホン:HD58X、HD600、HD650、HD660、HD660S、HD6XX

・フォーカル用:Focal+Subs ¥20,900(税込)
※スウェード(クローズドモデル-Stellia/Elegia/Celestee)、ラムスキン穴あり(穿孔)タイプ(Utopia/Elear/Clear)、スウェード穴あり(穿孔)タイプ(Utopia/Elear/Clear)

・ベイヤーダイナミック用:Beyer+Subs ¥19,800(税込)、¥22,000(税込、Gradoリング付)
※ラムスキン、ラムスキン穴あり(穿孔)タイプ
●対応ヘッドホン:Beyerdynamic製ヘッドホン、AKG K240/270/280、Razer Kraken、Enigma Dharma、Final Sonorious III、Grado(アダプター使用)etc

・ソニー&オーディオーディオテクニカ用:ATH+Sony Sub Pads ¥18,700(税込)
※ラムスキン
●対応ヘッドホン:ATH Mシリーズ 20/30/40/50、Sony CDR 900ST、Sony MDR7506 etc

 採用する素材も豊富で、(ヘッドホンによりバリエーション数は異なる)「ラムスキン」や「牛革」、「スウェード」などいくつかの種類が用意されているほか、素材をハイブリッド構成にしたモデル、穴あきタイプといったバリエーションが存在している。

 さらに魅力的なのが、装着感だけでなく音質にも配慮されたモノづくりがなされていること。市販の交換用イヤーパッドといえばあくまでも保守用パーツという意味合いが強く、純正より“安い”のがウリといった製品が多いのが現状だ。一部のブランドで音質に配慮されたモデルもあるが、あくまでも少数派でしかない。

画像: 愛用ヘッドホンの“新たな一面”を引き出してくれる、魅力的なアイテムが登場! 「ZMFユニバーサルヘッドフォンパッド」を、様々な人気ヘッドホンで試してみた

 しかしZMFユニバーサルヘッドフォンパッドはそういった風潮とは真逆をいく製品となっていて、素材選びからサウンドまで、徹底したこだわりを持って作られている。こういった製品を生み出すことができるのは、まさにZMFならでは。以前、YAXI製イヤーパッドの音質監修に携わったことのある筆者としては、愛機のサウンドをさらに向上させることができる製品が登場してくれたことを大いに喜びたい。

 ということで、さっそくその実力を試すべくZMFユニバーサルヘッドフォンパッドを借用、対応したヘッドホンもいくつか用意した。ちなみに、サウンドチェックにはDAC兼ヘッドホンアンプとしてGOLDENWAVE「SERENADE」を使用、Windows PC(LG gram)とUSB接続し、配信サービスのQobuzからクラシックやJポップ、アニソンまで様々なハイレゾ音源を再生してみた。

画像: 平面磁界駆動型ヘッドホンZMF「Caldera」。標準品の「ラムスキン」と、オプションの「スウェード」(写真左手前)と「牛革」(写真右手前)を聴き比べている

平面磁界駆動型ヘッドホンZMF「Caldera」。標準品の「ラムスキン」と、オプションの「スウェード」(写真左手前)と「牛革」(写真右手前)を聴き比べている

 最初に聴いたのは本家本元、ZMFの平面磁界駆動型ヘッドホン「Caldera」だ。本機には標準で柔らかい触感の「ラムスキン」を採用しているが、最初にその状態で試聴し、オプションの「牛革」や「スウェード」との違いを聴き比べている。

 標準タイプは、膨大な音数をもつうえ、抑揚表現がとても豊か。他の平面磁界駆動型ヘッドホンとは異なる臨場感溢れる表現が楽しい。いっぽうで、広がり感のよい、ステージの配置がよく分かる音場表現も魅力的だ。これはこれで、完成したサウンドといえるだろう。

 ZMFユニバーサルヘッドフォンパッドの「牛革」に替えると印象が一変する。音像のフォーカスが高まり、音がよりピュアに感じられるのだ。音数は多少減っているかもしれないし、フォルテが多少弱まっている=ダイナミックレンジがわずかに狭まっているかもしれないが、これはこれで好み、という人もいるだろう。

 さらに、「スウェード」ではバランスのいい落ち着きのある音に変化した。やや解像度が落ちているかも!? というイメージはあるが、自然な音色が好印象だし、装着感も良好。こちらも魅力的な選択だ。

画像: ゼンハイザー「HD800」用の「HD8xx Sennheiser Subs」は、「ラムスキン」(写真左手前)と「スウェード」(写真右手前)をラインナップ

ゼンハイザー「HD800」用の「HD8xx Sennheiser Subs」は、「ラムスキン」(写真左手前)と「スウェード」(写真右手前)をラインナップ

 続いてゼンハイザー「HD800」に、ZMFユニバーサルヘッドフォンパッドから「HD8xx Sennheiser Subs」を試してみる。こちらは「スウェード」と「ラムスキン」の2タイプが用意されているので、それぞれを純正品と比較した。

 特によかったのが「スウェード」タイプだ。落ち着きがある自然な音色と見通しのよい音場表現は、純正イヤーパッドと比べてもグレードアップしている。筆者はHD800の素の音を上質とは思うものの、好みからは外れるものだった。だが、「スウェード」では、肩に力の入っていない自然な音色で、それでいてディテイル表現がしっかりと届くきめ細やかさも持ち合わせている。ある意味、HD800としてひとつの理想像といえるかもしれない。

 「ラムスキン」は、「スウェード」に対してディテイル表現が高まり、すべての情報がしっかりと伝わってくる。クラシックやジャズなど、アコースティック楽器にはこちらの方が向いているかもしれない。どちらの音色もそれぞれに魅力あり、好みの範疇といえるだろう。

画像: 同じくゼンハイザーの「HD600」「HD650」用として「HD6xx Sennheiser Subs」も試した。「ラムスキン」(写真左手前)、「ラムスキン穴あり(穿孔タイプ)」(写真中央)、「スウェード穴あり(穿孔タイプ)」(写真右手前)

同じくゼンハイザーの「HD600」「HD650」用として「HD6xx Sennheiser Subs」も試した。「ラムスキン」(写真左手前)、「ラムスキン穴あり(穿孔タイプ)」(写真中央)、「スウェード穴あり(穿孔タイプ)」(写真右手前)

 ゼンハイザーではもうひとつ、「HD600」「HD650」に使える「HD6xxSennheiser Subs」も試してみた。こちらはバリエーションが多く、今回は「ラムスキン」「ラムスキン穴あり(穿孔タイプ)」「スウェード穴あり(穿孔タイプ)」の3つを試すことができた。

 先に結論をいうと、「HD6xx Sennheiser Subs」は「HD650」に向いている印象だった。「HD600」では、「ラムスキン」を使った2種類は音色の変化が大きく、ヘッドホン本来の魅力を損なってしまうようにも感じた。唯一「スウェード穴あり」タイプはそれほど音色的違和感がなかったので、「HD600」ユーザーはこちらから試してみるのがオススメだ。

 「HD650」に上記3タイプのイヤーパッドを試した感想をいうと、まず「ラムスキン」では帯域バランスのいい現代的なサウンドに変化した。ダイレクトでキレがよい中高域とややウォーミーな低域とか見事なバランスを保っていて楽曲の全体像が把握しやすい。

 対して「ラムスキン穴あり」は、グッとフォーカス感が向上、楽器の特徴やヴォーカルの表情がよく伝わってくるようになる。音色は純正イヤーパッドに近く、さらにクリアーになった印象なので、「HD650」本来の音が好きな人は、こちらがオススメだ。

 このふたつ以上に好印象だったのは、「スウェード穴あり」だ。音色が自然となり、それでいて高域ものびのびとしている。聴きやすく分かりやすいサウンドへと変化してくれる。正直「HD650」本来の音とは随分とかけ離れてしまうが、素晴らしい音色であるのも事実。一度頭をリセットし、別の製品と思って聴くのがいいかもしれない。

画像: ソニー&オーディオーディオテクニカ用の「ATH+Sony Sub Pads」を、ソニーの「MDR-M1ST」で試した。素材は「ラムスキン」で頭に当たる部分と内側がメッシュになっている。MDR-M1STの付属品(写真左側)と比べてかなり厚みがあり、音の印象も変化したとのこと

ソニー&オーディオーディオテクニカ用の「ATH+Sony Sub Pads」を、ソニーの「MDR-M1ST」で試した。素材は「ラムスキン」で頭に当たる部分と内側がメッシュになっている。MDR-M1STの付属品(写真左側)と比べてかなり厚みがあり、音の印象も変化したとのこと

 続いてソニー「MDR-M1ST」も試してみた。ここで使ったZMFユニバーサルヘッドフォンパッドは、オーディオテクニカ「Mシリーズ」との共用モデルのようで、今回は「ラムスキン」で、頭に当たる側とイヤーパッドの内側が穴あきになっているタイプを試させてもらった。

 結果は、“人によって好き嫌いが分かれそう”という印象。純正に比べて2倍以上の厚みがあり、柔らかい内部素材のため極端に離れたりしないものの、ドライバー位置が変わる(遠くになる)ためか、音色傾向がかなり変化して、ダイレクト感が弱まった客観的な表現になる。リスニング用としては聴きやすくなるので、そういった使い方をしたい人には向いていそうだ。

画像: ハイファイマン用「Hifiman+Subs 2024」は、主に「Ananda Nano」との組合せで試聴している

ハイファイマン用「Hifiman+Subs 2024」は、主に「Ananda Nano」との組合せで試聴している

 最後に、ハイファイマン用「Hifiman+Subs 2024」を試してみた。同ブランドのヘッドホン向けには「Sundara/HE」「XS/Arya/HE-1000」「Susvara」用の3種類のイヤーパッドがラインアップされている。今回はその中からXS/Arya/HE-1000向けの「ハイブリッド」タイプ(ラムスキン+トップメッシュ)を試している。

 「Ananda Nano」で試してみると、装着性のよさから密閉感が向上、音がダイレクトになり、かつ音圧も高まった。その結果、音の厚みが向上し、実体感のあるメリハリのいいサウンドに変化している。実は「Ananda Nano」は、上位モデルの「ARYA」シリーズなどに比べて音のダイレクト感が微妙に弱く感じる傾向がある。

 しかし、「Hifiman+Subs 2024」を組み合わせるとこの点が改善されるので、音の魅力もひときわ高まる。Anandaシリーズにはベストマッチな製品といえる。逆に、「Arya Organic」ではさほど変化が見られず、装着感が向上したのみ。機会があれば、他のバリエーションも試してみたいところだ。

画像: こちらはフォーカル用の「Focal+Subs」で、写真は「スウェード(クローズドモデル-Stellia/Elegia/Celestee)」(写真手前)と、「ラムスキン穴あり(穿孔)タイプ(Utopia/Elear/Clear)」(写真奥)

こちらはフォーカル用の「Focal+Subs」で、写真は「スウェード(クローズドモデル-Stellia/Elegia/Celestee)」(写真手前)と、「ラムスキン穴あり(穿孔)タイプ(Utopia/Elear/Clear)」(写真奥)

画像: ベイヤーダイナミックとAKG用「Beyer+Subs」の「ラムスキン」タイプ。小型ヘッドホンに取り付ける場合は写真手前のアダプターを使用する

ベイヤーダイナミックとAKG用「Beyer+Subs」の「ラムスキン」タイプ。小型ヘッドホンに取り付ける場合は写真手前のアダプターを使用する

画像: ZMFではイヤーパッドだけでなく、ヘッドホンバンドなどの交換用ツールとして「PAD ADAPTER」もラインナップしている。写真は「PIOLT PAD LAMB」「SUEDE PILOT」「SUEDE CO-PILOT」

ZMFではイヤーパッドだけでなく、ヘッドホンバンドなどの交換用ツールとして「PAD ADAPTER」もラインナップしている。写真は「PIOLT PAD LAMB」「SUEDE PILOT」「SUEDE CO-PILOT」

 ZMFユニバーサルヘッドフォンパッドは、装着感だけでなく音の変化も楽しめる印象的な製品だ。愛用ヘッドホンをアップグレードしたい、更なる音質向上の可能性を探りたい人にはもってこいの製品といえる。

 なかでも、音質の追求と豪華な素材による装着感の心地よさは、イヤーパッドの開発に携わったことのある筆者にとっても望外なもので、ZMFの技術力の高さに脱帽した次第だ。また、豪華な素材をふんだんに活用していること、様々なバリエーションを用意している点などは、ひとりのヘッドホン好きとしても羨ましく思える。ぜひ多くのヘッドホンファンに、ZMFユニバーサルヘッドフォンパッドを試してみていただきたい。

(撮影:相澤利一)

開発者が語る、イヤーパッドを交換する効果はいかに?

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