音楽を濃厚に描くスイッチングハブと、音楽の本質に迫るノイズ吸収アイテム

 イギリスのケーブルメーカー、CHORD COMPANYが「English Electric(イングリッシュ・エレクトリック)」というサブブランドを創立。その第1弾モデルのスイッチングハブが100/1000Base-T Gigabitのイーサネットのポート8基を装備した「8 Switch」だ。

 ケーブルメーカーが開発したハブとして、大いに注目を浴びているのは、オーディオケーブルづくりで培った様々な経験を活かしているからだ。回路、ポート、外装ケースなどのノイズ対策には、これまでのノウハウを注入。さらにジッター対策としてTCXO(温度補償水晶発振器)を搭載し、医療用グレードの高速電源も加えた。

 今回はQobuzの高音質再生でどう寄与するのかをHiVi視聴室で試した。LANケーブルはエレコム製LD-C6TBKシリーズ品とサンワサプライ製KB-T7Aシリーズ品を使い、バッファロー製ハブBS-GS2016/Aと比較してみよう(いずれもHiVi視聴室常設品)。Qobuz音源は、「チーク・トゥ・チーク/情家みえ」、「モーツァルト:交響曲第35番<ハフナー>/ペルトコスキ指揮ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団」、「中央フリーウェイ/荒井由実」。

 

画像: 写真(左)8 Switch、(右)EE1

写真(左)8 Switch、(右)EE1

Switching Hub
English Electric
8 Switch
¥139,700 税込

●型式:スイッチングハブ
●接続端子:LAN端子8系統(RJ45、うち入力専用1系統)
●寸法/質量:W152×H35×D83mm/約400g
●備考:LANケーブル(Clearway Streaming LAN 0.75m)1本付属

 

Network Noise Isolator
EE1
¥70,400 税込

●型式:ネットワーク・ノイズアイソレーター
●接続端子:LAN端子2系統(RJ45)
●寸法/質量:W65×H24×D30mm/約48g

 

 

画像1: 『English Electric』Qobuz再生の注目グレードアップアイテム《スイッチングハブ&ノイズフィルター&LANケーブル編》

 

オーディオ的な向上の範疇を超え、音楽的な生々しさが増す8 Switch

 「チーク・トゥ・チーク」の冒頭のピアノとベース音だけで、この音は違うと判断した。音の粒子がたいへん細かく、ハイスピードで躍動。朗らかに、そして情感豊かに歌い上げるヴォーカルはまことに端正でスムーズだ。ニュアンス再現も美的。オーディオ的に良い音という範疇を超え、音楽の魂が朗唱するようだ。山本剛のピアノも抜群の名技を聴かせ、アーティキュレーションの輝きが増した。ピアノソロのアクセント感、装飾感、スタッカート感、そして音階の駆け上がりが、音楽的な意味で実に生々しい。

 「ハフナー」も断然、音楽が濃い。ピリオド楽器的なテンションが激しく、スピード感がより明瞭に、よりダイナミックに。ポイントを挙げると、・ナイフでスパッと斬ったような切れ込みの鋭さと鮮烈さ、・駆動がより逞しくなった。音楽を前に進める力が強大に、・倍音量が断然増えた。弦の表情が濃く、空間感が濃密に、・音場がより透明になった。音像から発する各種の音が空中で、絢爛に交錯する。

 「中央フリーウェイ」はヴォーカルのヌケの清涼さと、ヴィブラートの美しさがより強調された。ダブルトラックの歌の重なりがクリアー。キーボード、ベース、ギター、ドラムスの名人芸が冴え渡り、この曲を成立させている音楽的要素が分析的に聴け、同時にまとまりも高度だ。演奏自体が持つダイナミズムを、より迫真的に聴かせてくれる、実に音楽性が濃いハブだ。

 

画像2: 『English Electric』Qobuz再生の注目グレードアップアイテム《スイッチングハブ&ノイズフィルター&LANケーブル編》

8 Switchは、いわゆるスイッチングハブだが、信号側LANケーブルをつなぐ「IN」という端子(DC INの左隣の端子)があるのが特徴だ

 

 

音楽をより興奮的に演出し表情を濃密に描き出すEE1

 次に、ハブの8 Switchから、ネットワークトランスポートとして使っているデラのN1A/3の間にイングリッシュ・エレクトリックのEE1ノイズアイソレーターを介在させる。独自開発のICチップを直列に配置し、ノイズを熱に変換して発散させるアクセサリーだ。空き端子に挿してノイズを減衰する「ノイズポンプ」製品で知られる同社のノイズ吸収技術「アレイテクノロジー」を採用している。

 確実なクォリティ向上が認められた。「チーク・トゥ・チーク」では冒頭のベース、ピアノの音楽的ボキャブラリーが濃くなった。音の核がよりリジッドになり、そこから放出される音のエネルギーの量が増え、勢いが増した。ヴォーカルは、粒立ちがさらに細かくなり、フレージングがより明快に描かれる。アンサンブルもより緊密に。音像的に各パートとヴォーカルがはっきり表出され、それらの間のコミュニケーションもよりタイトになったうえに、各音像間の同調性が、よりシンクロするようになった。

 山本剛のピアノソロは8 Switchのみの時にも闊達な表現にて感情がたっぶり聴けたが、EE1が加わると、フレージングに込めた熱い思いがよりダイレクトに聴き手に伝わってくるようだ。「ハフナー」も面白い。フレーズの終わり部分の、響きの残り香が明瞭に聴こえ、弦のニュアンスが豊かになった。倍音の量が増え、細かな音の粒子が音場を舞う勢いが強く、奏者が込める情感がより熱い。EE1は音楽をより興奮的に演出し、音楽性の本質に迫る。ノイズを減少させ、さらに音楽的表情をより濃密に描くアイテムなのである。

 

 

Column
音に生命力が宿る!

コードカンパニーの高品質LANケーブル3本を聴く

「チーク・トゥ・チーク/情家みえ」で、コードカンパニーの3つのLANケーブルを聴く。・「Shawline」は快調だ。ベースがリッチでピアノが煌めく。ヴォーカルのエッジが確実で、明瞭。・「Epic」は、さらに表現力が増した。音構造の細やかさまで描写。ヴォーカルはレンジ感の天井が高くなり、グロッシーな質感に。・「Signature」は格段の再現性。ピアノとヴォーカルでここまでのニュアンスが細やかに再現され、「思い」まで表現できるのかに感嘆した。音に生命力が溢れる。

CHORD COMPANY

Shawline Streaming LAN
¥61,600/1.5m 税込

Epic Streaming LAN
¥110,000/1m 税込

Signature Super ARAY Streaming LAN
¥220,000/1m 税込

 

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>本記事の掲載は『HiVi 2025年春号』

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